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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
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第5話 冒険者になる!!

オレとグスタフ達は冒険者ギルドの扉をくぐった。

中を見渡すと、若い女性が座っている受付とガヤガヤと騒がしい酒場が併設されていた。

酒場はパーティーの打ち合わせや打ち上げに使ったりするらしい。

安くて早くてそれなりの味らしい。

それなりって……


「ようこそ!初めての方ですね?どのようなご用件でしょうか?」


グスタフ達と別れて、受付に近づいたら話しかけられた。

笑顔が可愛いかった。

胸に付いてる名札に名前が書いてあった。

リーゼルちゃん、名前覚えとこ……


「冒険者になりたいんですが……」

「はい、冒険者登録ですね!でしたら、こちらの書類をご記入してお待ちください。担当者を呼んできますので。」


リーゼルちゃんが行っちゃった……

とりあえず記入欄を見た。

ガッツリ日本語で書かれていた(笑)

名前と年齢、それだけだった。

ここも適当だな……

書き終わって少し待っていると、受付の奥からリーゼルちゃんと大男が出てきた。

2mはありそうな大男が喋った!


「担当者のゲルトです。簡単な説明と戦闘の試験をしますので着いてきてください。」


予想外に丁寧だったゲルトさんに驚いた。

これからお世話になりそうだ。

オレは、ゲルトさんの後ろを着いていき冒険者ギルドの真裏にある訓練場に来た。


「ここで戦闘の試験をします。この場にいる適当な冒険者と戦っていただきます。」

「あのー、オレ、テイマーなんですけど魔物使っても?」

「構いませんよ?それがあなたの戦い方なら。」


ゲルトさんはそういうと近くで喋っていたパーティーに声をかけた。

今は、世紀末ですか?って格好の四人組パーティーだった。

武器はショートソードが3人、リーダー格はバトルアックスだ。

なんともバランスの悪いパーティーだ。


「ではこの方達の誰かと戦っていただきます。」

「ゲルトさんよぉ、こんな弱そうなガキと戦うんですか?絶対ケガして終わりですよ!」


世紀末パーティーが騒いでる。

するとさっき別れたはずのグスタフ達が見に来ていた。


「ゲストはお前ら四人でかかっても勝てないと思うよ。」

「うんうん、すごく強いんだから!」


グスタフとフィリーネが好き勝手に言ってくれた。

まったく、ハードルあげるなよ……

オレも挑発した。


「四人全員で来なよ!ゲルトさん!いいよね?」

「な、なめやがってぇー!!」


怒りに震えている世紀末パーティーを置いて、グスタフ達に歩み寄る。


「ゲルトさんに魔物を使う許可もらったんだけどどうしよ?」

「使ったら良いんじゃない?ゲストなら1人でも大丈夫だろうけど……」

「いや、使うのは確定なんだけど、どの子を使うかなんだよ!」


かごの中を見せながら聞いた。

グスタフ達は顔を青くしている。


「えっ?こんなにテイムしてるの?スタンビートの元凶ってあなたじゃないの?」

「そんなわけないじゃないかニーナ!この子達はオレがテイムした中でも精鋭達だよ!特に強い個体を残したんだ。」


グスタフ達の視線が痛い……

なんかおかしなことしたかな?


「ホント、ゲストは規格外ね……」

「ところで、どの子を出すかだけど……リュートとかキングはダメだよな?」

「ダメよ!絶対ダメ!あいつら絶対死んじゃう!」


苦笑いするしかなかった。

全力で却下されるとは……

そこで入ってきたのはスヴェンだった。


「こ、この子がいい……可愛い……」

「スヴェンの声初めて聞いたな。」

「「「スヴェンが喋ったぁ!!」」」


そんなに驚くことか?

