こえーよ!!
「なんだか良くない感じがするな・・・」
「わかるのか?」
少年の呟きに青年が答える。
「ああ、あのお子様の周りだけ空気がまずそうだ。」
「空気?まぁ、間違いではないか。」
「どういうことだ?」
「あの漁に使われている餌はな、町の人間なんだよ。」
「はぁ?」
とんでもない答えに思わず抜けるように答えてしまう。
「町の人間?それなのに見物してるのか?」
憤りを隠せない少年の質問に、今度はおばちゃんが答える。
「見物してるだけじゃないんだよ。ほら、あそこを見てごらん。」
おばちゃんの指差す方向を見ると、数人が手漕ぎボートの準備を急いでいた。
「なるほど、助けられるなら助けたいもんな。」
「ああ、事故でも起きてあの船の人間が落ちてしまえばどれだけ村のためか。」
おばちゃんから物騒な発言が飛び出たが、それをしたところで問題が起きるだろう。
「そんなことになったら町長が黙ってないんじゃないか?」
「いや、町長の息子は見ればわかるだろ?」
おばちゃんの質問に少年はうなずく。
「その後ろに立っているのが町長だよ。」
少年はふーん、と納得する。
「それなら・・・」
少年が続ける。
「ストーム、エスケープ」
「「「!!!!」」」
見物人も、乗船してた者も、餌にされた者さえ驚いていた。
突然、水面が巻き上がり竜巻になった。、
当然船は転覆するが、餌にされていたお姉さんの姿が忽然と消えたのだ。
「これでいいか?」
静寂の中に響く少年の声に反応して大衆が振り向く。
「こえーよ!!」




