カレーが食べたい。
「お兄ちゃん、これなあに?」
リンゴジュースを見て少女が聞きに来た。
「これか?これはな、リンゴジュースだ!うちの畑で育てたリンゴだぞ!」
「へー!うん!これもおいしい!」
えへへ、と笑う少女に笑顔で答える。
「さて、こっちも進めておくか・・・」
そう呟くと、ヨヅルは勇者の目の前にリンゴジュースを置いた。
樽で・・・
そして、勇者に問いかける。
「食べたいか?飲みたいか?いい匂いだろう!」
勇者の目が左右にキョロキョロしているが気にしない。
「はやく!はやくよこせー!俺様が一番偉いんだ!この世界は俺様のものだ!」
錯乱気味に叫び続けるが、勇者の悪行は消せやしない。
「お前が変な入れ知恵をしなければ滅ぶ事がなかった町がな、3つあるんだ。」
「なんだぞれ!入れ知恵だと?文明を発達させて何が悪い!俺が!俺の過ごし易い様に改変してやるんだ!」
だめだこれ、とヨヅルは頭を抱える。
「説得しても改心はしないか・・・、ならば仕方がない。」
いいだろう。
「解った、食わせてやろう。」
これがお前が食す最後の食べ物だ。
「勇者様は特別だからな、お前達勇者が好きなカレーを食わせてやろう。」
あちらの世界からやってくる者は、口々に言う。
カレーが食べたいと。
降ろされた勇者が皆、ヨヅルに粛清されたわけではない。
当然の様に野放しにしている勇者もいるのだ。
しかし、その者達は一度ヨヅルに会い、説得を受け入れて慎ましく暮らしている。
その者達から話を聞き、勇者が作り出した料理の一つ。
それがカレーだった。




