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創作をぶつけ合え!“恋の言葉”が火花を散らす

「なに、あれ……?」


LOVE×EXPOの中央広場。

そこにそびえ立つのは、まるで格闘技イベントのようなリングステージ。


「出たっ☆“告白バトルステージ”じゃん!」

NAROちゃんがピンクのステッキをぶんぶん振りながら、嬉しそうに叫ぶ。


> 「第一試合! “包容力MAXの年上ヒロイン” vs “毒舌ツンデレ妹キャラ”!

どっちの告白が、読者の心を射抜くか!? 愛と涙の創作ファイトォォッ!!」




観客の声援のなか、ライトに照らされて現れるのは、ふたりの“ヒロイン”と、その作者。


キャラたちは朗読という形で“告白シーン”を披露し、作者たちは横で熱弁をふるう。


「俺のヒロインは、“最後まで黙って見守る強さ”を持ってるんだ!!」

「いやいや、真っ直ぐにぶつける“好き”の破壊力ナメんなよ!!」


観客たちはどよめき、歓声を上げ、熱気が広がっていく。


「……すごいな。告白って、ここまで“戦える”んだ」


「“恋のセリフ”でバトるってマジ意味わかんないようで、創作の真髄って感じするっしょ?」


そう言ってNAROちゃんは満足げにうなずく。


「読者の心を動かす告白ってさ、“自分の好き”を信じ抜く強さの証明なの。

そりゃ熱くなるに決まってんじゃん!」


僕はステージを見つめながら、拳を強く握る。


自分が今まで書けなかったものが、ここにはある気がした。



---


> 「“あんたじゃなきゃ、ダメなんだ”って言葉、10回書き直しました!」

「“君の未来に、僕は必要ですか?”ってセリフ、ずっと胸に抱えてたんです!」




作家たちは一つひとつの言葉に、命を宿していた。


照れくさい。気恥ずかしい。――それでも、伝えたい。


そんな“言葉の重み”が、どの作品にもあった。


「……僕も、書けるのかな」


思わずこぼした言葉に、NAROちゃんは軽く笑って肩をすくめる。


「今のアンタなら、もう十分入り口に立ってるよ」



「……あれ?」


人混みの向こう。

黒と赤を基調にした、ひらひらとしたレースとリボン――“ゴシックロリータ”の服を着た、小柄な少女がこちらに歩いてきていた。


長い黒髪。陶器のように整った肌。

どこかのキャラかと思ったその少女は、僕の目の前で立ち止まって言った。


「また会ったわね。迷い人くん」


一瞬、誰か分からなかった。けれど――その声と雰囲気に、すぐ気づく。


「……エリさん?」


「ふふ。こんなところであなたと再会するなんて、少しびっくりしたわ」


エリさん――如月エリは、以前“異世界ファンタジー通り”まで僕を案内してくれた人。

あの時と同様にゴスロリに身を包んだ彼女は、“可愛らしさ”を前面に出した姿だった。


僕は目をぱちくりさせたまま、ただ立ち尽くす。


「恋愛ジャンルなんて、意外ね。あなたはてっきり“剣と魔法と内政もの”が好きなのかと思ってた」


(……あ、やっぱりそう思われてたのか)


彼女の口調に、どこか驚きと興味が混ざっているのが分かった。


「まあ、なんとなく興味が湧いたというか……今なら、少し書いてみたいって思えてきたんです」


「それなら、それでいいのよ」

エリさんは微笑んだ。


「恋愛創作に必要なのは、経験でも技巧でもない。“誰かを想う想像力”だから」


「……そう、なんですね」


「もちろん、あなたがその答えを見つけるのは、まだ先かもしれないけれど」


そう言いながら、エリさんは視線を少し遠くに向けた。


「また、どこかで会いましょう。今度は、作家としてね」


そう告げて、彼女はひらりとスカートを揺らして去っていった。



---


「ゴスロリってマジで反則だわ~あのカリスマ感。あの人絶対只者じゃないでしょ」

NAROちゃんがジト目で呟く。


「……うん。けど、不思議と、会えてよかったって思った」


再び僕の胸の内に、火が灯るのを感じた。

さっきまでぼんやりしていた“恋”という言葉が、少しずつ形を持っていく。


柊ミオ。芹沢カレン。成瀬ユナ。


あの3人のヒロインの声が、今ならもっとはっきり聞こえる気がする。


「じゃ、そろそろ“Re:恋コメ”の第1話、いってみよっか?」


「……ああ」


僕はノートを開き、ペンを握る。


> 『プロジェクト:Re:恋コメ』

第1話:未定




でも、書き出す一文だけは、もう決まっていた。


> “この物語は、好きになるまでの物語だ”

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