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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
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第38話 いざ、出発!!

早朝の門前には、約500人超の人だかりができていた。

多量の物資を積んだ馬車もいくつか存在している。

そんな中、少し高くなっている所に立っている男がいた。

このアンファングの領主、キースリング伯爵だ。

彼はオレの依頼主件、警護しなければならない人物だ。


「アンファング領主、キースリング伯爵である。ここにいる者達にまずは感謝を述べよう。我らアダルベルト王国に対し、ラインダース帝国が宣戦布告してきた!」


キースリング伯爵が自ら壇上に立ち、戦争になったことの次第を説明する。

自ら説明することで、顔を覚えてもらい、士気を上げるつもりなのだろう。

戦場まで補給も入れて五日はかかる。

いきなり士気が低ければ、道中の危険や進行速度に影響がでるだろう。

それも最初の内だろうが。


「この国の勝利は君たちにかかっている!皆!我らで勝利をもぎ取るぞ!!」

「「「うぉーー!!!」」」


キースリング伯爵の声に、皆が鬨の声を上げる。

出発前の士気としては上々だろう。

その後、皆が隊列を組み、出発する。

オレとグスタフ達は、中間辺りのキースリング伯爵が乗っている、馬車の周囲にいる。

さすがに500人の部隊を道中襲う魔物もなく、とても暇になりそうだった。


「この調子だと、五日間ずっとこうだよな?」

「そうだと思うぜ。ゲストは何か暇潰しできるものないのか?」

「ない!いや、リュートを出して皆をビビらせるって遊びならあるか!」

「「「やめろっ!!」」」


全力でグスタフ達に止められた。

何故か馬車の中からも聞こえた気がするが。

とにかく暇だった。

特に注意しなきゃならない夜間の警護も、この日は何も起きなかった。


「ふぁー……オレ、暇過ぎて腐りそう……」

「ハッハッハ!!そんなんで腐ってたらもたねぇぞ!」

「いや、オッサン元気だな……」

「こういうのは慣れてっからな!」


今話しているのは仲良くなった元傭兵のオッサン、ブルーノさんだ。

夕食が口に合わず、隠れて持ち物リストから出した料理を食べていたら見つかり、そして見つけたのがブルーノさんというわけだ。

ブルーノさんにも口止め料がわりに料理を渡し、仲良くなった。

初老に入るかというくらいのオッサンで、腕や顔に小さな傷があり、歴然の戦士感がある。

おそらくグスタフ達よりもレベルは高いだろう。

武器の差でグスタフ達が勝つかもしれないが。

そんなオッサンと夜の見張りをこなし、朝出発する。

2日目も特に変わらず、順調に進んだ。

次の日に、他の貴族の部隊と合流することになっているが、この調子なら遅れることなく進めるだろう。

そう思っていたのだが、夜の見張りをしている最中に、異変に気付く。

街道を進み続けてきたオレ達は、夜営の為に街道と近くの森の中間辺りの野原で、陣を組んでいた。

周囲に遮るものがなく、異変に気付けるからだ。

しかし今回の異変は、襲撃ではなく、気付けたのもオレとスヴェン、そしてブルーノさんだけだった。


「ゲスト……森の中……から声……聞こえる……女の子?」

「俺も聞こえたぜ!どうする?たぶん魔物に襲われてるぜ!」

「オッサンも聞こえたのか。面倒だけど、伯爵様の株を上げる為にも助けよう。」

「「了解」」


オレ達三人は、見張りと報告を他の人に頼み、森の中へと駆け出した。

夜の森は真っ暗で、常人では何も見えない。

レンジャーのジョブを持つスヴェンは平気そうに進んでいく。

複雑に絡まった木の根や、バラバラに生えた木を、何もないかのように進んでいく。

さすがにオレとブルーノもレンジャーのジョブは入れてなく、こういう場所の移動は手こずる。


「あのちっこい坊主は速いな!何者だ?」

「アイツはオレの次に、アンファングで強い予定の冒険者チームの一人だ。」


実際どうかはわからないが、このままオレと模擬戦を続ければいずれそうなるだろう。

下手すれば四人に負けることも……ないな。


「戦闘はともかく、こういう場所での移動はスヴェンの方が速いぞ。」

