ああ、幸せだ。
涎をたらし、目の端に光る雫を溜め込んだ勇者
それを見た子供は、先程のお返しとばかりに勇者を取り囲む
そして・・・
目の前でカツをヒラヒラ
耳元で天ぷらをサクサク
勇者が怒鳴れば笑い飛ばすようになった。
「うんうん、これが一番だ!」
キャーキャーと騒ぎながら、楽しそうに宴を満喫するのは子供だけではない。
大人達もそうなのだ
美味しい料理に美味しいお酒
そして、全ての黒幕である勇者の断罪
その断罪こそが宴を楽しむ事だとヨヅルは言った。
なるほど、たしかにこれは生殺しだ。
ヨヅルは再利用と言っていたが、きっとこの世界に必要な事なのだろう
大人達は、憎むべき相手を殺そうとは思わない。
それをしてしまえば勇者と同じか、それ以上の罪を負うことになる
愛する妻と子供、家族同然の町人、それら全てが無事であるのならそれでいい。
そう考えている。
ヨヅルもそれは解っていた。
これがこの世界の基本的な思考であると知っていたからだ。
なんてことはない、慎ましくともその幸せを守りたい。
たったそれだけの願い
ああ、幸せだ。
「やっぱり宴は大人たちだけたのしんじゃダメだよな!おーい!ガキ共!ジュースをやるぞー!」
断罪の様子に満足しながらも追加でジュースを配る。
いつか見た黄金色に輝くリンゴジュースを・・・




