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翡翠の守護書庫 9

「ちょっと買いすぎてしまいました」


 魔法の箱(マジックボックス)に全部入れて行ったので、さして嵩張らなかったが、お金が十分あったので調子に乗ってしまった。生活費とお小遣いはお父様から十分に貰っているので1年は余裕で生活できるくらいはある、なので使い切る位の勢いで使っては見たが半分も硬貨が減らなかった、正確な硬貨の価値は把握していなかったが今回の買い物でおおよそ判断できた、値引き交渉はお兄様とアーリーさんがやってくれて参考に成った。


「ほんとずいぶん買ったわね、鍋とかも買ってたみたいだけど自炊でもするの?」


 寮の裏手に男子寮と共用の炊事場がある。そこ以外の部屋等で火を起こしたら厳重注意の上で何らかの罰当番が発生するらしい。


「料理も作ろうかと思いますけど、もうちょっと面白い事をしようかと思いまして、時間がかかるのでもうしばらく後に成りますけどね、レイアも何か買っていましたけどあれは何でしょうか?」

「これの事?持ってから魔力を流してみて」


 レイアさんが渡してきたのは葉っぱを落とした変哲も無い枝だけど、とりあえず言われた通りに手に持ってから魔力を流すと徐々に冷たくなってきた。


「冷たいく成りました!これは一体何ですか?」

「これはコールドウッドといって、熱い場所で育つ為に魔力を冷気に変えて暑さに耐える木よ、ある意味天然の魔道具ね、このあたりだとあんまり見ないから買ってみたの、枝だけど携帯式の冷却器として使えるから暑く成ってくると重宝するわよ」


 このあたりの気候は冬でも暖かく雪は余り降らない、かといって夏が極端に暑くなるわけでも無いらしい、この世界の地軸はどうなっているんだか、確実に地球よりは角度が甘い用だけど確かめる術は無いから考えないようにしよう。


「それは便利そうですね、その逆に暖かくなる物もあるんですか?」

「確かホットウッドて言うのが有るわね、コールドウッドと真逆の木だけど元々は同じ木だったらしいわ」


 なるほど、進化の過程で生息域を伸ばす際にそれぞれの環境へ適応していったのか。

 まてよ、こういった魔力に反応する植物が珪化木に成ったらどうなるんだろうか?


「そうなんですか、そういった変わった木や植物も面白そうですね、鉱物や宝石、魔石等で、そのような性質の物も有るとは知っていましたが、植物にも有るのですね」

「魔石だと暑い地域なら火、寒い地域なら氷系の魔獣から獲れるらしいわね、いつか狩りに行きましょう、そういえばそろそろお風呂入らないとね、行きましょうか」


 危険な時間に突入してしまった


::::::


 寮には千人規模の大浴場があり、結晶質石灰岩で作られた美しい浴槽と彫刻、壁には優雅な花園の絵が描かれていた。

 結晶質石灰岩とは変成岩の一種で、石灰岩中の方解石が後から熱による変性を受けて再結晶した物(袋に入ったグミを熱い所に置いておくと一塊に成るようなもの、厳密には違うがイメージとして)で良く知られた名前だと大理石と呼ばれるが、名前の由来は確か「大理」と言う昔の国名(今は中国の自治区)から着けられたらしいけど、自動翻訳されてるのか問題なく言葉で伝わっていて今更だけど不思議だ。


「綺麗な浴場ですね!」

「そうね、お風呂なんてあんまり入らなかったけどこれはずっと入って居られるわね」


 この世界ではあまりお湯につかる文化は無いようで、屋敷に風呂が有ったため気が付かなかったが、普通は沐浴らしい。やはり日本人として風呂に入らないと気がすまない、王都を出てから今日まですべて沐浴で済ましていたので久々にさっぱりできるのだが、問題は隣の双丘だった。


「湯気が仕事してません・・・」

「何かいった?」

「いえ、なんでもありません、さあさあ、そこでかけ湯をしてから入るのがマナーらしいですよ」


 風呂の入り方が掛かれた板が壁に掛けてあった、風呂に入る人が少ないからだろう。かけ湯を浴びて体の汚れを落としつつ温度に慣れてから浴槽に入る。


「ふぅ~気持ちいいですねぇ~」

「そうねぇ~」


 寮の入学者の数で分かるかもしれないが、とにかく人が多い、比較的女性は少ないみたいだがそれでも多い。聞いたところ、学院関係者なら寮生以外でも利用できるらしく寮外から入りに来る人も多々居る。つまり今現在多数の女性が入っている、目のやり場は無いので目をつむって瞑想、というか、この状態で興奮できなかったら魂の漢が無くなってしまう気がするので見ない、今は手で背を預けている上からお湯が壁沿いに流れてくる場所を触っている。

 風呂は一つだけでなくいくつか棚田状に分かれていて、今いるのはその最下段、ややぬるいのが心地よい、ついでに溶けだした石灰岩が再結晶して滑らかな表面を形を作り出しているのでそれを堪能中だ。


「つべつべ・・・イイ」

「何やってるのよ、つべつべって?つるつるの事かしら?」


 程よく体が温まったところで、体を洗う、石鹸が備え付けられているので見てみると固形石鹸が幾つも有った、番号と説明が書いて有る、試作品がここで評価されるのね。けど石鹸て高級品じゃなかったかな?かなり大量にあるみたいだけど本当に使って大丈夫なのかな?


「あら、奇遇ね、どうしたの?」

「アーリーさん、この石鹸は使ってもいいんですか?」

「大丈夫よ、ここ最近で石鹸の元がたくさん獲れる植物の大量栽培に成功したから古い物を使って新作を量産してるらしいわよ、問題は作りすぎたせいか外れもあるから注意してね、すっごい臭いのとかが有るわよ」


 人気な物は減りが早いのか殆ど残って居ない、説明を見るとバラなどの香油を混ぜた物らしい、確かにいい匂いだ。


「そして人気がないのはこれらね」


 硫黄配合や木炭粉末入り、更にスライムゼリー入りって何だよ、大丈夫なのかこれ?この三つのような、臭いが変、色が地味、謎の素材が入っている石鹸は手が付けられた痕跡がほぼない。


「硫黄と木炭はともかく魔獣の一部を入れるのはどうなんだろうか・・・」

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