夏の陣!スケジュールを制する者は創作を制す
夏休み直前の夕方。
僕たちは駅前のファミレスに集まっていた。
赤点同盟改め――
「“平均点クラブ同盟”、本日結成!!」
「おい、結成宣言にしては唐突すぎない!?」 「てか、そもそも“同盟”と“クラブ”って二重構造だろ……」
コウダくん、セキネ、ノジマ、僕。
追試の戦いを共に乗り越えた仲間たちは、いま一つの机を囲んで、真剣な顔をしていた。
「じゃあ……夏休みの予定、決めるか」
「まず俺の案、海! それからBBQ!」
「夏といえばプールだろ。あと花火! 彼女いないけど!」
「おい、誰も彼女いるなんて言ってねぇよ!?」
「いやさ……勉強しないで済むなら何でもいいよ。もう“学”って文字見るだけで吐きそう」
「同意。“宿題”って文字見るだけで胃痛する……」
みんな、想いが交錯している。 中間試験、追試、期末試験と走り抜けた後の解放感は、確かにあった。
「で、佐藤は? なにか予定あるの?」
「え……あ、うん。創作合宿……に行こうかなって」
「えっ、マジ!? なにそれ!?」
「……山の施設で泊まり込みで、小説書いたり、語り合ったりするやつ」
「うわ、なんか……超文化的」
「俺たちとは違う道を進んでる……」
(なんでちょっと感動されてるんだろう……)
「あとさ、これだけは追加したい」
とノジマが手を挙げた。
「8月15日、地元の夏祭りな。これは参加必須でしょ!」
「おお、浴衣! 屋台! 金魚すくい!」
「クラスの子もけっこう来るらしいよ。去年は浴衣姿の雨宮さんがめちゃくちゃ人気だったらしい」
「マジか!! よし、行く!!!」
僕は、ひとり黙ってスケジュール帳に【8/15:夏祭り】と書き込んだ。
(……行けたら、行こうかな)
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ファミレスを出るとき、誰かが僕の肩を軽く叩いた。
「よう、佐藤」
振り向くと、そこにいたのはクラスメイトの安宅マコトだった。
イラスト系の同人活動をしていて、少し目立つ存在。噂では文化祭のポスターも彼が描いてるとか。
「この前言ってた創作合宿、詳細決まったら連絡先するから」
「えっ、あ、うん……! ありがとう!」
「お前が書くもの、期待してるぜ」
それだけ言って、安宅は手を振って去っていった。
(……なんだろう。ちょっと嬉しかった)
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帰宅後、僕はスケジュールノートを開いた。
> 【7/30】雨宮さんと図書館
【8/11〜14】創作合宿(個人)
【8/15】夏祭り
【8/20】海&BBQ
【8/28】宿題ラストスパート会
(書けるかな。いや、書くんだ)
気づけば、僕の夏はもう動き出していた。




