殺したんだよ。
「あ・・・ありがとうございます・・・うう・・・」
ヨヅルに期待をしていたが、今まで幾度と無く断られてきたのだ。
まさか受けてもらえるとは思っていなかった。
「ですが・・・本当に大丈夫なのですか?あの者たちはとてつもない武力を持って・・・」
一度喜んだ女性だが、今度はヨヅルを心配しだした。
人と人が戦う最、拳と拳、あるいは剣と剣
それがこの世界の常識だ。
それが塗り替えられたということは・・・
「また送られてきたか・・・・」
「え?」
ヨヅルが心当たりを思いつき呟いた。
世界に甚大な被害を与えるものは、全てヨヅルの敵である。
それは魔王だけではなく、人にも当てはまる。
畑の改良で数百年閉じ篭ってはいた間に生まれた貴族。
「勇者だな、違うか?」
「ええ・・・、そう言っていました・・・。」
やはりか
「それなら大丈夫だ、お姉さんの頼みでなくとも勇者は俺の敵だよ。」
「え?あなたは魔王なのですか?」
「いや?違うけどさ。」
「?」
女性は首をかしげる。
「いいか、勇者と対の立場にいるものが勇者だ。これは解るだろ?」
「ええ、恐ろしい魔王を倒してくれるんですよね。」
「いや、それは違うぞ。魔王が人間を襲う理由はそもそも人間側にあるんだ。」
「え!?ど・・・どういうことなんですか!」
「勇者と呼ばれる人間は過去にもいた。中でも最初の勇者がな・・・」
ヨヅルの顔から苛立ちが見え、女性は虎の尾を踏む発言をしたのかも、と焦っていたが・・・
「魔王を殺したんだよ。」
「え?それは良いことなのではないのですか?」
「今ではそう思うだろうな・・・、だがな?その事件が起きる前は」
人と魔は共存していたんだ。




