7 ダラス様
「ダラス・・・?」
思わず呟いたその単語。
どこかで聞いたことがあるような・・・?
(ダラス様を守れ!)(ダラス様になんと無礼な!)
ああ、そうだそうだ!俺が公園でマジックショーをしていた時の観客がそんなことを言ってたっけ。
「あのさ、そのダラス様って何?」
その質問にチロルは目を丸くする。
「ホントに知らないの?え~っと・・・」
あ、そうだった。俺の自己紹介がまだだったな。
「長谷川だよ。長谷川悠」
「ハセガワ・・・?ハセガワはダラス様を知らないの?」
「うん、知らない」
「じゃあ調査団の人の勘違いかなぁ」
チロルがダラス様についての説明を始める。
ダラス様とは、数百年前に実在した大魔道師のことらしい。
そしてこの世界に様々な影響を及ぼし、今となっては伝説として現代に語り継がれている。
そして今では、”大魔道師の代名詞”として、”ダラス様”という言葉が使われているとのこと。
「チロルも魔法を使えるってことだよね?」
「うん、・・・ほら」
チロルの手のひらには、ピンク色で小さく可愛らしい炎が灯っていた。
チロルの話を聞いている内に様々なことがわかっていった。
ここは日本では無いと言う事、俺がダラス様、つまり大魔道師だと周囲から思われているということ、ここは魔法を専門とした学校のある学生街”ガゼル”だということ。
そしてそれらを大前提として一つ。
この世界には魔法が実在しているということ。
「ちょ、ちょっと待て!俺は魔法なんて使えないぞ!」
「え?でも公園で魔法使ってたよね?」
「いや、あれは・・・・ッッ!!!」
悟った。色々な事、すべて悟った。
繋がってしまった。訳も分からず、線が一本になってしまったのだ。
まさか、まさかそんな!!でもでも、そんな馬鹿な!!
「あれは手品だ!魔法なんかじゃない!!ガゼル?ダラス?知るか!!俺は魔法なんて・・・」
「ねえ、」
「何だ!?」
「!!ひゃあっ!」
チロルは叫び声を上げ、少し震えている。
まずい、つい感情的になってしまった。
折角こんなに小さい女の子が俺のために頑張っているのに、俺が怖がらせてどうする。
「ごめんな、つい大声を・・・で、どうした?」
「うん・・・あのさ、手品って何?」
「・・・!?」
ここまで見てくださった方々、ありがとうございます。
文章力が乏しく、飽きっぽい私ですが、頑張って完結させてみたいと思います。