0001話 始まり
初投稿です。ぼちぼち更新します。
「まただ」
夢を見た。
漆黒の闇に包まれた世界に時折、飛び交う閃光。
しかし音は無く、ただ幾筋もの光だけが飛び交う。
そして一際大きな光に包まれ、そこで夢は終わる。
・・・・・・・・・・・・・・
「起きた?」
目の前には幼馴染で同居人のアイリスの姿があった。
「もうそろそろ起きて準備しないと老師に怒られちゃうから」
「ん~~」
先ほどまで見ていた夢のことはぼんやりとしか覚えていない。
しかしそのぼんやりとした夢を見る回数が最近多くなってきていた。
「ん~~」
「またあの夢を見たの?」
「そうなんだ」
ベッドから起きるとアイリスが用意してくれていた洋服に着替える。
「あれ?、アイリスもまだ準備できてないじゃないか」
「残念、私は薬を飲みに戻っただけでもうとっくに準備はできています~」
言うが早いかアイリスは小瓶から取り出した薬を手に取るとごくっと飲み込んだ。
「やべっ、んじゃ、俺だけ怒られるパターンか」
急ぎ井戸から汲み上げた冷たい水で顔を洗うと、さすがに目も覚めてきていた。
「さっさとせんかぁ!!」
外から怒号が聞こえてくる。
「ほら急ぐよ、リュウ!」
そういうと先に駆け出すアイリスに続いて駆け出す。
「いつまで寝とるんだ!もうとっくに陽は登っておるぞ!」
老師の前にアイリスと二人で並ぶ。
「すみません、遅れました」
「弛んどる!」
素直な謝罪の言葉が言い終わると同時に鉄拳が飛んでくる。
「ぐえっ!」
そして腫らした頭もそのままに、それを見てニヤニヤするアイリスと共に
今日の修練が始まるのだった。