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ザクザク
ジュァー ジャッジャッ タッタッタッタカゥンカゥン
フライパンの上を野菜が走る。
黄金色の油と絡められた、色鮮やかなそれを大衆が見つめていた。
テーブルの上には、白身の魚に少しの焦げ目、トロっとした餡が上にかけられている。
その他にも綺麗に盛られているお刺身や、×の字に切り込みの入れられた姿揚げ。
こんなものまずいわけがない。
「おーし!喰ってくれよー!じゃんじゃんつくっかんなー!」
と、少年が声を上げた。
ほんの少し間が空いたが、一人の若者がフォークを持った。
カチャンっと音がする。
それに続くように続々とフォークを持つものが出てきた。
サクッ
思ったよりも弾力があるが、フォークはすんなりと刺さる。
最初に手をつけられたのは姿揚げだ。
丁寧にフォークで身を切り、口へと運ぶ。
咀嚼するたびに鳴る、ザクザクとした音が楽しい。
ほんのりと効いた塩の味が後を引く。
ああ、この時間がいつまでも続けばいいのに。
そう思ってしまう、そんなことは叶わないのに。
なぜなら、姿揚げは完食されてしまっているのだ。




