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第2話 ここどこだよ…

第2話 ここどこだよ…

 月日が経つのは早いもので俺も高校2年生になった。

 夢で久々に俺が2年前に幼馴染であった詩音に推薦入学と誕生日のお祝いでプレゼントを送った日のことが鮮明に蘇った。

「はぁ…(久々にあの時の夢見た…)準備するか。」

 俺がベッドから起き上がって制服に着替えて、全身鏡で変なとこがないからチェックをしてから、鞄を持って部屋を出る。キッチンで朝ごはんの準備をしていた母親に挨拶をしてから、自分でトーストの準備した。

 俺の家は母親が弁当を作ってはくれるが、朝ごはんの準備は各々で食べたいものを作って食べるスタイルだ。

 だから俺も食パンをトースターに入れて焼けるまで待ってる間にサラダや目玉焼きをちゃちゃっと準備して席に着く。

「いただきます。」

「透、私もう行くから。お弁当は出来上がってるから、忘れずに持っていくのよ?」

「ああ、分かってる。いってらっしゃい。」

 俺が朝食を食べ始めるとちょうどよく母親が弁当を作り終えたようでエプロンを取るとあっという間に服を着替えて仕事に行ってしまった。

 母は大手企業で役職に就くほどのバリバリのキャリアウーマンだ。俺が小さい頃育児の合間に取った資格がだいぶ活躍しているらしく、仕事復帰してからはあれよあれよと昇進し、今では家を早く出て満員電車に揺られながら仕事に行っている。

 父はのんびりしている人なので、母が昇進して役職に就いてることには文句も無く、「すごいねぇ〜」とお花を飛ばす程度だ。そんな母の負担を減らすために我が家では昼間の家事は父がこなし、俺も学校から帰る時にスーパーに寄って買い物をする担当になっている。

 夕飯作りも父親と交代で作るようになっており、我が家の独自のルールにより、家族間でのストレスもなく、仲良く暮らしていた。


 夕飯の後、俺が風呂に入っていると、ふと今朝見た夢のことを考えていた。

「(詩音、つい前日まで俺と話してたのが信じられないよな…)」

 詩音は俺にプレゼントを貰って帰宅した後、翌朝になっても詩音が部屋から出てこないことに詩音の母が不審に思って部屋に行くとそこには誰もいなかったらしい。

 そう、詩音は忽然と姿を消したのだ。

 ベッドに俺から貰ったゲームソフトだけを残して。

 最初は詩音が深夜に外出したのだろうかと家族が近所を捜索したが、それでも見つからず。

 学校にも連絡して学校からの勧めで警察にも相談し、1日様子見をしてみましょうということになったが、それでも詩音がひょっこりと姿を現すこともなく、詩音は行方不明者として家族が行方不明者届を出し、警察も捜索にあたった。

 だが、2年経った今でも詩音は見つかっていない。

 突如姿を消した詩音に詩音の家族は悲しみ、近所で前日まで詩音が会っていた人物として俺や俺の家族にも事情聴取されたが、詩音が忽然と姿を消す理由が分からず、警察もお手上げだった。

 俺は詩音が勉強を見てくれると言っていたが、元々そんなに成績が悪い訳ではないので、なんとか詩音がいなくなってしまった悲しみに蓋をして受験勉強に精を出し、それなりに偏差値の高い高校に合格し、今はそこで2年生として登校している。

 

 浴槽に浸かって、ぼけーっとお風呂場の天井を見ていると、脳裏にはプレゼントを貰って嬉しそうに笑ってくれた詩音の笑顔が鮮明に蘇る。

 俺が詩音にプレゼントなんてか柄にもないことをしたから、いなくなってしまったのか、俺が何かしてしまったのか、そんな後悔が付き纏い、俺はそんな暗い思いを掻き消すかのように顔にお湯をばしゃばしゃと掛けて、浴槽から出た。

 髪の毛を乾かし終わり、部屋に戻ると、部屋の本棚には詩音にプレゼントしたのと同じタイトルのゲームソフトがあった。それを手に取った。

「(最近このゲームやってなかったな…。)やってみるか。」

 2年経った。まだ詩音は戻ってきてないし、家族も必死になって詩音が帰って来るのを待ってる。俺は詩音との繋がりがこのゲームしかないと思って、久々にゲーム機を起動してソフトを読み込んでもらい、ゲームをスタートさせた。


 それと同時に俺が腰掛けたベッドの床がパァッと光った。

「な、なんだ!?」

 眩しいがよく見ると、ゲームなどでよく見るファンタジーな魔法陣が描かれているように見える。どうしてそんな魔法陣が俺の部屋のベッド下から現れるんだ!?と困惑していると、次第に俺の体も発光し始めた。

「俺も光ってる!?」

 手に持っていたゲーム機がガシャンと落とした瞬間、俺は状況が飲み込めないまま、光が強くなり目を瞑ってしまった。


 次に感じたのは、ほのかに温かい風と草の匂いだった。

 俺が恐る恐る目を開けると、そこは辺りが一面の緑だった。

「は?」

 状況が読み込めなかった。そよそよと吹く風は先程まで俺がいた自分の部屋でないことは確かだ。

「ここどこだよ…」


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