惑星MP3
カイトは『門番』から星に入る許可をもらい惑星MP3に入った。
相変わらず星には美しい光景が広がっている。
カイトは肺いっぱいに酸素を取り込み、元気良く歩いていった。(このときカイトはこの星に酸素があってよかった、と心底思っている)
「さて、買い物にでも行こうかな」
下手な鼻歌を鳴らしていた。
「いらっしゃい、ありゃ、旅人さんなんて久しぶりだねぇ」
かなり太った、大柄な女性(?)が話し掛けてきた。
額には美しい褐色の宝石のようなものが付いていた。
「?なんで旅人と分かったんですか?」
「そりゃ、アンタが腰に提げてる剣みたいなので分かるさ。でも、なんで旅なんか しているんだい?」
「……」
「言えない理由があるみたいだね・・・・・・。まぁ、人は誰しも何かを背負っているからね、アンタは特に重たいもの背負っているみたいだけどね」
カイトは黙り込む。
「まぁ、いいや。この星は初めてかい?」
大柄な女性が聞き、カイトが答える。
「はい、まぁ、一応」
「なら、この星について色々教えてあげるよ」
惑星MP3には『宇宙戦争』の被害に遭わなかったこと。
「あ、それ『門番』さんから聞きました」
「あの、屁理屈じじいめ・・・・・・。まあいいや、続けるよ」
惑星MP3にいる生物の特長、額に美しい水晶のようなものがあること。
この星には3つの身分があり、上、中、下に分かれていること。
額のものの色が美しいほど、高貴な存在だということ。
「へぇー、よく分かりました。だからオバサンには水晶が付いてるんですね」
「オバ……」
額にビシッ、と青筋が立った。この辺は地球と自分の星と変わらないなぁ、とカイトは口に出さないよう、心の中で思った。
「色々教えてやったんだから、5個以上買っておくれよね」
「う、悪徳商売……」
「なんか言ったかい?」
カイトはこの人に逆らえないと瞬時に悟り、黙って言う事を聞く事にした。
「いえ、何も……」
無理矢理、雑貨屋に大量購入を余儀なくされたカイトは
「……財布の中身が……」
振っても塵しかでてこない財布を未練がましく見つつ、歩いていると
ごごごごごごごごごごごごご
突然、星そのものが揺れているような轟音で
「うわぁ!?」
しりもちをついてしまったカイトはおもむろに空を見上げると
「!?」
轟音とともに
「あれは、まさか……」
巨大な塊が
「でも、何故!?」
降りてくるのを、唖然として眺めていた。
辺りはいつの間にか、悲鳴や絶叫が飛び交っている。
天から降ってきたのは……
「宇宙海賊、かよ……」