けふぅ
合流した後、雑談を交わしながら近くの町を目指した。
「結構歩いたけどまだ見えないなー」
「お兄さん疲れちゃったの?」
かわり映えしない景色にゲンナリして、つい呟いてしまったヨヅルに少女が呟いた。
「んや、俺の体力は無尽蔵だからな。たださ、この景色は何とかならないものかね・・・」
最初こそ綺麗だと思っていた景色だが、流石に見飽きてしまったようだ。
「あーあ、植物の一つでもあれば気分も変わるんだがなー」
「お兄さんは植物が好きなんだね!」
今度は少年が呟いた。
それに対してヨヅルも
「ああ、植物を集めてるんだよ。自分で育てて美味しいものが作れるとな、最古運に幸せなんだ!」
「えー!!お仕事でもないのに畑弄りだなんて信じられない!」
「うんうん!お兄さん洗脳魔法でもうけてるの!?急いで治療したほうがいいよ!!」
「あー・・・あはは・・・」
この反応には流石に苦笑いするヨヅル
「でもな?俺の仕事は基本的に放浪なんだよ、飢餓に苦しむ集落にさ、美味しいものを届けるんだ!」
「ふーん・・・」
「お兄さん幸せそうな顔してるよ!」
呆れる少女と、目をキラキラさせてヨヅルを見つめる少年
「おお!わかるか?凄く喜ばれてな!それが最高に幸せなんだ!」
「うん!うん!解るよ!解るよお兄さん!」
ヒートアップしていく二人を不思議な顔で眺める少女が呟いた。
「でもさ、お兄さん何も持ってないじゃない。」
「あ・・・」
少女の言葉に少年が悲しげにヨヅルを見つめる。
「はは、ちゃんと持ってるさ!そうだ!お前達も味見してみるか?沢山有るからさ!」
「え!?あるの?たべたい!」
「あ、ちょっと!」
ヨヅルの答えに少年は笑顔を取り戻し、少女が止める間もなく答えた。
「よし、じゃあ何が食べたいかな?なんでもあるぞ!」
「お肉がいいな!」
「よし!肉だな!」
返事を聞いてすぐに倉庫から肉を取り寄せる。
「栄養が偏るから野菜も食べろよ?」
「はーい!」
元気よく答える少年
「で、お前は?何が食べたい?」
「え・・ああ、いろいろ聞きたいことはあるんだけど・・・」
「まあ、それは喰いながらな?」
「じゃあ・・・チーズで・・・」
チーズと言えばスパイスに並ぶ高級品、ヨヅルが何でもあると言ったのだ。
それを試すように口に出した。
「おう!いいぞ!お前らはまだ小さいんだから遠慮なんかするな!」
喋りながらチーズとミルクを空間から出した。
「さあ、ちょっと待っててくれな!」
「よし、こんなものか?」
トマトを液状になるまで炒め、そこにチーズを加えたソース
それを大きなハンバーグにかけた。
付け合せは鉄板の馬鈴薯、人参
「ふわぁ!」
「なにこれ!?」
初めて見る料理に驚く二人。
これからこれを食べるんだ、覚悟しないと。
ゴクリ、喉を鳴らす二人を見てヨヅルが微笑む
「さ、喰っていいぞ。肉もチーズも野菜も最高級だ!」
だがな、と繋げ
「遠慮なんかしなくていい、喰いたいだけ食ってくれな!」
「「はい!!」」
こんなものを見せ付けられたのだ、少女はもう疑っていなかった。
いや、ちがう。
疑う事をあきらめたのだ。
こんなものを食べられるなら・・・と考えてしまったのだ。
恐らく足りないだろう、とヨヅルはどんどん焼いていく。
一心不乱に食べる二人は無言
目の端にはキラリと光るものまで・・・
「ははは、うまいだろ?俺と助手が丹精こめたものだからな。」
ヨヅルの質問に答えたい、けど食べていたい。
この幸せな時間が永遠に続けばいいのに。
そう考える二人は、頷きこそすれど声は出せない。
首を上下に振りながらも器用に食事を勧める二人は、まるで餌を食べる鶏の様だった。
そんな幸せな時間も長くは続かなかった。
「けふぅ」
「ああ、もう一口たべたい!けどむりー!!あーー!!!!」
満足げに息を吐く少年と、まだ幸せに浸っていたい少女
「町に着くまでの間ならいくらでも作ってやるからさ、そんな悲しそうな顔するなって!」
と、ヨヅルが苦笑いしながら声をかけた。




