0106話 薬屋の瑠璃
「あー、いらっしゃい」
瑠璃が元気な声で迎えてくれる。
「必要な情報は手に入ったの?」
「ああ、手に入った、で俺たちはエルフの国へ向かうことになった」
「エルフの国!、遠いね」
「ああ、しかしエルフの国に行かないとアイリスの呪いを解くことができないんでね」
「そっかー」
「瑠璃、頼みがある」
「どうしたの?」
瑠璃は小首を傾げている。
「はっきり言う、エルフの国へ一緒に行ってくれないか」
「えっ、瑠璃が一緒に?」
「そう、これまでと違って長い旅になると思う、その間、アイリスの呪い状態が変わるかも知れない、万が一だがもしそうなった時に瑠璃が近くにいてくれれば心強い」
「そっかー、確かに状態が変わっちゃうかもしれないもんね、分かった、いいよ」
「店があるのは分かるし、王都の客も心配だろうからすぐに決められないかもしれない…っていいのか?」
「うん、いいよー」
「すごいあっさり」
「王都には薬屋は他にもあるし、すぐに困る人はいないよ、それに二人はあの老師の大切な子供たちだからね」
「そうか、ありがとう、瑠璃」
「ありがとう!」
アイリスが瑠璃の手を取り喜んでいる。
「いつ出発?」
「はっきりとはまだ決めていないが数日中には…準備出来次第、出発したいと思っている」
「分かった、瑠璃も明日中には準備するよ、ラウル様の屋敷にいけばいい?」
「ああ、それで頼む」
「その話し、私も参加させてもらいたい!」
瑠璃の店の扉をあけて入ってきたのはムデノ平原で世話になった生物学者のアスカだった。
「ええ、アスカさん!?」
「久しぶりだな、リュウにアイリス…そんなことよりいまエルフの国に行くと言っていたよな」
アスカは間違いなく聞いたとぞという風にこちらに確認してくる。
「ああ、俺たちは数日中にエルフの国に向けて旅をすることになったんだ」
「ふむ、やはり!、その話に私も便乗させてもらいたい!」
「アスカさん、平原の調査はいいの?」
アイリスが疑問を口にする。
「よくはないが、ある程度調査が終わったのも確かだ、君たちのおかげで風狼の調査をできたしね」
アスカは非常に興奮している。
「エルフの国にはこの近くにはいない魔獣も多数いるだろう、そんな魔獣の調査をぜひしてみたいと思ってね」
生物学者としての血が騒ぐといった感じか。
「危険な旅になる可能性もあるが」
「ふむ、自慢じゃないが戦いはできない、だが逃げるのは得意だ」
「私はいいと思うけど?」
アイリスはアスカの動向は問題ないようだ。
「まぁ、俺も断る理由は大して無い、かな」
「よし、決まりだ、では早速準備をしてくる、君たちの拠点で会おうじゃないか」
こうして旅の懸念点だったアイリスの呪いの進行は瑠璃が同行してくれることで少し安心できる状態となった。
また予定外のアスカの同行が決まったが、平原では世話になったし、何も分からない土地へ向かうのだから生物学者の知識が必要になることがあるかもしれない。
生物について、俺たちより詳しい人というのは頼りになる。
瑠璃の店の薬を購入し、俺とアイリスはラウルの屋敷へ戻ることにした。




