ギャンブラー
遅くなって申し訳ないです
「ふっ……これでバターは俺のものだ」
なんてことを国家資格の一級フラグ建築士の資格をもつダイヤさんが言っちゃったもんだから……。
「あ……やっっべ」
ポーカーをやっていてワンペアすら出ないってどういうこった……などと考える余裕があるだけまだマシと考えるべきだろう。一枚捨てて一枚引き直す。
ぁ……やっっっべ。キレイに何も特徴がない数字が出揃った。
「あ、やっっっっべ…………」
結局、ワンペアすらできなかった。
あー、そういや全賭けだったな……。ひゃっはーーーーー…………。
「ショーダウン!!」
オッサンの出したスリーカードVS我らのノーペア。
戦いはここに決した。
「はははは!!どうやら我の勝利のようだな!!」
そうです。あなたの勝利です。なんて答える余裕も気力もさっき賭けちまったからもう無くなった。
「まあ落ち込むな、うちに来い!!バターくらいやる!」
「マジで!?」
真っ先に食いつくダイヤに少々冷ややかな視線を送ってからレイも聞く。
「本当に良いんですか?」
「いやぁ楽しみたかっただけだし…………あ、でも金は返さんぞ」
レイは重要なことに今更気が付いた。本当に今更。
アルレド=気前のいいオッサン。
そう、コーヒー豆の袋を着てるけど、ちょび髭だけど、テンガロンハットだけど、結局は気前のいいオッサンだったのだ。
「…………神様仏様アルレド様ぁぁぁぁぁ」
三人まとめて五体投地。全力で感謝の意を示す。
そして、レイたちは気づいていなかった。いや、忘れていた。ソーセージの事を……。
と、まあそんなこんなでアルレドの家に到着した。
煉瓦造りの3階建て、造りは伝統技術を生かしていて、もし将来、
家を買うならこんなのがいいなぁ、と思えるようなデザインだ。
「お帰り~とうちゃ!!」
急に、アルレドに抱き着く子供がいた。
多分、「お父ちゃん」の事を言ってるんだろうが「とうちゃ」になっているのは愛嬌だろう。実のところ、全くもって幼女属性ではないレイでさえ何かのスイッチが押されかけた。
「おにーちゃん......誰?」
訂正。スイッチが押された。
首をいい感じに傾けて聞く姿は愛嬌か。一人っ子としては妹がいたらこんな感じなんだろうなぁ......と、しみじみとしていたら一級フラグ建築士様が口を開いた。
「俺達は......アルレド様に施しをしていただく者です‼」
あれ!?英雄じゃなかったの!?
そんなことが舌の上辺りで躍り狂うが知ったこっちゃない様子で。
「御父様には、我々が死に瀕しているところをその深い慈悲によって助けて頂きました‼」
こいつはギャンブルにプライドまで賭けたのか。ギャンブルで失敗して無一文になり、死に瀕したのは事実なので間違っちゃいないが。
「10kg位でいいか?」
深い慈悲の御父様がいらっしゃった。バケツのなかには黄金色に光輝く大量のバター。俺達を救う最終兵器。
「あら、お客さん?」
アルレドの妻と思われる、女性の落ち着いた声。
「あっ....ど......」
どうもお邪魔しています、の言葉が続かなかった。
ダイヤとイグナも同じ様子で固まっていらっしゃる。
きっと、言いたいことはただひとつ。
「「「奥さん、めっっっっっっちゃ美人!!」」」
3人の意見が完全に一致したのは初めてのコトだ。
もちろん、口には出してないが。
「あら?よろしければ晩御飯も召し上がっていって、ご飯は大勢で食べる方が美味しいですもの」
人妻属性もないはずだった。過去形なのは......多くを語るべきじゃないな。
「あ、じゃあ頂いていきます」
かくして、『美人人妻の手料理を喰らう回』という謎のイベントが発生したのであった。




