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プロローグ
ここは璃宋。
若き皇帝の治める、中原の新しき王朝である。
皇帝允成は、わずか十六歳にして登極した。
その治世は始まったばかりであり、外廷も内廷もまだ落ち着かず、国の行く末は誰もが固唾をのんで見守っていた。
後宮には、皇后を頂点として三妃が居を構えている。
坤寧宮の皇后王綺華。
秋霜殿の徳妃楊清真。
炎陽殿の賢妃石瑤華。
そして春華殿には、皇帝の偏愛を一身に受ける蘭貴妃明玉がいた。
だが、栄華も権勢も望まず、明玉が願うのはただひとつ。
――春華殿で、侍女たちと共に穏やかに過ごす日々であった。




