翡翠の守護書庫 9
しかし、物は試しで使ってみる、ここに置かれてるなら最低でも使う分には問題ないはずだ、スライムのを使ってみよう。
「え!そのスライムのつかうの!?」
「アーリーちゃんチャレンジャーね、たぶん誰も使ったことないわよそれ」
「女は度胸ですから」
スライム入り石鹸を手に取る、見た目は若干青く半透明な事以外は普通の石鹸だった、匂いも普通、ただ持った時若干ぬるっとしていた、しかしそれのおかげか泡立ちが良い、すごくいい。
「これはすごく泡立ちが良いです、もっちりとしたきめの細かい泡が出来るみたいです」
もしかするとスライムの成分にヒアルロン酸か何か有るのだろうか?試しに両手で輪っかをにして息を吹きかけてシャボン玉を作る、すると息が続く限り細長いシャボン玉ができた。輪を閉じたら細かったものが幾つかに分離したりしたがそこそこ大きい物も残ってふわふわと浴室の中を飛んで行った。
「これ面白いですね、多分ですけど肌の水分を保つ事が出来ると思いますよ」
飛んで行ったシャボン玉はずっと浮かんでいる、お風呂の蒸気に乗ったのか落ちてくる気配がない。視線を横に居る二人に戻すと獲物を狩る様な目に成っていた。
「お肌がプルプルになると」
「モチモチにもなるはずよね」
「多分なので使ってみないことには」
「「じゃあ使うわ!」」
二人とも疾風のようなスピードで石鹸置き場にスライム石鹸を取りに行った・・・
「転んだらあぶないですよ~」
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風呂上がりにフルーツ牛乳を飲みながらスライム石鹸の感想を言い合っていた。三人とも潤いを持ったツヤツヤとした肌の輝きを放っている。
「想像以上に保湿されましたね、あの後もシャボン玉はずっと浮いていましたからもっと面白いことも出来そうです」
「最近ちょっとカサついてた肌がもっちもちよ、これであいつが何も言わなかったら引っ掻いてやろうかしら」
「私も変わったものはどんどん試していかないと駄目ね、けどまさかスライム石鹸でこんなに瑞々しくなるなんて思わなかったわ」
この話を聞いた人たちからどんどん多くの人に口コミが広がっていき、数日後にはスライム石鹸の奪い合いが始まってしまった。
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翌日、校舎に入る際に駅の改札口のような物に学生証をかざすと今日の授業を行う場所が印刷された紙が出てきた。
「魔法と戦闘は一緒だけど座学だけ私は違う教室ね、初めは座学だから一旦お別れね」
三人と別れて教室に入り適当な場所に座っていると次第に人が入ってきて、50人くらい集まった時に鐘が鳴り、教員と思しき男性が入ってきた。
「皆さん、おはようございます、このクラスの座学担当に成ったヒビヤです、どうぞ宜しく、まず、このクラスは入学試験ですべてにおいて上位の人だけのクラスになるので正直なところ、どの程度までの学力が有るのか解りません、そのためこの後のテストで確かめさせて貰います」
教室中がざわついてい間に手早く風魔法でテスト用紙が飛ばされて来た。
「このテストは評価などに繋がる物ではないので気楽に回答してください、では始め!」
いつの間にか持っていた大きめの砂時計を逆さにして開始された、テストの内容は言語系、魔法知識系の二系統だけだった、言語系この大陸での公用語の他に古代エルフ語やドワーフの難解な方言など一般的に使われてない言語の問題も混じっていた。
魔法知識はそれぞれの系統の魔法を3つ答えるものや、下記の魔法円で発現する魔法は何かまた、魔法円の基本的効果や用途を答える物まで有った。
(古代エルフ語とか解らないはずなのに読めるし書ける、この辺にも自動翻訳が聞いているのか有り難いけど、何か言い訳考えておかないといけないな、魔法円はクリューデさんから教えて貰っていたので大丈夫だ、確か効果は普通に魔法を使うより魔力の消費がかなり抑えられるはずだからスクロール等によく使われるっと)
そのほかの問題もさらさらと解いて行き全て記入していき、しっかり書き終わった後、確認していると、時間が来たようだ。
「そこまでです、回収するので手を放してください」
風にテスト用紙が巻き上げられてヒビヤ先生の手に集まっていく。
「では採点しますのでしばらく待っていてください、ああ、自由にしていて構いませんよ」
教卓で、ものすごいスピードで採点している・・・加速系の魔法かな?今度覚えよう。
「あの、少しよろしいですか?」
「何でしょうか?」
話しかけてきたのは1人だが後ろにもう2人居る、同い年位の女の子たちだった
「入学試験の日にカフェの人に水晶の置物を差し上げていたのを見たんですけどあれは何処で作られたものなんですか?」
ああ、テラス席だったから見ていたのか、ん~この場合お兄様のお店と王都のお店を教えるべきかな。
「あれは王都の実家が経営しているお店で2月ほど前から作り始めた物ですよ、この都市だとお兄様のお店で売られているんですが、王都から送られるとすぐに完売してしまいますから買えるかどうかは分からないですけどね」