君の香りが・・・
「さて、生態調査も兼ねて1層から進んでいこうか。」
水没した遺跡のように、壁面の周りにところどころ緑色が見える。
探索者はそこそこ多いはずなのだが、足元にはヨヅルの足跡しか残っていない。
「なんだ?なんか変な感じだな・・・」
そうは思いつつも、さして気に留めず2層まで降りていった。
「げ・・・」
階段を降りきる直前にヨヅルは見てしまった。
その顔には嫌悪感が残るが、退散する前に気づかれてしまった。
「やあ、ヨヅル君じゃないか!」
「チッ・・・ああ、久しぶりだな。」
そこにいたのは、以前説得した勇者の中の一人であった。
「こんな所で出会うなんて奇遇ではないか!やはり私は君と結ばれている!!」
「うっせー!結んで放置するぞ!」
「ああ、それもいい!君の香りが・・・」
この勇者、名を楽道と名乗り、ヨヅルと恋仲になろうとする男だ。
当然ヨヅルも男であるが、世界の断りの中に男同士ではダメだというルールはない。
しかし、この男
しつこいのだ、ストーカーと言っても過言ではない。
行く先々で待ち伏せをする鬱陶しい存在であるため、ヨヅルは嫌悪している。
「ああ、肥料にしておけばよかったな・・・」
「なんか言ったかい?君の一言一句を忘れたくないんだ!もう一度!もう一度お願いする!」
「はあ・・・」




