翡翠の守護書庫 21
さすがに直ぐは作れないけど場所の選定だけはしておこう、さて、パーティーまではまだ時間が有るけど本を読む気分じゃないな、この制服愛に当てられたせいだ・・・と言う事で本屋に行こう、場所は寮に帰る方向にあるから買うにしても取り寄せてもらうにも時間的に丁度だろう。
「いらっしゃい」
店員は線の細いお兄さんだった。
「すいません、この本が欲しくて図書館からここで買うことを進められてきたのですけど、置いて有りますか?」
書いてもらっていた紙を渡して見て貰う
「確か置いてあるはずよ」
お兄さんが店の奥の何重にも本が積んである今にも#本の雪崩__ブックドラフト__#が起きそうな一角を見ているあそこの何所かに有るんだろう、マイナーな本は奥底に眠っている割合が高いからなぁ。
「しばらく掛かりそうですか?」
「いえ、すぐ取り出せますよ、[エアクッション]」
本の山に魔法を放つと本の最下部からゆっくりと持ち上がった、上手く魔法を調整しているのかゆっくりと山を左右にずらして山の中に入っていき目的の5冊を見付けたのか中から出てきて持ち上がっていた本の山はまた元の状態に戻していった。
「はい、お待たせ、5冊まとめて金貨3枚でいいよ」
本を渡されながら見てみるとそういわれた。
「かなり安いようですけど何故でしょうか?」
本にもよるが中古でもある程度状態が良い場合は最低でも一冊金貨はする、確かに積まれていてはいたが逆にそのおかげか状態はかなりいい、虫食いも日焼けもしていない、ほぼ新品同然だ。
「ああ、理由は3つ、一つは初めて来た学生のお客さんには安く売るって決めてる事、二つ目は見ての東り積まれてて殆ど買い手がなかった物を5冊も買ってくれて在庫処分になったから、最後はこういった人気のないマイナーな本を買う人は図書館にあっても常に手元に欲しいって事だからまた本を買ってくれる事が多くて大概常連に成ってくれるから其れの先行投資もかねて、以上の理由で安くさせてもらいました」
「なるほど、商売上手ですね、え~と、はい、お代の金貨3枚です」
「はい、確かに、またほしい本が有ったら買いに来てね、もし置いてなくても時間を貰えれば大体揃える事が出来るから」
「はい、その時はお願いします」
お礼とまた来ますと言って本屋を出て真っ直ぐ寮に戻り、制服ショックも落ち着いたので早速買った本を読んでみた、読んでいくうちに世界地図が欲しくなるけど知っている限るそんな物は無い、持っている地図位に簡易化された物がほとんどらしい、この地図もこのフィーラー王国が比較的詳しく書かれていてほかの周辺国は大雑把な地名と主要都市くらいしか書かれていない、その国に行けば買えるかな?
「ただいま」
「お帰りなさい」
レイアが帰って来た。
「ちゃんとパーティーの事は覚えてたみたいね、エライエライ」
ぬう、まだ十歳だからか些か子供扱いが見受けられる、まあ仕方ないか。
「しっかりパーティーの事を踏まえて行動していたので早めに帰って来たんですよ、あ、そうだちょっと魔導具につい聞きたいことが有るんです」
「何かしら?」
「布や服を作る魔導具やマジックスクロールや魔術式をコピーできる魔導具って有るんでしょうか?」
「なんでそんなこと聞きたいのかは置いといて、確かどっちもあるわよ、けど縫製魔導具は一度決めたもの以外は作れないはずで、スクロールの方は転写やコピーはできないけど、複雑じゃない魔術を一つだけ書き込んでそれを複写できる物が有って、どっちも特定の事しかできないから使い所を選ぶかわね、ああそうだ、確かここの制服はその二つを使って作られてるらしいわよ」
「そうなんですか、ありがとうございます、勉強に成りました」
「魔導具について聞きたかったらなんでも聞いてね、そこそこは詳しいから」
ふーむ、成るほど、どうやら二つの魔道具は特殊な様だ、そうやって手に入れたか聞かれても答えられないし下手すると取り上げられかねないから知られないようにしないと。
「けど、さすがに何でも知ってるわけじゃないからもっと詳しく聞きたいんだったら魔導具研究クラブで聞くのもいいかもね、一応私も入会したから案内できるからね、そういえばリタはどこかに入ったの?机の上に勧誘のチラシが一杯ある見たいだけど」
この前貰った大量のチラシは一応全部確認したけど地学や鉱物系は無かった、一番近いので宝石系のクラブが2つ有っただけだった。
「残念ですけど入りたいクラブは無かったです」
「あらそうなの、まあ強制じゃないし気に入った所が無いんじゃ仕方ないか」
「いっそ作ろうかなぁクラブ」
一人で集めれる情報なんてたかが知れてるし、ある程度の人手が有ったほうが情報も集まるし後続を育てて学問の足掛かりを作るのも良いかもしれない、調べたり研究したりする人口が増えればそれだけ多くの鉱物が発見される筈だ、元の世界でも日本で天然の新しい鉱物が最近発見されていたりもしていた位だからきっとこの世界でも知られていない鉱物が見つかるだろうし、調べる為の器具も発達していってくれればうれしいな。
 




