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水晶の迷い道 3

 二人が帰った後、ヘレンが復活したのでキャンベルと交代した、昨日言っていた運動もかねて二人で屋敷内を歩き周ることにした、服装は寝間着のままではダメと言われたので諦めて着替える。

 ヘレンがクローゼットから取り出したピンク色のフリフリ付きの服に着替えて姿見を見ると、栗毛色の髪をセミロングほどで切りそろえた中性的な顔立ちの子が映っていた


「お嬢様良くお似合いです」

「あ、ありがとう」


 贔屓目なしにかわいい、成長したら素敵な綺麗系美人に成るだろうが自分の事だと思うと複雑な気分になった、このかわいい服も似合っているがボーイッシュな格好も似あうことだろう。そういう服はクローゼットには見当たらなかったから買わないといけないけど・・・って何考えてるんだ俺は!、精神は肉体の玩具に過ぎないと誰かが言っていたが精神が肉体に引っ張られてるんだろうか・・・


 それはともかく、着替えたので早速出発する、初めはお父様の書斎にあいさつに行こう、一緒にお母様も居るそうだ、ここ五日間業務が一部滞っていたので書類の処理に朝から追われているらしい。


「おはようございます、お父様、お母様。今回は心配をさせてしまってごめんなさい」

「おお、おはようリタ、謝る必要はないぞ人として素晴らしいことをしたのだ、その結果怪我をしてしまったが今は元気にしているのだし良しとしよう。ただ出来ればもう怪我をしないように頼むぞ」

「おはよう、もう歩いて大丈夫なの?」

「はい、人を助ける時にもなるべく怪我をしないように気を付けます、体の何所も痛くもないので歩けるのですけど、何日も眠ってたからか少し体が重たいので運動して体力を取り戻そうとと思っています」

「そう、よかったわ、もう少しお話ししていたいけど仕事が溜まってしまってね、てんてこ舞なのよ、昼食は無理だけど夕食は一緒に頂けるかしら?」

「お嬢様だけ違うお食事に成りますがよろしいですか?」

「リタ、それでもいいかしら?」

「はい、大丈夫ですお夕食楽しみにしていますね、ではお仕事のお邪魔になるようなので失礼します、お仕事頑張ってください」


 私とヘレンは一礼して退室して、今度は厨房に向かった。余談になるが父と母は朝も私の部屋に来ようとしていたがヘレンに止められて「後でお嬢様と一緒に伺い致しますからお仕事をなさってください」と書斎に強制連行されたらしい。


 「お嬢様、お目覚めに成られたと聞いていましたがお元気そうでよかったです、そうだ、そうだ、こちらをどうぞお食べ下さい」

 料理長が出してきたのは黄色い表面に縦に赤く細いスジが見える桃のような形の果物?を切ったものだった

「これは何ですか?」

「こちらはピュラムの実といいまして消化に良くて滋養強壮にいい食べ物でしてぜひ食べて頂こうと知り合いに頼んで獲りに行ってもらったんです、毒見はしましたので安全ですよ」

「そうなのですか、では頂きます」

 添えられたフォークを手に取り一口食べると、口の中に桃とメロンを足した様な味が広がってきて、少し体が軽くなり力が沸き上がるような気がしてきた。

「とってもおいしいです、あとなんだが体が軽くなった気がします」

「このピュラムは栽培出来なくて森の奥の方で不定期に実るそうなんですが実っても3日ほどで無くなったてしまいその木も枯れてしまうそうなんです、代わりに食べると体力と魔力を回復してくれるのですよ。ただ、効果がピンキリでしてこれは当たりのようですな」

「そうなんですか!そんな貴重なものを、高かったんではないですか?」

「お気になさらず、獲ってきてくれた冒険者に貸しがありましてね、それに人助けした立派なお嬢様には早く元気になって貰いたいですから、これで少しは体調が良くなると思います、ただもう少しだけ胃に優しい食事をお出ししますので今しばらく我慢してください」

