プロローグ/登場人物
――記録映像。
◆◇◆◇◆
ナレーション
「三か月前、諏訪湖の中央湖底において、
異様な構造物が発見された」
――映像:濁った湖水に、直方体の巨石が沈む。
――字幕:《調査第1日目・水深18m》
ナレーション
「一見、それは自然の岩塊にすぎない。
だが、水中カメラが照らし出したその表面には――
四つ並んだ菱形の模様が浮かび上がっていた」
――クローズアップ。
――字幕:《武田家家紋 “風林火山”に酷似》
調査員
『石箱です!……神童博士の想定通り、
間違いありません』
――◇――
《調査報告書・抜粋》
構造名称:諏訪湖底 石箱構造物
発見者:跡見大学 神童時貞教授チーム
ナレーション(朗読調)
「外箱――第1層、大型石箱。
横幅12.36メートル、
奥行20メートル、
高さ3.50メートル。
そのサイズは、小型のビルに匹敵する。
一枚岩をくり抜いた直方体で、
上蓋の中央に直径2メートルの穴。
接合部はなく、高度な石工技術を示す」
「さらに、
ミューオン透視解析によって――内部にもう一層、
直方体の箱型構造物が存在することが確認された。
縦横7.5メートル四方、高さ2.8メートル。
外箱の内部に密着して収められていて、動かない。
外蓋の穴から覗く内蓋部分は“脆い石”で造られている」
「ただし、その内部については、いまだ不明。
意図的な二重構造――
“何かを封じたものではないか”との見解も出ている」
――◇――
――映像:地元新聞の見出し。
ざわつく住民インタビュー。
ナレーション
「“信玄の財宝だ”“
いや、信玄を葬った石櫃だ”――地元は騒然となった。
メディアも動き、テレビ局・チャンネル9は特番制作を決定。
特番は、人気レポーター・白鳥碧に託された」
*
一年後――
石箱は、引き上げられる。
それが、
湖が五百年かけて隠し続けてきたものなのか。
そして、その行為が惨劇の始まりになることを――
いまは、まだ、だれも知る由はなかった。
◆◇◆◇◆
【登場人物】
■主人公チーム
◎白鳥 碧(25)
売れっ子の美人レポーター。強気で行動派。元・陸上選手。
◎神童 時貞(28)
跡見大学の若き歴史考古学者。変なイケメン。飄々とした天才肌。
◎牧瀬 一織(19)
お嬢様助手。跡見大学1年生。牧瀬コンツェルンの令嬢で、時貞を慕う。
◎賀寿蓮 龍信(27)
建設会社「賀寿蓮組」二代目。豪快で熱血な昭和魂の現場監督。
■賀寿蓮組
◎羅生門 源次(現場責任者)・吉田 彗・(作業員)森川 翔太 (作業員)
――現場の“汗と根性”トリオ。
源次のタフさ、彗の覚醒、森川の勇気が物語を大きく動かしていく。
■田辺研究所
◎田辺 広信(博士)・丹波 三郎(助手)・日向 陽子(助手)
――古代生物を研究する冷静な三人組。
理屈を超えた“存在”に直面し、科学の限界を試される。
■水篠物産
◎水篠 大蔵(現場最高責任者)・岩城 雅也(部長)・東峰 隆造(部長)・
林 道夫(発掘員)・山本 誠(発掘員)
――諏訪湖発掘の出資元チーム。
金とロマンの狭間で揺れ、五百年前の“石櫃”の真相を探る。
■報道チーム:チャンネル9
◎一条 義春(常務)・風見 麟太郎(カメラマン)
――碧を現場に送り込んだテレビ局の人間たち。
スクープか、真実か――その選択もまた血にまみれる




