ドキドキ!? 監視と誤解のスクランブル 〜夏祭りと浴衣の距離感〜
人混みと屋台の明かりが交差する、夏の神社境内。
浴衣姿の雨宮さんとその友達とも合流し、なんとも言えない緊張感に包まれながら、僕たち平均点クラブの面々は夏祭りを回っていた。
りんご飴、焼きそば、ヨーヨー釣り。 にぎやかに笑いあう空気の中、ふと背後から声が飛んできた。
「まったく、男子だけだと絶対に暴走すると思ってたんだよね~」
振り向くと、そこにいたのは――
「「「「い、委員長!?」」」」
浴衣姿で、団扇片手にこちらを睨むように見つめる少女。 クラスメイトにして、“口の立つお節介娘”として有名な存在だ。
「コウダくん、さっき女子の浴衣姿ガン見してたでしょ? まったくもう、目線が正直すぎて笑える」
「え、ええ!? 見てねぇし!? 俺は……風流をだな……!」
「セキネはさっき『射的でカッコいいとこ見せる』とか言って外しまくってたし」
「いや、それは練習だし……!」
「ノジマはチョコバナナ買ってた女子を二度見してたよね」
「やめろぉぉぉバラすなぁぁぁぁ!!」
ズバズバと的確に突いてくる霜降さんに、男子陣はもうボロボロだった。
「で、佐藤くん」
「……えっ、僕、なんかした……?」
「ううん、してない。でも――“してない男”こそ要注意ってね」
「えええ……」
笑顔でさらっと怖いこと言わないでください。
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「というわけで、あたしも一緒に回るから。監視目的で」
「……え?」
「拒否権? ないよ?」
そうして、なぜか霜降さんと一緒に夏祭りを回る流れに。 しかも――
「ほら佐藤くん、綿あめ持ってて。浴衣にベタベタつくの嫌だからさ」
「え、あ、うん……」
「あと射的はあたしが勝負する。負けたらジュース奢りね」
「僕が……?」
「うん、君が」
気づけば、僕は霜降さんに完全に主導権を握られていた。
周囲の男子たちはニヤニヤしながら僕を見るし、 霜降さん本人は一切の遠慮なくスイスイ進むし、 まるで嵐に巻き込まれたような感覚だった。
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その様子を、少し離れた場所から見ていた雨宮さんは、 目を細めていた。
(……なんだろう、あの二人。すごく距離近い)
霜降さんは誰にでもああいう感じで接するのを知っている。 でも――
(佐藤くんが、少し困りながらも応じてるのが……)
胸の奥が、チクリとした。
彼女自身、何か明確な言葉にできる感情ではなかった。 ただ、気づけば視線はずっと佐藤の方を追っていた。
(……ばか)
つい、口の中で呟いていた。




