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ZSーゼット・ストライカーー  作者: ひびき澪
EP1ーヴァルヴァロス
1/36

0+プロローグ

http://ncode.syosetu.com/n1467ch/ から17年後の話。


※某新人賞の評価シートを参考に加筆修正版。

ここから以前書いていた2の部分も統合し長編として書いていきます。

http://hibiki0dura.web.fc2.com/zs.html

キャラクターリスト

http://ncode.syosetu.com/n1395bq/

設定書

挿絵(By みてみん)

  碩鼠 碩鼠

  我が黍を食ふ無かれ

  三歳女なんじつかへたれど

  我を肯へて顧みること莫し

  逝いて將に女を去り

  彼の樂土にかん

  樂土 樂土

  ここに我が所を得ん

 (意訳 あがけどもあがけども楽土は見えない。ならば私は旅へ出よう。この支配から、この軋轢から。私の在るべき処へ……いざ往かん!)

                   (詩経より)


 プロローグ 亡命科学者 古海・マルクカ・テスラ・コレカイの手記


 今になって考えてみるとこの私と同年代に生まれた世代というものは、多感な時期に世界に対し失望をしながら育ってきたと思う。

 記憶の上では13のときに大きな地震と毒ガステロが起きて、15で海外からネットで流れた人の惨殺死体を初めて見た覚えがある。

 そして17のときに相次ぐ学生の飛び降り事件と年下の硫化水素自殺をテレビで見てショックを受け、少なくとも若かった自分はこの世の中に救いは無いとつくづく感じたものだった。

 それが子供の思い込みや戯言であれば良かったのだが、今考えればそうでもなかったのも、残念だ。

 むしろ大人になってから現実の酷さに、嫌悪感を感じてしまった。

 社会に出れば残業は未払いがデフォで、他人の退勤を勝手に切る上司やらなどがいるとは、全く想像もしていなかった。

 文句などは無論、言った。

ーーだが。

 「文句を言ったところで、行政処分が起きれば困るのは君だろう」と給料を盾に取られて脅されている。……これが、この国の現実だった。

 私は社会を恨んだが、中途半端に歳を食ってしまったばかりに分かってしまう。彼らはこの体質を変えようとも思わないし、そのせいで私たちが苦汁を舐めようとも何とも思わないのだろう。


 人に言うだけ言って休まず遅れず働かずとは、よくいったものだ。

 あんな格好悪い大人を一人前とするとは、文明のレベルも下がったものである。

 恐らくこの悪習は無くならない。次時代の子供を大事にしない世界に希望などは無い、そうも思う。

 ーーかつての恩師はこの時代を、真っ直ぐに見るなという。不景気の所為にして自分達の無能さを隠すなといった。

 だが、重く圧し掛かる税金も、前の時代からの負担も日々増え続け、醜い豚のような奴等のせいで無力な人間達はお先真っ暗だ。

 世の中が日々、悪化に向かっていく。連日血で電車が止まるような世界は平常ではないと思う。


 国が納得いくことをしてくれないのなら、私が納得いくことをしてやる。

 ……世直しか、晒し上げか、鉄槌を下そうか。

 己の正義感という名の怒りに駆られてそう思った時、手持ちの情報端末が振動をする。沸々とした怒りのまま端末を作動させると、一つのニュースが目に入った。


 『異世界へのテラ・フォーミングが先週末、遺伝子操作を受けた人間有志により始まった。マジュツというものを使う現地民の存在は確認されるが、黒船計画を指揮する国際資源技術発掘部開拓科所長、ジンメールによると平和的に解決をしようとの事をモットーに対話を心掛けるので争いの心配は無いとの事』

 ニュースを見た瞬間、上司の名前を見て背筋に悪感が走っていった。

 ……私たちが日々これだけ低賃金で地を這っているというのに、お偉いさんはまだ不幸をばら撒こうというのか。

 ーー言いようのない怒りが、沸々と湧きあがってくる。

 開拓科という名の搾取魔め、そんな事でエゴを通す気ならば私はあんた達を止めるためにこの世界に牙を剥いてやる。

 私が先に別世界に行き、この私自身の科学の力をもたらし味方をつけてこの国を滅ぼしてやる……!

 自分勝手な我儘でも結構。上の命令で親の死に目にも会えないようなこんな世界に、正しい道理がある訳がないのだ。喩え私自身が戦車に轢かれようとも……為さなければいけないことがある。

 私がこの未来の見えない腐った世界を、完全に昇華させてやるーー。

 緑光暦7DC年4月。 一人の科学者は復讐心を糧に情報に飛びつくとありったけの稀少研究資材を持ち逃げし、異世界に亡命を選択していった……。

 転移先の世界であるアルヴァ・ヴァルアシア歴は2023年。

 開拓という名の侵略を受けた魔法の世界は元の世界へ反攻を目論む一人の科学者により、そこから機械に依る発展を始めた……。

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