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ZSーゼット・ストライカーー  作者: ひびき澪
EP2ーライディング・ビークル
23/36

第三章 capter-3   「回天」

 ほんの僅か前、順とアロンソの試合中。校舎の中で一つの出会いがあった。

「……で、僕を見付けたってわけか。……エージェントシラヌイ、いや正治、か。他方面の同胞を撃破したとかいう君が此処まで来るとは、思いもしなかったがね」

「あぁ、おれもまさか朝霞に出張に来て君と対峙する事になるなんては、思ってもみなかった。フランベルグ・ヒルテリス」

 朝霞の校舎の地下の一室で、特徴的な服装をしてベッドに座り込んでいる緑髪の異界の人間と相対するのは山高帽を被った黒髪スウツの少年。

 背はあまり高くないが、重力にも逆らいそうな大きなコートをさらに上に着ている。

「妖術士の君が朝霞にくるというのはそもそも異例のことでもあるからね。よくよくこの学校の警備を突破したものだ」

 感心した表情で、フランベルグが溜息を吐く。

「この程度の警備は警備ともいえない。それよりも、こちらの身内に手を出したのが運のツキだ。……連れ去った子供達は、何処にいる?」

 フランベルグは少年に問い詰められるが、その表情はびくともしない。

「答えろ。その言葉如何によってはエージェントの名において貴様を滅する」

「成程、君たちの『カカサマ』が僕達の邪魔を仕組んでるのか」

 彼らは意味深な、問答をする。

「邪魔をしているのは貴様だ、人の知人を連れ去っているのはお前達だろう」

「僕は直接手を下してないさ。ヴェリエントだよ、やっているのは」

「ヴェリエント……。俗にいう組織犯罪集団、この国に元々あったものか」

「あぁ、彼らは自分の金になると思ったことには素直に働いてくれるよ。アンダーボスもいい人だったしね」

「金のためなら何でも捨てる奴か。男の風上にも置けない。……で、何処にいるのだ? 子供達は」

 エージェントシラヌイと呼ばれた少年は、フランベルグに対して威圧的な目付きをする。

「魔力供給炉に、繋いでいるさ。無論、君の妹もね」

 するとフランベルグは、口元をニィッと開いて、そう言った。

《滅べ!》

 言葉が終わるや否や、山高帽の少年は目を見開き、コートの下から取り出した拳銃でフランベルグの頭蓋を瞬時に打ち抜く。

 ……だが、効くはずもない。

「っ!」

「僕にそんなものは効かないよ。その銃はサイレンサーを付けてある事もあって、初速と威力が足りない」

 フランベルグは笑うと、ゆっくりと立ち上がりエージェント・シラヌイに歩み寄る。

 彼の額の傷は、もうすぐに修復されていた。

「貴様!」

「……今は君を殺す気はないよ。此処じゃ君の本領も発揮できないしね、それじゃつまらないだろ?」

「……何?」

「君の妹は返すよ。僕のベッドの下にテレポート版がある。そこに乗れば隠し場所まで着ける」

「……貴様の目的は何だ」

「差し当たりはこの辺の子供の魔力を吸い上げて、とあるものを動かそうとしていただけかな。そろそろこっちも準備できたし、子供たちは生きてるから返してあげるよ。本当なら全員可愛がって同胞にしてあげてもよかったんだけどね」

