【簡易版】設定&主要登場人物紹介
【舞台】
かつて二十二の大いなる神と五十六の小さき神によって治められていた世界《エマニュエル》。その神々が神界戦争ののち復活の予言を残して眠りに就いてから、早千年の月日が流れた。
導く者を失った世界は分裂し、数多の国が興っては滅びていく。人々は神々の復活を待ち侘びながら、神刻と呼ばれる神々の力の欠片を用いて暮らしていた。
その神刻の中に、大神刻と呼ばれる強大な力を持つものがある。それは眠れる二十二大神の魂そのものと言われ、大神刻をその身に刻んだ者は半神半人の神子となり、世界を導く存在として幾度も歴史に君臨した。
時は黄暦335年。『北西大陸の覇者』『黄金の国』と謳われるトラモント黄皇国にも、腐敗の影が落ちていた。
かつて太陽神シェメッシュの神子として人々を導いた、竜騎士フラヴィオの築いた皇国。一時はエマニュエル史上稀に見る栄華を極めたその国も、斜陽の時を迎えている。
現黄帝オルランド・レ・バルダッサーレは正黄戦争で簒奪された皇位を奪い返し、この地に平和と繁栄をもたらした英雄だった。しかし彼には未だ嫡子がなく、国の中枢には数々の陰謀が渦巻き始める。
そんな国の腐敗を正すべく立ち上がった革命軍。なおも黄帝を信じ忠誠を奉じる将軍たち。遥か北の天険からその帰趨を見守る竜の一族と、神々に代わって地上世界の支配を目論む魔のものども。
西では砂賊の国シャムシール砂王国が、東では海を越えた先の大国エレツエル神領国が、虎視眈々と黄皇国の崩壊を待っている。
これはそんな動乱の時代を駆け抜けた、一人の青年の物語。
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【登場人物一覧】 ※主要人物のみ。()内は登場時の年齢。
◆エリク(19)
かつて竜騎士フラヴィオに太陽神の神託を下した伝説の村・ルミジャフタ郷出身の青年。剣士にして雷の神術使い。郷に伝わる儀式のために旅立ち、傭兵となって立派な武勲を上げることを志す。
◆カミラ(13)
エリクの妹。両親を早くに亡くしているため、エリクにとってはたった一人の大切な家族。よく言えば家族想い、悪く言えば重度のブラコンで、旅に出た兄の帰りを故郷で健気に待ち続けている。
◆イーク(19)
エリクと同じルミジャフタ郷出身の剣士。エリクの幼馴染みにして親友、そして同時にライバルでもある。雷の神術使い。エリクと共に旅に出たのち、別々の道を目指すことになるが……。
◆ガルテリオ・ヴィンツェンツィオ(41)
トラモント黄皇国の大将軍。シャムシール砂王国との国境を守る名将で『常勝の獅子』の異名を取る。平民上がりだが黄帝の懐刀としても知られ、民衆からの支持も熱い。
◆シグムンド・メイナード(40)
ガルテリオの副官。下級貴族出身の物静かな男だが、剣の腕ではガルテリオにも勝る傑物。冷静な判断力と鋭い洞察力、そしてガルテリオをも震え上がらせる毒舌を持つ。
【種族】
◆竜
トラモント黄皇国の北に聳える竜牙山脈で暮らす一族。かつて自由の神ホフェスによって生み出され、空を飛ぶ術を持たぬ人間たちに下賜された。
寿命は200~300年ほど。「竜父」と呼ばれる一頭の雄竜が複数の雌竜たちを従えており、竜の谷でごくわずかな人間たちと共生している。トラモント黄皇国の同盟相手。
◆魔物
神界戦争に敗れ地の底へ追いやられた邪神の手下。無差別に人間を襲い屍肉をあさる。ほとんどの魔物は知性を持たないが、中には人語を操る悪魔もいるとか。神界戦争時、神々のしもべとして戦った人間の殲滅と地上世界の支配を目論んでいる。詳しい生態は不明。
◆獣人・半獣人
獣の頭に人間の体を持つ種族。半獣人とはその獣人と人間の間にできた子のことであり、大抵が〝まざりもの〟として人々から迫害を受けている。
死の谷に暮らす人食い獣人の竜人や、奴隷として売り買いされることの多い犬人族、世界中で商人として活躍する狐人族などが有名。人型から獣型に変化できる種族とそうでない種族がいる。