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龍翔記  作者: GIN
101/692

0101話 ミリルの治療

「ラウル、お前が何でここに?」


「帰りが遅いから気になって来てみたんですよ」


その時、リュウを纏っていた炎が消え、そのままバタリと倒れた。


「リュウ!」


「マルタン、トリスタン、お願いできますか、あとハイルにここに来るように伝えてください」


「ああ」


二人はリュウを抱きかかえ、部屋を出ていく。


「へっ、よくここまで入ってこられたな」


「入り口で門番の騎士に止められましたがね…そこは交渉次第でしたよ」


「へっ、どうなってやがんだ、この屋敷は」


ラウルは先に来ていたオレたち合流するためとか何とか言ってさらに門番を務めていた騎士に袖の下でも渡して入ってきたのだろう。


「間に合ってよかったですよ」


そこにハイルがやってくる。


「へっ…あとは任せるぜ、行くぜ、レム」


ラウルの肩をポンと叩き、ハイルと入れ替わりにオレも部屋を出る。


交渉事はラウルにお任せだ。


「さて、エリーン伯…さきほどあなたは交渉の余地があるかと問われましたね」


「その通りだ」


「お答えしましょう、あります」


ラウルのその言葉を聞いてオレは部屋の扉を閉めた。



オレはリュウを抱えるマルタン、トリスタンをエイル、イヴとともに護衛しながらエリーン伯の屋敷を出た。


そしてラウルの屋敷まで戻る。


心配して飛んできたアイリスに事情を説明する。


「エリーン伯の屋敷で戦闘になった、襲ってきたやつは何とか倒したが…」


リュウをベッドに寝かせるマルタンとトリスタン。


「僕たちはエリーン伯の屋敷に戻るよ」


「ああ、頼む」


エリーン伯の屋敷にいるのはラウルとハイルだけだ。


もう襲われる心配はないだろうが念のためだ。


リュウの顔などを拭いてやるアイリス。


「瑠璃とミリル先生もいま屋敷に来ているの」


「呼んだー?」


「なんだいその姿は…ボロボロじゃないか」


ミコトの診察にきていたミリルとアイリスの薬を届けに来ていた瑠璃。


「へっ、うるせぇ、結構なピンチだったんだよ」


「そうかい、まぁ、無事でよかったよ」


思いもしない言葉に固まるオレ。


「あんたが死んだら…私…」


ミリルがオレを見つめながら言う。


「ヒューイの治療費を誰に請求すればいいんだい」


「へっ…安心しろ、オレが全部払ってやる」


「当たり前だよ…だから簡単に死ぬんじゃないよ」


それだけ言うとミリルはリュウの診察を始める。


瞳孔の様子や心音、身体の様子を確認する。


「敵の攻撃で毒を受けた様子だった…屋敷を出たときに回復薬は飲ませたがどうだ?」


「うーむ…毒は大丈夫そうだな…瑠璃の薬だろ、よく効いている」


「むふふ」


瑠璃が自慢気な顔をしている。


「リュウの様子はどうですか?ミリル先生」


「こ、これはっ!」


ミリルが驚愕の声をあげる。


「どうした?」


「ミリル先生!」


ミリルはオレオレたちを見渡しながら言う。


「…疲れはてて寝ているだけだね、毒の影響も怪我もない、心配ないよ」


「よかった」


アイリスは素直に喜んでいる。


「おい、さっきの間はなんなんだよ」


「実際に驚いたのさ…」


ミリルはオレの姿を改めて確認する。


「あんたがそんなナリになるくらいなんだ、相当強かったんだろ」


「ああ、特にリュウが戦っていた相手は人を殺すことに慣れたかなりの手練れだった、毒に加えて相当なダメージを受けていたのは間違いない」


オレは掻い摘んでリュウの戦いを説明する。


「ふむ、そんな相手と戦って毒受け、死ぬかもしれないほどのダメージを受けた…なのにいまは疲れて眠っているだけだ…驚くのは当然だろう」


「へっ、確かにな」


「レムも無事でよかった!」


アイリスがレムを抱きしめる。


「リュウサマニタスケテイタダキマシタ」


そんなアイリスのレムの会話が聞こえてくる。


「不思議な男だね…」


「ああ、詳しいことは…」


「いいよ、私は一介の医者だ、患者が無事ならそれでいい」


「へっ、分かった」


「治療が必要そうなのはあんたくらいだね」


そういうとミリルの治療を受け、瑠璃から薬を渡される。


「はい、早速飲んでね」


言われるがまま薬を口にする。死ぬほど苦い。


「ぐぇぇ…不味い」


オレがつらそうにしているのを見てなぜか嬉しそうなミリルと瑠璃。


「さて、ミコトもリュウも眠ってるだけで後は医者の出番はなさそうだから帰ることにするよ」


「送っていくぜ」


「いらないよ、せいぜい怪我がひどくならないように寝てな」


「瑠璃も帰るね」


二人が出て行ったあとにオレは急激な眠気に襲われる。


ベッドに倒れこむと、そのまま深い眠りについた。


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