「……フン。貴様は殺す。必ずな」

 エージェントシラヌイは、この場の位置情報を記憶してからテレポート版に乗ると、フランベルグを睨み付けつつも姿を消す。

「さぁて、僕も行くか。何だか楽しそうな気配がしてきたからね……」

 フランベルグはフフフと笑うと、人気の少ない廊下に出て、歩いて行った。


『さぁ、群雲順を破ったアロンソ。それに対応するはヒオウのルーキー、須賀谷! 須賀谷君は果敢に距離を詰めようとするものの、アロンソを捉えきれていない様子です!』

 実況の声を無視しつつも、須賀谷は片手にタキオンマグナム、反対にタマチルツルギを構えて飛び込む。

 相手のアロンソが乗っているティソーナとかいうマシンは素早いのもあるが、近接能力も高い。

 振り下ろされる一撃は黒岩田の大腕を思い出すかのような破壊力で、まともに受けては大怪我をするレベルであった。

「ちっ、ちょこまか避けるじゃねぇか! だが、5秒とやる気はねぇぜ!」

 アロンソは鼻で笑いつつも、ティソーナを動かして腕で薙ぎ払ってくる。

 相手の機体の片腕が無いのが幸いだが、連撃を受けては恐らくは一瞬で負けていただろう。今のところ地を蹴り避ける程度のことは出来るが、中々にしんどい。

「緊急回避は出来るが……この速度差は辛いっ」

 アロンソはこちらを見くびっているのか、燃料の節約をしているのか高く飛翔したりはしない。それならば、まだいける!

 そう思ってた矢先、ティソーナの肩の砲塔が再び赤黒く光り始めた。

「なっ!?」

「チャージは完了だ! ダラダラ戦ってるのも嫌だから、ふっとばさせてもらうぜ!」

 アロンソは笑いながらボタンを腕で叩くと、機体脚部をホバーさせる。

「この距離でやる気か!」

 須賀谷は歯軋りをしながら、瞬時に片手でタキオンマグナムの狙いをつける。

 せめて一撃は与えないと、威力を減衰させられない!

「弾込めよし……! 貫けよぉぁっ!」

 そしてアロンソがボタン操作に入る瞬間、砲塔に向けてトリガーを引いた。

 『ドォッ!』

 瞬時に爆音とともに腕が折れ曲がるかのような衝撃が走る。

「腕がちぎれる……!? 何だこのパワーは!?」

 発砲の反動で須賀谷は吹き飛びつつも、目をがっと見開く。こんな武器が……あっていいものか?

