ゆりはれ!~お泊まり会編その4~
ギャーギャーと騒ぎながらなんだかんだプレイしているうちに、日も暮れてきた。
「そ、そろそろかかか買い物にいいいきませう?」
さっきまでのエロシーンを忘れられずに、顔を真っ赤にして咲が提案する。『せう』ってこの前古文で習ったやつじゃん。
この日のエロゲはここでお開きとなり(また後日やらされるらしい)、買い物に行くことになったのだか、京香の提案によってくじ引きで掃除組と買い出し組に別れることになった。
結果は、京香と咲が掃除、私と美智子が買い出しになった。先に準備を済ませた私は玄関で美智子を待つ。
「お待たせ~。…って、あっ!財布忘れた!」
そう言うと思って、持ってきておいたよ。下駄箱の上に置いてあるでしょ?
「ほんとだ~。ありがと~♪」
相変わらず天然な美智子だった。
⚫⚫⚫⚫
「それで~、咲ちゃんとは上手くいってるの~?」
近くのスーパーに行く道で、気の抜けた声で問われる。
頻繁にデートにも行くし、大丈夫だよ。…キスはまだだけど。
「それなら安心ね~。あの子はすこし難しい所もあるけど、翔子ちゃんなら安心だわ~。」
ふふっ、と美智子が微笑みかける。その顔は、とても安心したようだった。
「ただいまー」
咲の家に戻った私達が荷物をキッチンに置いてからリビングに行くと、まるで輝いて見えるような綺麗さに戻っていた。
「ふふーん、すごいでしょー?」
そう言って胸をそらす京香の頭には、たんこぶがぷくーっと出来ていた。
「こいつ、殆ど働いてなかったわよ。全く…。」
疲れきった顔で咲がため息をつく。お疲れ様っす。京香はああいう子だから大目に見てやってよ。
「わかってるわよ。」
そういって照れた様にぷいっ、とそっぽを向く。可愛いなぁちくしょう。
「出来たわよー。…あんたらまたゲームしてるの?……って、!!!」
出来たご飯を置きに行った咲が真っ赤になって帰ってきた。京香達がニヤニヤしてこっちをみてるから、大体の検討はつく。大方二人がエロゲのムービーでも見せたのだろう。
私がご飯を運んで戻ると、咲は肉の盛り付けをしていた。手伝うよ。
「ありがと。」
一瞬の静寂ののち、
「…そ、その、翔子もあーゆー事したいと…思ったりするの?」
上目遣いで聞いてくる咲は、さながら天使の様だった。
そりゃ、いつかはするんじゃない?
なんたって自慢の彼女だしね。
「自慢の彼女って…でも、そっか…うん。そうだよねっ」
とびきりの笑顔で納得された。
その日の夕食は、それはそれは豪華だった。
「こんな日がいつまでも続けばいいのになぁ。」
食事を食べ終えた京香が柄にもなくボソリと漏らす。
みんなでまたお泊まり会やろうよ。
「そうよ、またいつでも来ればいいじゃない。」
「今度は誰の家にしたい~?」
皆が笑いながら言うのを見て、京香も笑い出す。
「ありがとっ。…私、こういうのずっと憧れててさ。長年の夢がやっと叶ったと思うと、嬉しくて…」
美智子がなにも言わずに京香をなでる。京香が頭を撫でられながら満面の笑みを浮かべるのを、私と咲は微笑んで見ていた。
「……ん。」
咲がこつんと私の肩に頭を乗せる。なんだなんだ~??咲も撫でてほしいのかなぁ~?
「…な、何でもないわよっ」
ごめん、って笑いながら頭を撫でてあげると、猫のように喉をごろごろ鳴らしながら満足そうにしていた。