慈悲は無い!
一つの料理は無くなった、しかしまだまだ料理はある。
悪魔のような誘惑に手を出したのは、先程の若者であった。
若者は、少し迷った後にお刺身に手を伸ばした。
好奇心に惹かれ、みたこともない緑色の塊に・・・
そして、その塊を一口で食べてしまったのだ。
少年は見てしまった。
若者が山葵を食べる瞬間を・・・
「あ、おい!それは刺身に付けてたべるんだよ!」
しかし遅かった、大衆が見守る中、少年はのた打ち回る。
「かはひー!かはひ!はながいはい!みずー!!」
水を求める若者に、少年はコップに水を注いだ。
奪うように受け取り飲み干す。
「ふぃー、まだいたい。」
「そらそうだ、山葵は見たこと無いのか?」
「ない!なんだあれ!!」
「山葵だ!薬味だよ!ちょっとだけ乗せて食べる物だがな。」
大衆は笑っていたが、若者は面白くない。
ならば、同じ事をさせてみよう。と、若者は考えた。
「なあ?」
「ああ、あるぞ!人数分だろ?」
ニヤリと笑う若者に、三日月の形に口角が上がる。
「さ、たんとおたべ。」
その後、食堂には大勢の人が転げまわる。
水を求める声が聞こえるが、若者と少年は与えない。
慈悲など無いのだ。