『だーかーらー両手で撃ってくださいと言ったんです』

 遠くから拡声器を使った篝火の声が聞こえる。

 ティソーナの方を見れば、肩のキャノン砲がごっそりと吹き飛ばされていた。

「……あ? な、なんじゃこりゃ!?」

 アロンソも身の横の装甲が吹き飛んだという事に唖然とし、口をあんぐりと開ける。

「てめぇ、それ個人で携帯するには威力あり過ぎだろ! いくらこの学校の医者が蘇生までできるからって……なんつー威力だ!? 正気かよ!?」

 そして文句の嵐を受ける。

「そちらの攻撃をまともに受けた時点で俺も戦闘不能だ。いい対価だろ?」

 だが須賀谷はそれに対し笑いつつも、銃を構えなおした。

 ーーだが、この威力は洒落にならない。タキオンとかいうものを使っているだけのことはありそうだ。

 使いどころを間違えては危険にもなる……。

「もう一発食らったらまじぃな……接近戦でやるか」

 そんなこちらの意識を知らずかアロンソも額に冷や汗を出しつつ、ティソーナから剣を持ち出すと飛び降りてまたマジックボードに乗った。

「やり合おうじゃねぇか、こいよ」

「流石に人間相手に銃は撃てないな。……いいだろう」

 須賀谷は銃を収めるとタマチルツルギを握りしめ、刀身を解放した。

「光の剣って奴か……」

 タマチルツルギの刀身が伸びたことに観客がざわつき、アロンソも警戒をしてくる。

「だが、こちらだってハイコートブレードを使わせてもらうぜ!」

 アロンソはさきほどの槍ではなくカッターのような一振りの薄いブレードを取り出すと、横薙ぎに切りかかってくる。

「ウォォォァッ!」

「でぇぇぇぇい!」

 刃が接触をし、火花が散る。

「業物か!」

 須賀谷はアロンソに向かって怒鳴った。

「いンや、生憎ファクトリーの数打ち刀よ! リーブラ鋼をコーティングしてあるだけだがなあ!」

 不敵な顔で笑うアロンソは空いていた片手で、須賀谷の眼前に手を向けた。

《空撃掌!》

 そのまま手のひらから不可視の衝撃を撃ちだすが、カンで須賀谷は攻撃をかわす。

「てめぇ、この距離でかわすか!」

 言われるが早く逃さず手首をつかみ、梃子の原理でハイコートブレードを叩き落とす。

「っ!? なんて速さだ!」

「生憎俺の武術の先生は、順ですよ。この距離ならスピードは出せない!」

 そのまま関節を極め、ボードを蹴飛ばしてアロンソから引き離す。

「見くびっちまったか!?」

 アロンソは顔をゆがめ、呻いた。


「須賀谷君の強さは、この気転だよ」

 解説席の薮崎が、不敵な顔をして火迎に自慢する。

 だがその火迎といえばまだまだですね、と首を横に振った。

「へへ……ここまでやるとは、中々だぜ」

 アロンソは関節を極められたまま、苦痛の顔をする。

「本業があるでしょう。ギブアップして下さい!」

 須賀谷はアロンソに、そう諭す。

「……甘いんだよ、そんなんじゃなぁ!」

「何!?」

「そんな事を言ってるようじゃ、勝負の世界じゃ勝てないって事だ!」

「ぐぁぁあ!」

 そんな須賀谷の背中に、突然無人のマジックボードが体当たりをかましてきた。

 衝撃でロックが外れ、アロンソは須賀谷の関節技から逃れる。

「そんな、無人なのに……?」

 席にいた篝火でさえもが、驚く。

「遠隔操作もこなせるんだよ、プロって奴ぁなぁ!」

 アロンソはそれに対し、ネタばらしをしてきた。


「だったら……俺ももう、加減はしませんよ!」

 須賀谷は少し頭にきて、タキオンマグナムを引き抜く。

 だがその時に、ゴゴゴゴゴゴゴとすぐ傍の地面から地鳴りがしたのを感じ取った。

「……何だ?」

 二人して顔を見合わせる。

「そこから離れてください!」

 篝火の警告が発せられる。

 その次の瞬間、地面がバリバリと音を立てて開き、フィールドを真っ二つに割って怪物が現れた。

「あれは……ペーパーゴーレム?」

 アロンソが口を開く。言われてみれば、大きさこそ違えど薄茶ではあるがその姿はペーパーゴーレムだ。

「……っ! だがあれは、20mはあるぞ!」

 須賀谷も慌てて飛びのき、巨大なペーパーゴーレムから距離をとる。

 ティソーナやスコーピオンを軽く子ども扱いするサイズのゴーレムが現れるだなんて。

 すると直後にペーパーゴーレムは足元の土くれを掬ってフィールドの壁に向かい投げつけ、戦闘フィールドの壁の一部を破壊した。

「うわぁあああああああああ!」

 生徒の一部から、悲鳴が上がった。

「何だと!?」

 薮崎やダリゼルディスも予想外だったという顔をし、慌てて周囲の生徒に避難を促す。

「チィ……このままじゃ学校に被害が出る! 一時休戦だ!」

 アロンソは須賀谷にそう言いペーパーゴーレムにティソーナを向け、順に向けて放った空気弾の攻撃をする。

《サイクロンショット!》

 ……だが、攻撃は少しも通る気配がない。

「効かねぇ!?」

「サイズが違います……あれは何かが潜んでいますよ」

篝火が戦闘フィールドにあがり周囲の生徒も避難を始めた時、

「ご名答だよ、君達」

 巨大なペーパーゴーレムの肩の上から、声が聞こえた。

 よく見れば、ヒオウ学園で見たあの青髪の少年によく似た子がいる。

 だが今見えるあいつの髪色は、薄い緑である。

「誰だてめぇは! そのゴーレムで何をするつもりだ!?」

 アロンソが突っかかる。

「僕はフランベルグ・ヒルテリス。そしてこいつはジャイアントペーパーゴーレム。子供達の養分を吸って大きくなったものさ。そしてその子供たちの出どころは分かるだろ? 須賀谷君……だっけ? 君にはね」

