塵にしてやる。
「あ、町だ!」
少年が嬉しそうに声を上げた。
「あー・・・ついに美味しいご飯ともお別れなのね・・・」
それに対して少女は落ち込んでいるようだ。
「ははは、そんな落ち込むなって。また会った時にでも色々くわせてやるから、な?」
「うん・・・そうね!期待してるわよ!」
「まかせとけ!」
そんな会話をしながら町に入る。
「ここはどんな町なんだろう?」
とても平和だ。
いや、静かだ。
建物の数は結構多いのだが、肝心の人が見当たらない。
「これはなんかあるな・・・」
すると横から声が掛かった。
「あら、旅人さんかしら?ようこそいらっしゃいました。」
ヨヅルが振り返ると、まるでドレスのような服を着た女性が立っていた。
「あんた誰だ?この町の人じゃないだろ。」
女性はヨヅルの質問に答えようとするが、言葉がなかなか決まらないようだ。
「実は・・・」
結論から言えば、この女性は間違いなくこの町の人であった。
いつの間にか、貴族なるものが蔓延っていたという。
その貴族という者共は、自分が上位にたって居ないと気が済まない人物と言うことだ。
そして、貴族なる者は綺麗なものが好きだということも・・・
この女性もとても綺麗な女性だ、だからこそドレスも与えられた。
しかし、この プレゼント は 回収 のためのもの・・・
彼女は彼女の意思とは関係なく、貴族なるものの意思のみで結婚させられるのだと言った。
それはそれは、とても悲しそうに。
最後に、私には将来を約束した相手がいる・・・・とも。
「はー・・・、随分面倒なのが湧いてるんだなー。」
「ええ、本当に。」
女性の顔からは先程の空元気は一切見られなくなった。
「ふむ・・・」
ヨヅルは人の心がよく解らない、それはヨヅルが人ではないから。
だからヨヅルは考える。
どうしてこの女性はこんな話をしたのか。
それも、見ず知らずの旅人に。
「そうか・・・助けて欲しいんだな?」
考え抜いたヨヅルの言葉に、彼女は堪えていた涙を一気に流し始めた。
「お願いします!お願いします!あの人を・・・あの人を助けてください!」
人の笑顔を見ることが大好きなヨヅルが人の涙を見た。
初めて見た・・・
ならば答えは決まっている。
「いいだろう、その貴族共・・・・俺が塵にしてやる。」




