馬車馬のように働く。僕は貴女の召使い
文化祭企画班全体での集まりが招集された。
前回、寝坊して脚本班の集まりをサボってしまったために、なんだか足取りが遅い。
「なあ、気にすんなって。みんなもあんまり気にしてないって」
そんな僕の状態を察してか、安宅くんが励ましてくれる。
会議室前につき、僕は緊張しながらドアをあけた。
「お!今日は来てくれたんだね。前回は来ないから心配したんだよ」
僕を気遣ってそう言ってくれる天堂院先輩。
(さすがに、申し訳なさすぎる!)
「天堂院先輩!」
「な、なんだい?」
「前回の不参加、ほんと申し訳ありませんでした! この通り、馬車馬のように働きますので、どうか……召使いとしてこき使ってください!」
「……佐藤くん、君って極端だね」
僕の渾身の土下座を披露するとともに、苦笑いを浮かべる天堂院先輩。
わかったよ、とため息交じりにほくそ笑む先輩。
脚本は大方決まったため、ちょうど脚本班の人手も今よりも少なくてよいため、僕は他の班を手伝うスタッフみたいな役割として任命された。
それからは馬車馬のようにみんなの手伝いに勤しんだ。
ある時は美術班で、
「安宅くん!なにか必要なものは!」
「おう、ちょうどいいところに。絵の具がきれそうだから近くの店で買ってきてくれ!」
「りょうかい!まかせて!」
ある時は役者班で、
「月城さん!喉渇いたと思って、飲み物買ってきたよ」
「あ!サンキュー、センパイ☆」
そしてある時は衣装班で。
「ミシン縫いかー。やったことないな」
「先輩はそこでジッとしててください」
「はい、一ノ瀬さん」
とにかく自分がやれる範囲で色んな班を手伝っていった。
そんなある日の下校途中、月城さんと一ノ瀬さんと校門で鉢合わせた。
「二人とも、今日もお疲れさま」
「センパイもお疲れさまです。最近頑張ってますね!」
「お疲れさまです。前に会議をサボった時は逃げ出したかと思いましたが見違えましたよ」
「ああ、それねー」
「グハッ……ッ! それ言う!? いま頑張ってるのに!?」
一ノ瀬さんのストレートが僕の心に突き刺さる。
2人とも僕の様子にケラケラと笑っていた。
「でもまあ……召使いにしては、ちょっと可愛いとこあるし」
「使い勝手はいいですね」
「どんな評価受けてるの!?」
色んな班を手伝っていたおかげか、こうして後輩2人とも普通に話せるようになっていたことに嬉しさを感じる夕方だった。