「もうちょっとだけオートミールで我慢するけどもう少し具を入れても大丈夫だと思うからよろしくね、ピュラムをありがとう体が軽くなったよ」


 ピュラムを完食して調理場から出て行き、歩きがてら他のメイドさんにもあいさつしつつ部屋に戻ってきた。

ピュラムのお陰か疲れた感じはしない、さすが魔法の有る世界だ食べてすぐ効く食べ物が有るとは思わなかった、この様子なら元の世界にはない鉱物が有るに違いない、父の店にも変わった物が有るかもしれないまずはどんな物が有るのか調べないといけないな。

 昼の鐘が鳴り少し具が増えたミルク煮を食べてからヘレンに頼んで宝石の本が無いか頼んだら持ってきてくれたが、過去の宝飾品の絵付きの目録?デザイン図みたいなものだった。まあ見ていて面白いしいいかとパラパラ読んでいくと女神さまが身に着けていた物に近いデザインを見つけた、首飾りの大きな宝石の絵は無かったがイヤリングなどの宝飾品が似ていた、細部が違うのと宝石の配置が違うから同じ人の作品だろうか?えーと今から約300年前の作品か、作った本人はもう亡くなってるだろうけど弟子とかいれば採った原石の加工とかしてもらえたらいいんだけどなぁ~と思いながら読んでいると夕食の時間となり呼びに来たヘレンと食堂に行こうとすると


「お嬢様、お夕飯の前にお風呂にお入りください」

「お風呂はちょ「6日間も入って無いのですよ、眠っている間に体を拭いたりしていましたがそれだけでは足りないですからね」


逃げる前に逃げ場をふさがれてしまった。


「そうだね、わかった入ろうじゃないか」


妙な言い方に成ったがお風呂に行くとキャンベルが待っていた。


::::::


 さっぱりしてきました、子供の裸を洗っても何も感じないし自分の体だし特に何も感じなかったけど、問題は私の体を洗うためにキャンベルが一緒に入ろうとしたので全力で阻止しましたよ、程よく育った彼女の体は危険な物だった。


 夕食では、私がピュラムを食べて調子がだいぶ良くなったことをを伝えると喜ばれた。私はミルク煮だけなのですぐに食べ終わってしまったが話しながら二人の食事に付き合って食べ終わるまで一緒にいた。

 部屋に戻って新しい寝間着に着替えてベットに入ったらすぐに眠ってしまった。


 目が覚めると真っ白い空間に居た、ここは見たことが有る場所だ、その女神さまたちの姿が見えないがまだ来ていないのだろうか?と思っていたが視線を少し下げると二人して土下座スタイルでお出迎えされていた。


「「大変申し訳ございません」」

「えーと・・・顔を上げて立って下さい」


 話しずらい事この上ないので立ってもらう、二人ともゆっくりと立ち上がった。


「謝っている理由は分かりますが念のため教えてください」

「はい、あなたを間違えて女の子の体に送ってしまったことです」

「ワシが確認せなんだせいでもあるから本当にすまんのう、違う体に入ったとかではないでは無く始めっから間違えていたんじゃよ」


 予想通りの解答だったが、この女神さまはドジッ子なのだろうか?そうだとすると、うっかり世界が終わるとか無いと良いんだが・・・


「そうですか、性別の変化とか今から違う体ってわけにはいきませんよね?」

「地上の生物に干渉するにはできますが数百年単位での話で、それも生まれる時にしか効果が有りません、すぐに変化させようとすると肉体が耐えれませんので、今から違う体に転生もできますがその子の体から出ていくと融合した魂も一緒に付いていく事に成るので昏睡してそのまま亡くなってしまいます

 やはりうまくはいかないか、この子の周りの人を悲しませるのは気分がよろしくない。ただまだ幼い体型だから耐えれるけど成長していったらどうなるか分からん、あと5年~10年したら絶対に美人になることだけはわかるけど精神が耐えれるか分からん。


