0117話 老師の小屋
アイリスによるとテレーザはギルドに紹介された高級な宿に泊まることにしたようだった。
護衛は見つかったのだろうか。
テレーザ側の状況をしることはできないが、ともかく俺たちは老師の小屋を目指して朝から歩みを進めていた。
俺とアイリス、レム、ガイルとミコトの5人である。
数時間もあるいたころ、俺たちは生家だった老師の小屋にたどり着いていた。
「帰ってきたー!」
「結構、久しぶりだな」
「オウトヲメザシテイライデスネ」
俺とアイリス、レムが小屋を懐かしむ。
「へっ、思ったよりしっかりした家じゃねぇか」
「そうだね、もっとこう…ボロいのかと思っちゃったよ」
「はは、これでも10何年も3人で暮らしてたし、つぶれたことは一回もないよ」
俺はガイルとミコトに説明する。
「リュウ、老師に会いに行こうよ」
「そうだな、長いこと顔を見せてないしな」
俺がガイルとミコトを見ると2人は揃って頷く。
そうして俺たちは全員で老師の墓へと向かった。
と言っても、小屋の裏に小さな墓標を立てているだけだ。
だが老師はそこに眠っている。それだけは間違いなかった。
「こっちだ」
小屋の角を曲がり裏手にでたところで墓の前に人影があるのを見る。
そして倒されている墓標に、掘り起こされている墓。
向こうも俺たちの存在に気が付いたのだろう。
振り返ったその人物は、褐色の肌をした美しい女性だった。
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「よう、少年」
「あっ、デカイねーちゃんだ」
昨日とは違う場所を懸命に耕しているグリンに声をかけるイヴ。
「妹さんはどこだい、センセイを連れてきたよ」
「センセイって…」
グリンは瑠璃を見て驚いた表情を見せる。
「あっ、いま瑠璃が小さいから薬師なんかできるわけないと思いましたね」
「いや、ごめん、そういうつもりじゃないんだ、僕と大して変わらなそうなのにすごいなと思って!」
「ああ、そっちか」
「ともかくクリンを診てくれよ、こっちだ、来てよ」
グリンは瑠璃の手を引っ張ってずんずん進む。
「引っ張らなくても付いて行くからー」
そんな二人の後ろを悠々と歩くイヴ。
しかし、その視界の端では怪しげな二人組の男の姿を捉えていた。
「そっちは任せたよ、瑠璃」
イヴはそう言って足を止めると振り返り今来た道を引き返す。
「お酒飲んじゃダメだからねー」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
アイリスは掘り起こされた墓を見て、言葉を失っているようだ。
俺は刀を抜くと、その女性に切っ先を向け問いかける。
「そこで何をしている?」
女性はこちらを見ているが何も答えない。
「答えろ」
俺の二度目の問いにその女性は気だるそうに答える。
「なんだい、不躾に…」
「…」
俺はまだ刀を向けたままだ。
「…怖いねぇ」
「そこは大事な場所だ、今すぐにどいてくれ」
「はいはい」
女性はヒラヒラと手を振ると老師の墓の前からゆっくりと歩きながら離れていく。
俺とガイルはその女性から目を離していなかった。
アイリスが老師の墓まで走っていく。
そして掘り起こされた墓を覗き込む。
「リュウ!…ろ、老師が…」
「アイリス?」
「…老師がいない」




