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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
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第7話 ギルドカードとギルド長

二人の悪魔との模擬戦を終えて、オレはグスタフ達の元へ行った。

グスタフ達は驚いたような表情をしていた。


「ん?どうかしたか?」

「どうって、あんなに激しく戦っといてほぼ無傷なんて……」

「それに……全然見えなかった……」

「速すぎよ……」


グスタフ達以外の人もこちらを見ているようだ。

どうやらやり過ぎたらしい。


「ここの人達ってレベル低いのかぁ?」

「レベル?そんなに高くないわよ!始まりの街だもの!レベル10もあればこの街じゃ強いほうよ」

「低すぎる……」


ボソッと聞こえないように呟いたつもりが、聞こえたらしい。

負けん気の強いニーナには睨まれてしまった……

そこに手続きを終えてゲルトさんが戻ってきた。


「お待たせしました。こちらが身分証にもなるギルドカードです。なくさないでくださいね!」

「ありがとうございます!うぉっ!?」


ゲルトさんから灰色のカードを受け取った瞬間、淡く光り色が変わった。

灰色だったカードは鮮やかな黄色に変化した。


「えっ?黄色?」

「はい!ゲストさんの戦闘を考慮しランクCになりました。」

「「「ランクC!!」」」


グスタフ達が驚いている。

今日何回この顔になっただろう。


「この街の最高ランクじゃないですか!」

「ゲルトが1番ランク高くなっちゃった……」


どうやら冒険者にはランク制度があるらしい。

依頼の数をこなせば順調にDまでは上がるらしい。

Cからが偉業の達成や、高度の戦闘力がないとなれないらしい。

一応最高ランクはSらしいが、片手で数えるほどしかいない。

そしてこの街アンファングには、ランクDまでしかいなかったらしい。

グスタフ達もランクDらしい。

ということでこの街で1番ランクが高い冒険者になってしまった。


「あはは、目立つつもりなかったのになぁ……」

「その容姿であんなに強いんだもの、無理よ!」


ニーナの言葉に他のみんなも頷いてる。

そしてニーナはひょいっとオレのカードを覗く。


「レベルはっと……えっ?!ひゃ、ひゃ、100?!」

「ニ、ニーナ?!」


ニーナはオレのレベルを見て後ろにひっくり返った。

この世界の人はみんなこんなにリアクションするのだろうか。


「レ、レベル100ってどういうことよ!!」

「どういうことってそういうことだけど?」

「この国の最高レベルの人だって40くらいだって話なのに……」

「あらら、そんなに低いのか……」


ちなみにゲルトさんも目を見開いて固まっている。

この世界はゲームと違ってレベルも低いようだ。

レベル100なんて聞いたことないって顔してるし……

この世界はオレにとって安全かつ楽に生活できる場所かもなぁ。

なんて考えているといきなりゴツい手に手首を掴まれた。


「あ、あの、ゲルトさん?」


オレの問いかけに答えることもなく、ズカズカとオレの手首を引っ張りながら歩いていく。

力を入れたら止められそうだったけど、ゲルトさんの表情が真剣だったから止めた。

手首を引かれてしばらくすると、一つの部屋の前に来た。

ゲルトさんがコンコンってより、ドンドンって借金取りのようにノックする。


「ギルド長!ゲルトです!」

「どうぞ。」


中から可愛らしい声が聞こえた。

ギルド長という人物がどんな人物なのか気になってしまうような声だった。

ゲルトさんが焦っているのか勢い良くドア開けた。

握られたドアノブはぐにゃぐにゃだ……


「失礼します!ギルド長に紹介したい新人がいたのでお連れしました。」

「ほう?どんな子?ゲルトが紹介したいってくらいだから強いのよね?」


机の上の書類の山に隠れていた、ギルド長と思われる人が顔を出す。

可愛らしい少女だった。


「あら、可愛い子じゃない!紹介って旦那候補にってこと?」

「ぶふぅー」


思わず吹き出してしまった。

可愛い子は好きだけど、年下過ぎる。


「ゲストさん、失礼ですよ!彼女はラーエル。この街の冒険者ギルドの長です。ちなみに私より年上ですよ!」

「えっ?」


ゲルトさん冗談をってそんな顔してないね……

ギルド長のラーエルさんの顔を見ると、頬を膨らませている。

怒ってる?


「ゲルト?歳のことは黙ってればいいのに!今月は減給しようかしら」

「す、すいません!そんなつもりは!」


うわぁ、パワハラやん!

早く帰りたくなってきた。


「どうも、ギルド長やってるラーエルよ。気軽にラーエルって呼んでね!」

「あ、はい。ランクCの冒険者になりました?ゲストです。」

「なんでも疑問系なのよ」

「い、いやぁ、実感がなくて」


実際に依頼も受けたこともないので当然なのだが……


「ギルド長、彼はさっき冒険者になったばかりです!先程ランクCにしてもいいと言ってたのは彼ですよ!」

「えっ?そうなの?書類多くて忘れちゃってた、ははっ!」

「それだけじゃないんですよ!カードに表示されたレベルが!!」


そこでゲルトさんに促されて、オレはカードをラーエルさんに渡した。

ラーエルさんの顔から笑顔が消えて、真剣な表情に変わった。


「ゲストさん、あなたどこから来たの?」

「さぁ?自分でもよく分からないもので」

「記憶喪失?」

「いえ、気付いたらここにいたって感じで」


ラーエルさんはう~んっと腕を組み考え込んでしまった。

全部正直に答えたら面倒なことになるのは、目に見えて分かるので適当に誤魔化した。


「まぁいいわ、この街最強の冒険者として頑張ってね!この街じゃなくて世界かもしれないけど」

「はぁ……それなりに頑張りますけど……」

「ところで、これからどうするの?」

「宿を取るか、家を買います……」

「あら家を買えるほどお金持ちなの?養ってもらおうかしら」


ちょっと疲れたし早く解放されたいのでからかってみることにした。


「はぁ……ゲルトさん、ラーエルさんの年齢って知ってます?」

「いえ、正確には……年上ってことしか……」

「えっ?何話してるの?私のことのようだけど?」

「じゃあ言いますね?ラーエルさんは34歳です!!」

「なっ?!どこで聞いたの?誰にも話して……はっ?!」


顔を真っ赤にして抗議しようとしてたラーエルさんがゲルトさんの視線に気付いて黙った。

たぶんもう少し若く設定してたのだろう、下手すりゃ20代……


「じゃあ、疲れたんでそろそろ帰りますね」

「これからよろしくお願いしますね!」


ゲルトさんと握手を交わす。

ゲルトさんの後ろでは、顔を真っ赤にしたラーエルさんがようやく復帰して口を開いた。


「どうしてわかったの?鑑定スキル持ってなきゃ見れないはずなのに……」

「その鑑定スキルですよ!冒険するには必須ですよ!」

「普通……商人のジョブしか持ってないはずなのに……」

「ではまた来ますねー!」


オレは、部屋を後にした。





ここは冒険者ギルドの執務室。

ある新人冒険者が帰ったあとだ。


「ギルド長、彼はどうします?」

「う~ん、規格外過ぎるでしょ!レベル100なんて聞いたことないわよ!歴史上でもいるのかわからないし!」

「とりあえず要観察ってことで……いいですか?」

「良いんじゃない?あと私から領主様に連絡しとくわ!」

「わかりました。ではこれで」


そういって大柄の男が出ていった。

ギルド長と呼ばれた女は、背もたれに身体を預けて脱力した。


「面倒なこと増えないといいけどなぁ……」


可愛らしい声が小さく部屋に響いた。





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