「そうですか・・・えーとですね、今はまだ大丈夫なんですがね、もっと成長すると下手したら自分自身に欲情してしまうとかあると思うんですよ、何とかなりませんか?」

「えーあー、そうですよねぇ、見ず知らずの異性の体ですからね・・・そうですね、感情を抑え込むと精神や魂に良くないので逸らすようにしてみますか?例えば自分へのそういった感情はすべて美しいとか可愛らしいと思うようするとかはどうでしょうか」

「それはナルシストみたいなものでしょうか?あまり気持ちの良い物ではないんですが・・・」

「近いですね、とは言っても時間の経過がごとに肉体と精神が完全に馴染み、あなたの認識も変わってくるものですから折をみて解除しましょう」


 それって洗脳に近い気がするけど、認識や考え方なんて知らず知らずに変わっていくものだからなぁ、今後何かあったらさらに対応してもらおう、取り急ぎ対応すべきことはもう一つある。


「分かりました、そのようにお願いします。あと生理は止められますか?」


 これはつらいと聞いたことが有るので、止めれるならそのほうが良いと思ったからだ。


「えーと・・・まだ始まってないようですし、できますけどそれをするとおそらく家族に心配されますよ?」

「あ~そうか・・・」


 額に手を当てる、そういえば今回は体が有るな、今の体のサイズだな。


「一回だけ、初潮だけお願いします、その後はなんとか誤魔化してみますからお願いします、途中で再開とかできますか?」

「ええ、できます、そのようにしましょう」

「おぬしはもっと怒ってもいいと思うぞ、前来た時もこっちは怒鳴られる覚悟をししておったのだからな」

「まあ、そちら側のミスで死んでしまった事については少々怒りを覚えますが、自分の見たことのない鉱物が有るならそっちを楽しみに思うほうが楽しいじゃないですか!」

「ほっほっほ、豪胆というかなんというか、よし、では体の方の問題は解決したようだし次は魔法とスキルじゃ」

「そういえばそんなことを最初に話してましたね」

「これらはまあ、おぬしのおった世界の[げーむ]とやらを参考に作ったステータスで見れるようになっておってな、おぬしの場合はこんな感じじゃ」


リタ=ラインバース

10歳 女性

HP30/30

MP80/80

状態 衰弱(極微)

魔法

 なし

スキル

 目利き(鉱物限定) 細工師見習い

称号

 自己犠牲


 目の前に半透明の画面が出てきて上記のことが書いてあった。スキルは前世の趣味が影響してるんだろう、自己犠牲はこの子の行いで付いたものだろう、気に成るのはMPが微妙に高いことかな、平均を知らないから分からないけど、あと採掘スキルが無いけどなんでだめっちゃ掘ってたよ?


「他は何となくわかるんですがMPが微妙に高いのと採掘スキルが無いのはなぜでしょうか?」

「MPはピュラムのを食べたじゃろあれのお陰じゃ、というかわし等が用意した物じゃからの、少しばかし多めに発生させて見つかりやすくしてわしの力でちょっとばかし効果を高めて衰弱を緩和させたんじゃよ」

「なるほどだからあんなに効果が高かったんですね」

「あの実はただ回復する場合と回復しつつHPとMPの底上げをする場合が有るからの、見つけたらなるべく食べたほうがいいぞ」


 なるほど、見つけたら食べつくそう。


「それで採掘なんじゃが、坑道を掘っていても自分の力ではなく機械を使っておったからだと思うぞ」

「なるほど、確かにあの坑道では掘削機を使ってましたからね、ほかの場所だと石を割ったりちょっと掘るだけでしたからそのせいですね。」

「その辺はこれから与えるでの、でじゃ、おぬしに魔法とスキルを授けるのじゃがわしらに与えられるのは、儂に関係する物の魔法は中級まで与えられる、スキルは入り口、最初の見習いなどまでじゃが上がりやすいからのすぐに上達していくぞい」


