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龍翔記  作者: GIN
111/692

0111話 救出

「うらぁっ!」


右から襲い掛かる魔獣【ウルフ】の眉間に狙いすましたイヴの拳が決まる。


「そらっ!」


さらに左から襲い掛かるウルフには反転しての回し蹴り。


「へっ、やるじゃねぇか!」


ガイルも左右の手に持った大剣を振りまわし、2体のウルフを斬り捨てる。


アイリスの突き、俺の刀によって、それぞれ1体のウルフが断末魔を上げる。


視界の端ではミコトがもう1体のウルフを倒していた。


数十体にもなるウルフの群れ。


遠吠えを上げて、更に襲い掛かってくる。


数体一塊となり、左右に散会する。


「くるぞ!」


「何体だってかまわないよっ!」


右側に流れたウルフの数体が一斉にガイルに襲い掛かる。


「オーガ流剣術奥義:両刃!」


剣技を放つガイル。2体のウルフの首が飛ぶ。


しかしガイルの剣を逃れた3体のウルフの牙や爪でダメージを受けるガイル。


同じく数体のウルフに襲われるイヴ。


右拳、さらには蹴りで2体のウルフを倒すものの、やはり攻撃を逃れた数体のウルフに傷を負わされる。


「ちっ!」


「ガイル!、イヴ!」


アイリスの声が響く。


「それ、回復するよ!」


その時、瑠璃が液体の詰まった丸い玉のようなものをガイルとイヴにぶつける。


それは2人に当たると同時に薄い膜が破れ、中から純度の高い回復薬が溢れだす。


2人の傷は瞬く間に回復する。


「瑠璃特製の回復薬だよ」


「こいつはすげぇ」


「へっ、助かったぜ」


攻撃を加えたのに、瞬く間にダメージを回復した様子を見て、魔獣なりに不利を悟ったのか攻撃をやめるウルフ達。


「リュウ!、アイツがリーダーだ!」


アスカが群れの1体を指さす。


俺はそれを聞いたと同時に居合の体勢のまま一気に距離を詰める。


「龍星剣術奥義:一閃」


そしてアスカの指定した個体の首を撥ねる。


俺が倒した個体の身体が倒れ、首が地面に落ちると同時に、他の個体は唸り声をあげて後ずさる。


アスカの指摘は正解のようだ。


リーダーを失い統制が取れなくなったウルフの群れ。


戦うのか逃げるのか判断できずにいるようだ。


「一気に片付けるよ!、補助魔法:敏捷性上昇≪アジリティアップ≫」


ミコトが補助魔法を全員にかける。


俺たちがここでウルフを見逃すことはない。


そんなことをすれば逃げたウルフがまた別の人を襲うからだ。


ウルフたちはそれぞれが俺たちと相対したが、連携も取れていない状態では俺たちの敵ではなかった。


3体ほどのウルフを倒した後に周囲を見回す。


「ほとんど片付いたか」


ガイルとイブが逃げだしたウルフの追撃を行うのを見て、俺は傍らに止まっている豪華な馬車に目をやる。


綺麗な装飾に飾られたその2頭引きのその馬車には、すでに従者も護衛の姿もない。


2頭の馬も嚙み殺されている。


10名ほどいたと思われる護衛は皆、近くでウルフに襲われて殺されている。


馬を引いていた従者は逃げたのだろうか。遺体はないが姿もない。


「護衛はみんなやられちゃったみたいだね」


アイリスが悲痛な声を出す。


「ああ、数が違いすぎたんだろう…」


ルイムの町まであと少しというところで襲われていた馬車を見かけた。


俺たちが見かけたときにはすでに護衛はなく、馬車の中にいる最後の獲物を狙ってウルフたちが体当たりをしているような状況だった。


ウルフの執拗さを見る限り、中には生き残りがいると思われる。


「おい、誰かいるのか?、そとのウルフは全部倒したぞ」


そういいながら、俺は馬車の扉を開ける。


そこには金髪の巻き髪をし、綺麗なドレスに身を包んだ華奢な女性がいた。


馬車の床に蹲り、小さくなって震えている。


「おい、もう大丈夫だ」


俺は震える女性の背中を摩りながら声をかける。


ようやく俺の声が聞こえたのかゆっくりと振り返るその女性。


俺と目が合う。


年のころは10代だろう。幼さの残る顔立ちをしている。


今は恐怖のためか顔色は悪く、ガタガタと小刻みに震えている。


「ウルフは全部倒した、もう大丈夫だ」


「わたくし…助かったのですね」


それだけ言うと女性は脱力したように意識を失い、俺に凭れ掛かってくる。


ふっと鼻にいい匂いが残る。


香水のような高級品を使い、馬車も身に着けているドレスも豪華な物だ。


身分の高い人物であることはそれで分かる。


ともかく俺はその女性を抱き抱えて馬車を出る。


木陰になっているところに寝かせて、瑠璃とアスカ、レムに見ていてもらうように頼み、俺は護衛達の遺体の埋葬を手伝った。

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