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龍翔記  作者: GIN
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0108話 出発

「スーシアンへの旅路ですが、どのようにして向かいますか?」


ラウルが行程について確認してくる。


だが、俺のなかで行程は決まっていた。


「一旦、俺たちの小屋に戻りたいんだ、そしてそのまま陸路でスーシアンを目指す」


「リュウとアイリスの生家ですね」


「うん、元々、王都に来たのもジーナを探してだったんだけど、こんなに長く滞在するとは思って無くて…」


「割と簡単に出てきてしまったからな、老師の墓も気になるし、スーシアン行きも長くなりそうだからな、一度戻っておきたいんだ」


「そうですね、心残りがあっても良いことはないでしょうし、リュウが決めたルートで構いませんよ」


「みんなはどうだ?」


俺は一緒に旅を据えうメンバーに聞く。


「へっ、問題ないぜ」


「リュウとアイリスの生家かー、ちょっと見てみたい!」


「何もない小さな小屋だよ」


「瑠璃は付いていくと決めたからね、どんなルートでも構わないよ」


瑠璃はあれから得意先に新しい薬屋を斡旋、その薬屋には処方箋などを引き継いで、なんと店を閉めて同行してくれることになった。


俺はその話を聞いたときに瑠璃に感謝を伝えようとしたが必要ないと言われた。


自分で決めたことだという瑠璃は、俺たちの将来の目的にも賛同してくれ、店のことを借りだと思うなら、その目的を果たしてほしいと言われたのだ。


「私は同行させてもらう身だからな、もちろん異論などない」


アスカもムデノ平原の調査結果を国に報告し、国お抱えの研究者としての地位を捨てて同行することとなった。


本人いわく、国の依頼で調査するのは資金などのサポート面では有難いが、自由度がないことは窮屈に感じていたとのことで、もともとムデノ平原の調査が終われば国の依頼は断るつもりだったらしい。


そこにエルフの国行の話しがあったので飛びついたようだ。


むろん国には感謝している、というアスカだが今は次の調査地に向かえることを楽しみにしている様子だ。


「レムモカエリタカッタデス!」


「ああ」


レムは老師の小屋から一緒に出発したんだから、レムにとっても実家みたいなものだ。


「…イヴは…」


俺は言ってイヴに目を向ける。


昨日の大暴れのことは聞いている。


ガイル達に連れられ屋敷に戻るころには酔いつぶれて寝てしまい、今朝になって昨日のことを聞かされ、大反省中といった感じだ。


「…あたいは…従います…はい」


長身を折りたたむように正座をしているイヴ。


ラウルをチラッと見るが、俺と目が合ったラウルは無言で軽く首を振る。


イヴにはもうしばらく反省しておいてもらおう。


「前の決定とおり、私とさんじゅーろーはここに残ります、お家騒動を解決させたら合流します」


「ああ」


「ラルガンスとハイルもここに残って、ラルガンス完全復活の研究をしてもらいます」


取り決めの通りだ。


ラウルの実家はスーシアンにあるのだが、そんなラウルが今回俺たちと一緒に戻らないのはまず俺たちの繋がりを知られないようにするため。


そして相手との距離が物理的にも精神的にも近すぎると動きがとりづらいためだ。


まだ相手が誰かもはっきりしていない状況なので、そこを見極め、必要な対策を取るまで国には戻らない。


そういう方針にしたのだ。


「カゲロウたちやエイルの情報はここに集まるようにしています、カルロス卿にお願いしている件と合わせて何か動きがあればすぐにお知らせします」


「ミリルのところのヒューイの件も頼む」


「ええ、リュウたちも動きがあれば知らせてください」


ラウルの思念伝達はそれほど広範囲での使用はできない。


従って現状、互いの連絡は手紙やカゲロウのような伝令役を使ってのやり取りになるだろう。


それでも互いの状況を報告しあうというのは必要になるだろう。


「ラウルも気を付けて」


「ありがとう、アイリス…スーシアンで呪いの解除方法が見つけることを祈っています」


「案外、ラウルの問題よりも俺たちの方が早く解決して戻ってくるかもしれないしな」


「そうですね、その時は私の家の問題も一緒に解決して戻ってきてください」


俺たちは居残り組となるラウル、さんじゅーろー、ハイルと固い握手をして屋敷を出る。


元宰相としての仕事があり、カルロスは今日は来ていない。すでに昨日話しはしてある。


ラルガンスとの別れは昨晩、済ませている。


そっけないものだったが、すぐに復活して後を追うと言ってくれたのは嬉しかった。


ジーナの店に顔を出し、ミリルの診療所にも寄って挨拶をしておく。


最初に王都に来た際に世話になった宿屋にも軽く挨拶を済ませる。


最後にギルドに顔を出し、ナタリーに旅に出ることを伝える。


そしてこの時、チーム:龍翔<ドラゴニア>がEランクにランクアップしたことを聞かされる。


エリーン伯の指名クエストをクリアしたことに加え、アスカが風狼の件で俺たちに助けられたことを国に報告していたこと。


さらにはアルドラ砂漠の鉄蠍、サンドワームを討伐したことが評価されたとのこと。


風狼や鉄蠍、サンドワームの討伐をギルドが事後にクエストとして承認したことで俺たちチーム:龍翔<ドラゴニア>がランクアップしたのだ。


なお、風狼や鉄蠍はCランクの魔獣だ。


俺たちもそれくらいのレベルであることが証明されたわけだが、ギルドの規定で最大2ランクまでしかランクアップできないためEランクなのだそうだ。


旅に出る前に良い報告を聞くことができたとナタリーに礼を言い、俺たちは老師の小屋に戻るまでにできそうないくつかのクエストを受けてギルドを出た。


そして、エリーン伯のクエストで採集した素材はいまはレムが魔法で収納している。


旅の途中で路銀にするためにいまは素材のまま置いておくことにしたのだ。


こうして俺、アイリス、ガイル、ミコト、レム、イヴ、瑠璃、アスカは王都ルーラーンを出て、まずは老師の小屋を目指して歩みを始めたのだった。


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