 中級以上も与えられはするが今の状態だと下手すると暴走して魔力を食い尽くしてぽっくり逝くとの事、もちろん鍛えれば上級も使えるようになるらしい。

 また、この魔法の等級は、その属性ごとの魔法の使用許可みたいなもので、等級が上がるほど使える魔法と魔力が上がる。ただし、それぞれの魔法は教えてもらったり魔法書で覚えなければ使えない、等級の上げ方は所持魔力量の上昇と魔力の操作、それぞれの属性の魔法の扱いが上手くならないといけない、その3つの条件が整えばステータスに反映されて等級が上がるとの事。普通は無級から始まりここでそれぞれの属性魔法の初歩の初歩を覚えていく。


「なるほど、地神さまなら魔法なら中級魔法の土属性とかでスキルは採掘等ですね」

「その通りじゃ、あとは開拓とかダウジングもあるのう、目利きはおぬしは持っておるの、まあいま付け無くとも儂らに関係あるスキルは取得できれば伸びやすくなるからの」

「なるほど、では女神さまはどのような魔法とスキルに成るのですか?女神さまなら光とかですかね?」


 さっきから黙っていた女神の体がびくっとなった・・・


「わたしのは・・・」

「アルフェンフリーデ様に関係しているのはのう、魔法は全てなんじゃが」

「え!全てなんてすごいじゃないですか!」


 女神さまは顔をそらしながら絞り出すように言った


「全ての下位魔法までです・・・」

「何か問題が有るんですか?下位でも全部の魔法を使える様に成るのはすごいじゃないですか」

「あー、そのだの、確かにすごくはあるのじゃが、まずの、一度の魔法発動で使える魔法は多くて2つで、よっぽど器用な者で3つなんじゃよ」


 ふむ、ここまでは分かる。


「魔法は火水風土木光闇無属性とあって、それぞれに上中下無の級に分かれておって、それぞれが別物として扱われるから戦闘で使うなら威力が強力で使い勝手のある属性で一点特化した方が良いのじゃよ何度も使わないと上がらんからの、それに全部の初級を覚えるものは意外と多くての、冒険や旅で使い勝手が良い魔法も有るからなんじゃが攻撃力は今一つじゃ、だからすべて覚えても己にあった魔法の一つか二つを鍛えて伸ばすのがこの世の常識見たくなっておる、だから珍しくはないのじゃよ」

 聞き終わって横の女神さまを見ると体育座りで膝を抱えて「やらかしちゃったのに何にもできないんだわたし」等とぶつぶつ言っている

「えーと、初級でも嬉しいですよ!スキル、スキルは何が有るんですか?」

 少々強引に話を変えてみると、膝を抱えたままだったが力がこもった声で。

「私が与えられるスキルは神託・幸運・鑑定等です!幸運は文字通り運が良くなるもので、鑑定はこの世に知られている物は何でも解ります、鑑定を使うときは指で輪っか等の枠を作って鑑定したい対象を見れば鑑定されますよ、ただ漠然と鑑定しようとしたり動いている物や遠かったり視界に入っていないと行えなくは無いですが精度が落ちますので使う際は気を付けてください」

「おお、便利なスキルですねありがとうございます、幸運と神託も付けてもらえますか?」

「もちろんです、信託はそちらから声を届ける事も出来るので何かあったら連絡してください」

 

 女神さまは、すでに立ち上がって居て調子を取り戻した様なので一安心だ


「分かりました、今日の所はこんなものですかね?」

「それと、女神の加護を与えておきましょう、これが有ればドラゴンと戦わない限り生き延びられます」

「ドラゴンですか・・・合わないように気を付けます」

「滅多に合うものではないですがね」


 女神さまそれはフラグですか?


「あと、加護を付けている事がわかると少々面倒ごとに巻き込まれるかもしれないのでこちらで何とかしておきますね」

「?はい、わかりました」

「それではお戻りなさい、またいつか会いましょう」

また目の前が真っ白になり何も見えなくなっていって眠りに落ちた。


リタ=ラインバース

10歳 女性

HP60/60

MP380/380

状態 健康

魔法

 下級(火水風木光闇無)

 中級(土)

スキル

 目利き(鉱物限定) 細工師見習い 神託 幸運 鑑定 採掘初心者 開拓素人 ダウジング初心者

称号

 自己犠牲 女神の加護

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