 するとフランベルグはアロンソをちらりと軽く見てから須賀谷の方に向き直り、そう告げてきた。

「俺を知っているのか!?」

「兄弟に聞いたさ。フランベルグ・イルアリティスという子にね。なんでもよくやる子だとか」

 そう緑のフランベルグが言った直後に、

「士亜!」

 医務室で手当てを受けていた順が戻ってきた。

「順!」

「順、お前ら知ってるのかよ? あのガキとゴーレムを?」

「詳しくはわからない……だが、少なくとも人間の敵であることは確かだ! ともかく排除するぞ!」

「……排除? 身の程をしらないのか! ジャイアントペーパーゴーレム! やれ!」

 緑のフランベルグはそう命令すると同時に、ペーパーゴーレムが咆哮しながら右腕を叩きつけてくる!

「□ж△Я゛※$Ь!」

「避けろ皆!」

 その一声でフィールドのバリアが一撃で吹き飛び、ゴーレムの一撃は3人は回避したものの、近くの馬小屋を切断粉砕した。

「きゃぁああああああああ!」

「ヒヒヒィィィィン!」

 突然の攻撃に、馬が暴れだすのが見える。数頭かは脱走し、それを追いかけていく生徒もいた。

「あんにゃろ、ふざけやがって! 燃やしてやる!」

 アロンソは激高し、ティソーナに飛び乗る。

「待ってください」

 だがその背後に、篝火が声をかけた。

「何だ!?」

「あのゴーレムの頭部に、人間に近い体温反応があります。恐らくあのゴーレムの頭部には、子供が何人かつなげられているかと思われます。

 そう進言を、する。

「チ、成程。だが一人じゃ無理だな。おい須賀谷、俺の後ろに乗れ!」

 アロンソは合点がいったという顔をすると、須賀谷にそう言い放ってきた。

「何か策があるのか?」

 順はそんなアロンソに尋ねる。

「無かろうがやるしかねぇんだよ。……すまねぇが少しでいいからあの餓鬼の相手を、順は頼む。俺らがあのゴーレムを止める! 急げ須賀谷!」

「……あぁ!」

 須賀谷はアロンソの腕を掴んでティソーナに上がると、先ほど吹き飛ばしたコクピットのすぐ横の亀裂を掴んで体勢を保持した。

「飛ぶぞ!」

 ティソーナが飛翔し、すぐにペーパーゴーレムの頭部のあたりまで高度をあげる。

「人間もやるじゃん、滑走なしにこんなところまであがってくるなんて」

 フランベルグはニヤニヤと。、笑う。

「アイツは強いのか?」

 アロンソが須賀谷に対し、言ってくる。

「あぁ、恐らく順よりも……」

 須賀谷はそう言い、顔をしかめる。

「成程……じゃぁ須賀谷。あの餓鬼をさっきのタキオンマグナムで撃て。ティソーナにここまで傷をつけた銃弾だ、あれならいけるだろ?」

 ……なんという提案をするんだ。

「え? だが、この距離じゃ当たらんぞ?」

「なぁに、近づいてみせるさ、俺の腕を信じろ!」

 アロンソは、やる気だ。

「反動で俺が落ちる……!」

「拾ってやるよ、俺の命に代えてもな」

 言葉をかけあいながらも、ペーパーゴーレムが攻撃してくるので度々アタックをかわす。

「いいか?」

「あぁ、分かった! その提案、乗った!」

「いよっしゃぁぁ!」

 その言葉の次にティソーナが、ゴーレムの脇下を潜って背後に回る。

 そしてゴーレムが振り返った瞬間、肩上のフランベルグと目が合う!

