ゆりはれ!~お泊まり会編その3~
中に入ると、広々としたエントランスが広がっていた。エントランスだけでも物凄い大きさで、少なくとも私の家より広い。
エレベーターのボタンを押しながら咲が、
「そういえば、私、行ってみたいところがあるの。荷物置いたら少し付き合ってよ。…そ、その、迷惑じゃなければ…」
可愛いですなぁ。
そしてもちろん、みんな行く気満々である。
「……あ、ありがと。」
可愛い。あぁ、可愛い。なんかこう、抱きしめてナデナデしたくなる。
「…翔、目が怖いよ…」
ちっ、京香め、中々鋭いじゃないか。折角ナデナデしようと思ってたのに。
「ほら、もう着くわよ?」
少し緊張しつつ、扉が開くのを待つ。
そして、私は気づいてしまった。
見てしまった。
…扉の上の『R』の文字を。
!?!?
言葉にならない声。
高級マンションの最上階に独り暮らしの高校生…だと…!?
「もう、なんか驚きすぎて驚けなくなってきた…」
京香が疲れた顔でため息混じりに囁く。京香はいちいちオーバーリアクションするからじゃない?…まぁ私もだけどさ。
私の家の玄関の倍はあるであろう玄関に靴を置き、ちっちゃくなって京香と入る。
「おじゃましまーす」
そして家の中の大きさに本日2度目の絶句をするのだった。
荷物を置いてリビングに戻ると、京香と美智子が休んでいた。そりゃスクワット100回もやらされたら疲れるよ。
「だしょー?まったく、咲ってば容赦ないんだから」
文句を言う京香の顔は、とても楽しそうだった。
⚫ ⚫ ⚫ ⚫
「ふはぁ~。楽しかったね~。」
「疲れましたね…。でも、楽しかったです」
「みんな付き合ってくれてありがうね」
あの後私達は咲の服を買いに街まで買い物に行って、ついでにカラオケやらゲーセンにも行ってきた。時計は丁度4時を過ぎた所だった。
「夕飯にはまだ早いですし…」
美智子はニヤリと微笑んで、
「京香、あれをやりましょう。」
あれ?何も知らない私と咲は顔を見合わせて首を傾げた。
「お二人さん。女子高生のお泊まり会でやることっつったら、あれしかないっしょ?ジョーシキっしょ?」
京香がケケケ、と笑いながら美智子と声を揃えて、
「「E⭐RO⭐GE!」」
そんな常識があってたまるか。
「な…な…え、えろ…」
咲も真っ赤になって声にならない声をあげている。可愛い。
しかし火が点いた腐女子二人を前に、私達は成す術もなくエロゲをさせられるのだった。
女子高生4人でエロゲって……。