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絵から始まる物語 僕らの共作プロジェクト、始動!

午後2時、創作スペースの午後


カタカタ……

周囲の誰もが、それぞれの創作世界に没頭していた。


……なのに、僕のカーソルはまだ、冒頭で点滅したままだ。


(……書きたい。けど、何を書けばいい?)


“恋愛”も、“ファンタジー”も、頭の中にぼんやりとはあるけど、形にならない。

きっかけが、どこかに転がっていないだろうか――。


「――なぁ、佐藤」


不意に肩を叩かれ、振り向くと、そこには安宅マコトがいた。

左手には、持ち歩いているスケッチブック。


「ちょっと、見てくれない?」


そう言って開かれたページには、1枚のイラストが描かれていた。


そこには、風になびく白いマントと赤い髪の少女。

スカーフを巻き、背中には大きな魔導書。

広がる空を、箒でも翼でもなく――“雲”に乗って飛んでいた。


「……すごい」


見た瞬間、心を掴まれた。

なんて自由で、なんて楽しそうな子なんだろう。


「名前はまだないけど、俺のオリキャラのひとり。

“空を走る女の子”ってコンセプトで描いたやつ」


「うわ……こういうの、小説にしたいなって……思った」


そう口にしたとき、安宅はにやっと笑ってこう言った。


「じゃあさ――俺の絵をベースに、お前、物語作ってよ」


「……えっ?」


「俺も今まで、“自分のイラストを誰かに物語化してもらう”なんてやったことないしさ。

でもお前、言ってたじゃん。“キャラの心を描きたい”って。

だったら、この子の中に、お前の物語を入れてくれよ」


――衝撃だった。


自分の中から出てくるものを待つばかりじゃなくて、

他人の創作に触れて、そこから“自分の視点”を探す。


「……やってみたい、かも」


気づけば、僕の指はキーボードに戻っていた。



---


◆ “彼女”の物語、始まりの一文


> 「雲の上は、退屈と自由の天秤の上にある」

赤い髪の少女は、空を歩く。


それは、まだ名前もない“彼女”の第一歩。


“空の旅人”の物語が、静かに幕を開けた。


「……お、いいじゃん。その一文。俺、こういうの好きだわ」


「……ほんと?」


「うん。じゃあ俺も、この子の表情、もう何パターンか描いておくわ。

セリフとか、性格の方向性も共有してくれたら、こっちも合わせてみる」


「……うわ、なんか……すごい楽しいかもしれない」


“誰かと一緒に物語を作る”というのは、初めてだった。


物語はひとりじゃない。そう感じる瞬間だった。


そうして、創作合宿の午後は静かに過ぎていった。


周囲ではそれぞれの作品が進み――

その中の片隅で、僕と安宅は新しい創作の形を育て始めていた。


いつかこの“空の少女”が、誰かの心に届く日を夢見て。


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