ゆりはれ!~お泊まり会編その1~
初投稿です。
ご意見等ありましたらお気軽にどうぞー(´ω`)
基本的に感動話とかはないかなー、と思っています。
少し前まで猛威を振るった台風が嘘のように感じられ、窓際の席に座る私は、ただただ先生の長ったらしい話に耳を傾ける気にもなれずにいた。
本当なら適当な理由をつけて保健室で涼みたい所だが、夏休み前最後のHRだから我慢する。
私は、榛名翔子。そこらによくいる、特徴がないのが特徴の女子高生である。
さて、この暑さを凌ぐにはどうしたらいいものか。涼しい事でも考えれば少しは変わるか……?
涼しい事、涼しい事……。
「それなら、プールとか? あっ!海でもいいなぁ~」
この後ろを向いて騒ぎたてているのは、湍水京香。右で小さく髪を束ねた髪形で昔から変わっていない。小さい頃からの幼なじみ。今では家族ぐるみの付き合いだ。てか、HR中だから前を向け。
それにしても、プールか……。
今度、4人で行く?
「行きたいっ!」
ちょっ、バカ!声がでかい!
「えー…コホン。湍水さん、廊下に立っていなさい。」
「この暑い日に廊下はいやぁぁぁぁ!」
お前の方が暑苦しいわ。まぁ、自業自得じゃん?。デカイ声を出すかr「榛名さんもです。」まじっすか。
⚫ ⚫ ⚫ ⚫
「―んで?廊下ランデブーのご感想は?」
そりゃーさんざんでしたよ。余りにも暑くて下着透けるんじゃないかって思うくらいには。
この子は、朱河咲。才色兼備の優等生。私の彼女で、学校内で間違いなく5本の指に入るであろう美少女である。
美少女である。
……大事な事なのでね。
「あれ?そういえばみっちゃんはー?」
京香がキョロキョロしながら訊ねる。
「さっきプリント出しに行ったわ。すぐに戻るんじゃない?」
「ふーん。……あ、そういえば私、お菓子持ってきたよ~」
京香の家は洋菓子屋で、私も小さい頃からよく食べていた。
私、いつものがいいなぁー。
「わかってるって。……はいこれっ!」
手渡されたのは、ラズベリークッキー。
渡されたクッキーを、半分かじる。
丁度いい甘さ加減と、ラズベリーの香り。
こればっかりはやめられそうにない。
あぁ~、幸せ。
「翔子はそのクッキー食べてる時が一番幸せそうね。」
咲がくすっ、と微笑みかける。可愛い。
私が小さな幸せに浸っていると、
「お待たせ~。」
気の抜けた声がかかる。
プリント出しに行っただけのやりには遅かったじゃん?
「いや~。それが、職員室と屋上を間違えてしまいまして……。」
この子は、岩沢美智子。綺麗なロングストレートで、背が高くてモデル体型。彼女に憧れる女子も少なくない。…が、極度の天然。京香と付き合っているとかいないとか。
「みっちゃん、それはもう間違いってレベルじゃないよ……?」
京香が戦慄する。私もだけど。
少し間があって、こほん。と京香がわざとらしい咳払いをし、話を進める。
「それで、明日の待ち合わせだけど…」
私達の通う藍浜高校は、今日が終業式。
明日から夏休みで、私達は初日からお泊まり会をすることにしたのだ。
「…ひょっほ、翔?聞いてふー?」
京香がクッキーを頬張りながら問いかける。
うん、聞いてた聞いてた。
「ごくん。…んじゃ、明日駅前でねー。…あ。そうだっ!」
私達3人は目を合わせる。大概京香はこういう時、罰ゲームを設けるからだ。
「…時間に遅れた人は、罰ゲームだからね!」
……ほら、やっぱりね。
⚫ ⚫ ⚫ ⚫
家に着いて布団に入ってから、ふと考える。
高校生になって、初の夏休み。
たくさん思い出作れるといいな。
ふと携帯を見ると、新着3件、と表示された。
「明日から、楽しみだねっ!」
「明日、送れるんじゃないわよ?」
「たくさん思い出作りましょう!」
なーんだ。みんな考えてる事は一緒かっ。
くすっ、と笑いが漏れる。
期待に京香よりはある胸を踊らせ、意識の底へと落ちていくのだった。
ゆりはれ!を読んでいただきありがとうございました!
投稿ペースはバラバラになりますが、まだ続けようとは思います。
暖かく見守って頂ければ幸いです。