翡翠の守護書庫 20
地図には地名や町の名前から分かる場所に正確に書いていったが、分からない場所は大体の地域を記入しておいて正確な場所は現地での聞き込みをして特定しよう、元の世界でも古くて小さい規模の鉱山の情報は殆ど文献にも残ってないから付近の集落のお年寄りに聞き込んだりもしたなぁ、まあ聞き込みの際にそのまま小一時間ほど立ち話に成ったりもしたけどね。
お昼代わりのお菓子も食べ終えたから次の本を読もう、次は5冊のシリーズ物で世界の宝石・金属・石材・魔石・その他について書かれた物だ、宝石と金属は文字通りで石材は建材などに成る物、大理石や花崗岩と思われるものなどについて書かれている、なぜ思われるかと言うと、書かれている特徴を見ると幾つかの種類に分けられているけど産地や見た目が少し違うだけで重複している鉱物が多くあり、それぞれ名前が違うからだ、確かに花崗岩一つとっても、白黒赤といった色の違いや含有物の粒子の大きさで見た目がだいぶ変わってくるからだろう。
魔石は宝石や金属、魔化された物全般についてで、その他は石炭や砥石なんも書かれている。一冊一冊はA4コミック程の厚みで差ほど欲しい情報が多くないかと思ったけど、挿絵やいくつかの産地がしっかりと書かれていて大変素晴らしい。この本欲しいな、売ってないかな?さっきの受付の受付の人に聞いてみよう。
「すみません、このシリーズの本なんですけど購入する事は出来るでしょうか?」
「購入ですか?できなくはないんですけど、ここの本は防汚魔術が掛けられていて倍ほどの値段がするから本屋で買い付けたほうがいいですよ?もちろん置いていないかもしれませんけど集めてもらうことも出来るの本屋がここにありますよ」
話してる間にメモに簡単な地図と店の名前を書いてもらい手渡された。
「ありがとうございます」
さて、このまま本屋に行こうかな、それともまだ教えてもらった本を読み漁ろうかどうしようかなと考えていると、ふと奥の壁に掛けられた肖像画に目が言った。もちろん美術的に興味があるのではなく、描くのに使われた原料に興味が有るからだ、赤い服は辰砂かな、黄色い部分はオーピメント(砒素の硫化鉱物)かな、あ、ちょっと硫黄臭い。
「その絵が気に成る?」
また受付のお姉さんに声を掛けられてしまった。
「はい、何時頃の物でしょうか?」
「この都市の創設者の絵だからざっと60年ほど前の物かしらね、この図書館の初代館長でもあるからずっと飾られてるものよ、下に説明が書いてあるプレートが張られてるわよ」
確かに名前や年号が書かれてるが、もう一つ良く知る文字が書かれてた。
「この文字は・・・」
「あ~それね、初代館長が残した暗号らしいけど今まで一度も解読された事がないそうよ」
「へ~、そうなんですかぁ~」
まあ、暗号じゃなくてこれ日本語だし、内容は「私と同じ転生者がこれを読んだならここに隠してある物が役に立つはずだ」と隠し場所が書かれてる、役に立つ物かどんなのだろうかな行ってみよう。自分の前がこの人だったはずだから偶然転生者以外の誰かに見つかってない限り荒らされては無いはずだ。
受付のお姉さんにもうちょっと本を読んで行くと告げてそそくさと隠し場所に向かった、場所は奥まった所の角の壁だ柱や本棚で上手く周りからは見えにくくなっている、目印はマジックランプの燭台の装飾が少し違うだけで知らなければ気にしないくらいの物だ、燭台の下、翡翠製ブロックの3つめに魔力を通すと切れ目が浮き上がって来た、これを少し押し込み離すと反動でその部分がスッと飛び座してきた、引き出しの様に空間が出来ていて中には一冊の本と二つの物が入っていた。
「何だこれ?ごみ取りのコロコロと輪っか?まあいいや、本の方はっと」
本は同じ転生者に向けた指南書見たいな物かと思ったけど違った、うん、たっぷりと制服への愛が語られていた、少し読んで元の場所に投げ入れようかと思ったけど、ちょいちょい制服に付与されている魔法や魔術についても書かれている、鉱山でも使えそうだなこれは、参考にしよう。最後の方に2つの魔道具について書かれていた。
なになに、「環状の魔道具は簡易に衣類を作ることができる縫製魔道具で素材をスロットに入れれば布から服まで色々制作できる、棒状のものがスクロールの簡易制作器で、既存の術式をコピーして量産でき、また服に付与したり、普通の文章のコピーもできる、これらを使って君だけの最強制服を作り出してくれ」と、制服はともかく何かしら使えそうだな、ありがたく借りて行こう、入って居た場所に「お借りします。リタ=ラインバース」と書いた紙を入れておいた。
レイアにこの魔導具について聞いてみようかな、けど見つかったら分解とかされそうだから持ってることは言わないでおこう、部屋ではできないから何所か人目に付か無い場所でも無いかな・・・無かったら作ろうかな。