「いや俺はゲストが強いってのが信じられないんだが……」

「なんだ?オッサンも模擬戦やるか?」

「二人ともうるさい……見つけた……女の子……襲われてる……」


スヴェンが指差す先には、12歳くらいの女の子が、オーク七匹に囲まれていた。

容姿はフード付きのコートで隠れて確認できないが、逃げ回った末に囲まれたのだろう。

オークは豚の顔を持つ魔物で、人間に遭遇すれば男は食料、女は繁殖に使うために拐う。

メスが存在しないため、異種交配でしか数を増やせないからだ。


「いや!やめて!!来ないで!!」

「ブモォー!!フゴフゴ!ブギャー!!」


リーダーなのだろう、大きく立派な牙を持つオークが雄叫びを上げる。

おそらくオークの習性から、彼女を食料にはしないだろうが、別の方も彼女にとって絶望でしかないだろう。

今回は殲滅ではなく、彼女の救出を最優先として行動を開始する。

といっても二人はだが……

オレはオーク達を正面から攻撃する。

『業火炎獄』を左手に持ち、黒炎の翼を出して空を飛ぶ。

黒炎の攻撃は森の中なのでしないが、オーク達の上から鞭で蹂躙する。

瞬殺も可能だが、オーク達の中心にいる彼女を救出するために、視線を上に上げる必要があった。

鞭での一撃を顔面に喰らい、しゃがみこむ一匹以外は、攻撃された場所を探そうと怯えながらキョロキョロしている。

その姿は滑稽で、弱者に対して強く出る者がいるのは、魔物も同じだと感じた。

いつまでも見つけてくれないと作戦が進まないので、上から声をかける。


「豚さんよぉー!こっちだよぉー!」

「ブー?ブモォー!!」


オレの声に反応し、オーク達全部が視線をオレに向けた。

その隙を狙ってスヴェンが飛び込んで、彼女を抱えすぐに離脱する。

騒ぐオーク達は、無音で走り去るスヴェンを感じることすらできなかったようだ。

彼女の救出した後、やることは簡単だ。

オークの殲滅に移行する。


「ブルーノ!オークを殲滅するぞ!」

「よっしゃぁ!任せろ!どっちが多く狩れるか勝負だ!オークだけにな!」

「こんな時に親父ギャグかよ!まったく……ってちょっと待った!」

「なんだよ!何かあんのか?」


オークの殲滅はやめて、戦争の駒にする案を思い付いたのだ。

この世界に来てからテイムの実験もしていないから丁度良いだろう。


「こいつらテイムする!!」

「はぁ?こんなのをか?」

「戦争の駒になってもらうんだよ!死なない程度に痛め付けてくれ!」

「そりゃあいいや!帝国さんもビックリだわな!」


オークをテイムするために二人は動き出す。

ただ相手はオーク、普通の冒険者が一人で倒すにはDランクがやっとである。

ブルーノはDランク相当ではあるが、一人で何体も相手にはできない。

なので、オレが上から誘導するように、オークを攻撃していく。

回復魔法も上級になると手足の再生も時間が早ければ可能にである。

要は死ななければ良いということだ。

オレはオーク達の足を鞭で粉砕していく。

とりあえずブルーノの分を残して、六匹まとめて鞭で払う。

スパンと鞭の先端が当たる音が六回鳴り、オーク達が崩れていく。

もちろん、攻撃したのは足だけなので、まだまだ元気だ。

オーク達は、腕で這って逃げようとするが、そんなことはさせない。

オレもわざとらしく、オーク達の進行方向に鞭を鳴らし、逃げられないことを教える。

とりあえず地面に降り、テイムをしてみる。


「よいしょっと!面倒だから抵抗すんなよ?『テイム』!」

「ブ?プギャァー!!」


首をガンガンと振り、抵抗を始めるオーク。

『テイム』は特に苦痛があるわけではないらしい。

知能が低いからか、抵抗が激しい。

仕方がないので、次は手を潰した。

鞭ではなく足でだが。

グチャッとバキッという音が混ざった音とオークの悲鳴が響く。

先程よりも抵抗は弱まったようだ。


「なんだよ!まだ抵抗するのかよ!次はどうするかなぁ?耳かな?目かな?耳だな!」


手足よりはインパクトはないだろうが、耳にすることにした。

オークの耳を右手で摘まみ、力の限り引っ張る。

あまりの力と早さに、オークの耳は抵抗することなく引きちぎれた。

オレはオークの目の前で耳をプラプラさせる。

そこで耳が無くなったのに気付いて悲鳴を上げた。

そこでようやくオークは抵抗をやめたのだった。

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