0012話 母親
アイリスの気迫に押された子供たちは、意気消沈して座っている。
頭から湯気を出すくらいに怒ったアイリス。
さぞかし怖かっただろう。
「えーと、君に聞けばいいかな?」
俺は体格のいい男の子に声をかける。
「どうしてこんな事したんだ?」
泥団子を投げるくらいはイタズラのレベルの話しだ。
ただ、もし、ぶつけた相手が貴族だったりしたら、不敬だの、不快だのと理由をつけて
殺されてしまいかねない。
「…からだ」
ようやく男の子が声をだした。
「なんだって?」
「お前らがまた父ちゃんをイジメにきたからだ!、追い返そうと思って俺…」
目に一杯涙を溜めながら、声をあげた。
「そうか、父ちゃんを守ろうとしたんだな…ただ、俺たちは父ちゃんをイジメに来たやつとは違うぞ」
「嘘だ、二人組の剣を持ったやつだって聞いたぞ」
後ろの子供たちもウンウンと頷いている。
「たしかに俺たちは剣を持った二人組だ、だけどこの町にはギルドに用事があってきた。普段は郊外に住んでいて、この町に来たのもほとんど初めてなんだ」
「ねぇ、イジメられたってどういうことなの?」
アイリスも男の子の様子を見て怒りが引いたようだ。
「俺たちの父ちゃんはいま病気で働けないんだ、だけど貴族のやつが税を納めろって、取り立てに!」
「…なるほど、その取り立て屋が剣を持った二人組ってわけか」
「それならやっぱり私たちは関係ないわ、さっきリュウ言ったとおり、私たちはギルドに用事があるだけだもん」
ウンウンと頷く俺。
その様子を見て嘘ではないと感じたのか男の子は項垂れた。
「ご、ごめんなさい、俺間違ったよ」
「だって、どうする、アイリス?」
「うーん、まぁ、しょうがないわね…」
「あ、あの!」
不意に声をかけられる。
慌てて俺たちと子供たちの間に入ってきた女性。
状況や態度、言った言葉からすると間違いなく、この子供たちの母親だろう。
「すみません、私の子供たちが何かしましたか!」




