価値ねーよ!
「いやー!すまないな!パンに干し肉だけの生活が続くと料理が恋しくてな・・・」
「ん?それならさ、鍋とか持っていけばいいんじゃね?」
「いやいや、そうはいかんよ。わしらは旅の商人、余分な荷物を減らし、できるだけ多くの品を運ぶんだ。」
「ふーん、なんかもったいないな。」
「もったいない?」
「ああ、食は人を豊かにするんだ。人だけじゃないけどな!食が潤っていない人生なんてさ、いくら金があっても価値ねーよ!」
少年の言葉に老人は考える。
何のために金を稼ぐのか、稼いできたのか。
それは、美味しい物を食べるため。お腹一杯食べるため。
いつしか商会を大きくする事だけを考えていた。
しかし、少年が教えてくれた。思い出させてくれた。
これからは商品だけじゃなく、調理器具も乗せよう。
部下の人生も潤わせてやろう。
そのためにはまず、料理人をさがさなくてはな。
「まさか、この歳で商会を変えようと思うとはな・・・」
ワクワクとドキドキが入り混じった表情で老人は呟いた。
「ん?なんかいったか?」
「いや、なんでもないよ。」
「?、まあいいや!早く喰おうぜ!この食材は俺の自信作なんだ!」
この言葉に老人は首を傾げる。
「自信作?まあいいか、有り難くいただくとしよう!」
「おう!くえくえ!」




