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第7話 春華殿の刺繍の会

さらに翌日。

春華殿の広間では、女官も侍女も下女までもが集まり、刺繍の会が開かれていた。

白い布に花鳥を縫い取り、笑い交わす穏やかな時間。


そのとき――前触れもなく、坤寧宮からの行列が庭に差し込んできた。

「こ、皇后娘々……!」

一同が顔を見合わせた瞬間、空気が張り詰める。

女官たちは慌てて立ち上がり、口々に「きたあああー!」と小声で叫びながら、座具や道具を片付け始めた。


しかし、簾を分けて入ってきた王皇后綺華は、思いのほか穏やかな顔をしていた。

「そのままでよいわ」


刺繍針を持ったまま固まっていた明玉が、目を瞬かせる。


綺華はまっすぐに彼女の前まで歩み寄り、声を落とした。

「この間は助けてくれてありがとう」


それだけを告げると、踵を返し、後ろも振り返らず坤寧宮へ帰っていった。


「……てっきり、陛下のご寵愛の件で、たくさんお叱りを頂くのかと思っておりましたのに」

明玉は刺繍針を見つめたまま、きょとんと呟いた。


その隣で、周守謙がにやりと笑う。

「もしそうなっておりましたら――石賢妃さまを見習って、この間の“アレ”を、この私が皇后娘々のお部屋へお返しにあがろうかと思っておりました」


女官たちが思わず吹き出し、場が和らぐ。

「周殿は、見かけによらず容赦のない方なのですね」

明玉もつられて笑った。


春華殿にはまた、ゆるやかな笑いが広がっていった。

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