いくら無口だって喋るときもあるだろうに。

まぁオレも今初めて声聞いて驚いたが…


「3日1片喋るかなっていうスヴェンが……人見知りのスヴェンが……今日、初対面のはずのゲストの前で喋った……」

「驚きすぎだろ!そんなことよりスヴェン、こいつがいいのか?」

「うん……」


話し合いを終え、オレは訓練場の真ん中で世紀末パーティーと向かい合っている。


「おい、ガキ!テイマーらしいじゃねぇか!魔物出しても構わないぞ!」

「それじゃあ遠慮なく……」


オレは、一匹の白いウサギを出した。

ただのウサギのわけがないんだが……


「ガッハハハ!そんなにちっこいので大丈夫かよ!」

「大丈夫だと思うよ!こいつ一匹でも余裕だよ!ゲルトさん開始の合図を、」

「あ、あぁ……」


ゲルトさんの舐めすぎだと思ってるのだろうか……

ゲルトさんは右手を真っ直ぐ上に上げて、合図と共に振り下ろす。


「これから、ゲストの戦闘試験を始める。始めっ!!!」


オレは、合図の直後にぴょんっと後ろに跳び距離を取った。

そして指示を出す。


「ユキちゃん!殺さなければ好きにやっていいよ!」

「キューっ!(わかりました)」


ユキちゃんはホワイトボーパルバニー、体長50cmほどのウサギのような魔物だ。

可愛らしい見た目に反して、鋭利な牙と猫科の動物のように出る爪で切り裂くことが得意だ。

そんな可愛いユキちゃんは、世紀末パーティーの1人が放つ上段からの

バトルアックスの振り下ろしをジーっと眺めていた。


「グッ……な、何の冗談だ?……」


振り下ろされたバトルアックスはユキちゃんの爪でしっかり受け止めていた。

ユキちゃんはバトルアックスを掴んだまま離さず動かない。

相手もバトルアックスを引き抜こうとしているのだろう、顔を赤くしながら力んでいる。

だが、少しも動かない。


「ぷはぁっ!なんなんだよこれ!!全然動かねぇ!!」

「はぁっ……、ここまでレベルに差があるのか……」


オレは溜め息を吐き、相手に聞こえないくらいの声で呟いた。

だが、相手は全員、顔を赤くしプルプルと震えている。

どうやら、聞こえたみたいだ。


「な、舐めやがってぇ!!アイツはテイマーだ!魔物がいなけりゃ弱いはずだ!!突っ込め!」


リーダー格の男が指示を出し、他の3人も囲んで切りかかる。

そんなことをユキちゃんがすんなり切られるはずもなく、受け止めたバトルアックスを男が掴んだまま振り回した。

世紀末パーティー四人はそのまま弾き飛ばされ、地面に転がっている。


「キューっ!(誉めろぉー!)」


ユキちゃんはオレに駆け寄り、撫でて欲しいのか首を伸ばす。

オレがそのままユキちゃんの頭を撫でてやると目を細め、気持ち良さそうにしている。

そしてオレは、ゲルトさんに聞いた。


「ユキちゃんお疲れ様!上手く加減したな。ゲルトさん!オレも戦ったほうがいいですか?」

「ん?あ、あぁ、そ、そうですね……できればゲストさん自身の戦闘も見たいですね……」


ゲルトさんも可愛いウサギが四人の冒険者を倒すと思ってなかったようだ。

ホワイトボーパルバニーが魔物といってもゲームでは低レベルのプレイヤーが狩る魔物だった。

要は雑魚の部類に入る魔物だ。

そんな魔物が、それなりに経験がある冒険者を、傷を負うこともなく、倒したことに驚愕しているようだった。


「で、オレが戦うかのはいいんですけど、誰が?彼らはたぶん無理だと思うんですけど……」

「あ、あぁ……じゃあ丁度いいので、グスタフ達におねが」

「「「「無理ですっ!!!!」」」」


ゲルトさんの言葉に、食いぎみで答えるグスタフ達……

世紀末パーティーも全力で首を横に振っている……

あんたら、そんな勢いで振ったら、首飛んでっちゃうよ!


「良い案……ある……」


スヴェンがまた口を開いた。


「ゲストさんの魔物達と模擬戦すればいい……」


どうやらオレは、可愛い魔物達と戦うことになりそうだ……


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