0109話 再びダールベン村
「前も通ったけど、この街道は歩きやすよねー」
「へっ、これも王都の周辺だけだからな、国中の道がこうなれば皆歩きやすいんだが」
「ねぇリュウ、まずはダールベン村に行くのよね?」
「そうだな、通りに道だし、サイカやハンフリーもいるだろうしな」
「エリンにも協力してもらえたら嬉しいけど」
以前エルフの集落で会った集落の代表エジルの娘であるエリン。
森を抜けるまで同行してもらっただけだったが、瘴気が強くなっている森のことも心配なのだろう。
「へっ、スーシアンがありながらこの国の森に隠れ住んでいるだろ、そっとしておいてやるのが一番だぜ」
ガイルの言う通り、エジルたちにもおそらく何らかの事情があるのだろう。
それを聞きだすこともできないし、聞いたところで解決することもできないかもしれない。
だが、偶然だが知り合い、縁をもった者達だ。
彼らは彼らで生きている。それを邪魔せず、しかし助けを求められたら力になる。
「そうだね…」
「まぁ、何か手助けを求められることがあったらできる限りのことはしよう」
「うん、そうだね!」
ダールベン村に向かう道中で襲ってくる魔獣を倒しながら俺たちは進む。
魔獣【ウルフ】、魔獣【オオワシ】などは討伐クエストを受けている。
討伐証明のために魂石を集める必要があるが、それはミコトが手際よく採集をしていってくれる。
「へへっ、大漁大漁ー」
上機嫌だ。
「うーん…」
「やっぱりしっくりこないか?アイリス」
「そう…ね…やっぱりちょっと慣れが必要かも」
言いながら突きの動作を繰り返している。
レイピアであることは同じだが、重さ、バランス、柄の握りなど微妙な感触に違いがあるのだろう。
「早くレイピアが直せるといいんだが…」
「うん、でも王都の鍛冶屋ガルツでも無理だったんだし、しばらくは仕方ないかな」
アイリスは鞘にレイピアをしまうと、ふんすと息を吐く。
こうして襲ってくる魔獣を倒しつつ、道を進む俺たち。
イヴを加えて戦闘能力が上がった俺たちチーム:龍翔<ドラゴニア>はこのあたりの魔獣に苦戦することはなかった。
こうしてダールベン村までは特に問題がなく順調な進むことができたのだった。
「久しぶりー、サイカ!」
「ミコトさん、それに皆さんも、ようこそ!」
俺たちはサイカの宿で部屋を押える。
「また世話になるよ」
奥からハンフリーが出てくる。
「久しいな、ガイル」
「おう、ハンフリー、元気そうだな」
「ああ、だがこの村の周辺も魔獣が多くなってきた、仕事は意外と多い」
「ハンフリー、お前にもらった道具、助かってるよ、ありがとう」
「いいんだ、リュウ、オレは冒険者を引退した身だから誰かに使ってもらえるなら道具もオレも嬉しい」
そうして俺たちはハンフリーを交えて食事をとる。
今回ダールベン村は通過点なので、1泊だけして明日には出発する予定だ。
俺たちは宿のベッドで早々に休むことにしたのだった。
ふと、夜中に目が覚める。
横のベッドで休んでいるはずのアイリスがいないことに気付く。
俺は宿の外に出る。
そこにはレイピアの素振りを繰り返すアイリスの姿があった。
「アイリス…」
「あー、やっぱりしっくりこなくて…小さい時からいつものレイピアしか使ってこなかったからかな」
あの武器は老師からもらったもの。
そして、ずっと使ってきた思い入れも強い。
新しい武器が手になじまないのは仕方ないだろう。
だったら俺にできることは一つだ。
俺は練習用の仮剣をアイリスに手渡す。
「久しぶりにやるか?」
「…望むところよ」
アイリスの鋭い突きを俺は何とか捌いた。
こうしてアイリスの気が済むまで俺たちは模擬戦を行った。
最後は真剣での模擬戦。
得意のポーズを決めるほどにアイリスの気も少しは晴れたようだった。