「今だ須賀谷ッ!」

「うぉぉぁぁ!」

「ぐぅっ!?」

 両手で銃をぶっ放し、巨大なペーパーゴーレムの肩が砕けてフランベルグは落ちる。

「□ж△Я゛※$Ь!」

「ちぃ!」

 緑のフランベルグは空中で舌打ちをするが、その懐には変身した順が既に入っていた。

「パイル・ブレイカーァァァァァ!」

 衝撃波と共に胴体を貫き、緑のフランベルグを吹き飛ばす。

 そして順がさらにフランベルグを追ったところを見届け、アロンソは再度ティソーナを上昇させる。

「もう一発だぁ! ゴーレムの首を狙えッ!」

「うぉぉぉぁぁぁぁぁ!」

 もう一撃タキオンマグナムが当たり、ゴーレムの首元がひしゃげる。だが、それでも奴は姿勢こそ崩せどまだ直立をしてみせる。

「……もう一発、いけるか!?」

 アロンソが振り向いてくる、だが。

「……すまない、無理だ!」

「ならば……自爆特攻だッ! 舌噛むなよ!」

 須賀谷が疲労しかけているのを見たアロンソはそのままティソーナのコクピットにある赤いボタンを押し、当たる寸前にレバーを引く。

「うぉっ!」

 二人は同時に射出される。

「よくやったぜ! 須賀谷!」

 そしてアロンソは華麗に、須賀谷のマントを掴むと地面に当たる瞬間にボードを操りながら拾ってみせた。


 ドォォォォッ!

 着地の直後に無人のティソーナが突っ込み、ゴーレムの首元で大爆発が起きる。

 ゴーレムの首が歪み、頭が不安定になり外れたら地に落下しそうになるーー。

「さぁて、俺の実力を見せてやるぜ!」

 その頭を見るなりアロンソはボードに乗って、疾風の如く突っ込んでいった。

「アロンソ!」

「俺の実力を信用しな!」

 アロンソはそう宣言すると数秒後にその言葉通りに中から一人の少女を、救い出してみせた……。



「順!」

 ゴーレムを爆破した後に順の後を追うと、そこにはダメージを負って膝をついた順がいた。

 そして数メートル先に、あの緑のフランベルグがいる。

「口ほどにもない」

 緑のフランベルグは声だけは余裕たっぷりにそう言ってのけるが、彼も手首から出血させられて苦痛を顔にみせている。

「……せっかく面倒なマネをしてペーパーゴーレムまで育てたっていうのに……邪魔してくれちゃって。死ねばいいと思うよ」

 フランベルグは憎々しげに地面に唾を吐き睨みつけてくる。

「かくなる上は命と共に自爆して、ここを葬ってやろうか」

 そう緑のフランベルグが言ったその時、

「待て」

 彼の後ろから、そう声がした。

「何?」

 緑のフランベルグは振り返る。

「こいつは実力としては一番下なんだよ。だから君でも相応に戦えたわけさ」

 すると、未だ見たことのなかった、赤髪のフランベルグがいた。

「……兄さん」

「引け弟。お前の身体も心も、ここで失うわけにはいかない」

「……ッ! 」

「……我々の計画はもっと密に行われる必要がある、周りに嗅ぎつかれる訳にはいかないさ」

「しかし!」

「子供はまたさらえばいい。しかしお前は重要だ」

 赤のフランベルグはそう言いながら、庇うように緑の前に立つ。

「逃がすと思ってんのか? 《空撃掌!》」

 アロンソはそんな子供二人を威圧し、衝撃で攻撃を仕掛ける。

「生憎だが、君たちに僕を捉える事は出来ない」

 だが、攻撃が届く頃には既に子供達の姿はなかった。

「……逃げられたか。早ぇな。生身でマジックボード並みの素早さか……」

 舌打ちをしながらも皆で、順に駆け寄る。

「ぐっ……すまない、アロンソ」

「……大丈夫か? 順」

 アロンソは心配して肩をかすぜ、と言う。

「問題ない、自力で立てる。お前こそ、ティソーナを破壊してしまって大丈夫だったのか?」

「なーに、ポケットマネーで修理くらいすっさ。問題ねぇよ」

 順の気遣いに対してアロンソはおどけた調子で、返事をした。

 

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