表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/57

恋愛ジャンル通りを歩け。“好き”のかたちは無限大

「――とりあえず、もっと“恋愛小説”ってやつを知ってみようと思う」


僕はそう言って、恋愛ジャンル通りの通り道を歩いていた。


3人のヒロインに名前を与え、仮タイトルも決めた。

でも、まだ物語を書き出すには、自分の中で“何か”が足りない気がしていた。


NAROちゃんは、そんな僕の決意を聞くなり、にやりと笑った。


「いいじゃ〜ん!ようやく“チェリー”卒業して、本気モードって感じじゃん?」


「……いや、その呼び方はもうやめたって言ってたよね?」


「ごめんごめん♡ サトウね、サ・ト・ウ♪」

ピンクの羽をぱたぱたさせながら、彼女はリズムよく僕の前を飛ぶ。


「ってことで、今日は“恋愛ジャンルの先輩たち”が書いた、実際の創作をいっぱい見てもらいま〜す!」



---


恋愛ジャンル展示区画:LOVE×EXPO


「ここ、まるで……文化祭みたいだな」


恋愛ジャンル通りの中でも、“展示広場”と呼ばれるエリアに足を踏み入れた瞬間、僕はそう呟いた。


そこにはステージやブース、カフェ風の朗読スペースに、ポスターだらけの壁。

作家たちが自分の小説を様々な形でプレゼンしている、“創作の見本市”のような光景だった。


「ここは、作家たちが“恋の形”を表現する場所! ラブレターの劇とか、告白の瞬間だけ抜き出したVR演出とか、マジいろいろあるよ!」


「……恋愛、奥が深いんだな」


NAROちゃんに導かれながら、僕はいくつかの作品を巡ることにした。



---


Case 1:余命恋愛もの 〜切なさと強さの混在〜


まず僕が立ち止まったのは、小さなステージで朗読されていたモノローグ。

少女の声で語られるのは、「余命3ヶ月の私が、同級生の君に恋をした物語」。


> 「あと何日、君に“おはよう”って言えるんだろう。

 たぶん、私の人生の最後の言葉も、“君の名前”だと思うんだ」




演者の静かな声に、観客席の誰もが息を飲んでいた。

たった数分の朗読なのに、胸がギュッと掴まれるような感覚が残る。


「……すごい。こんなに感情を詰め込めるんだ」


隣で聞いていたNAROちゃんがぽつり。


「この作家、もう5年以上“別れのある恋”しか書いてないんだって。 “恋の輝き”を、“消える命”で際立たせるプロ。読者泣かせNo.1よ」



---


Case 2:テンプレラブコメ職人 〜笑ってときめかせる技術〜


次に立ち寄ったのは、賑やかな演出が飛び交うステージ。


「うっわ!またパンツ見せやがって!」 「べ、別にあんたのために見せたわけじゃないし!!」


爆笑と拍手。

王道の“ツンデレ×鈍感男子”のやりとりに、観客のカップルたちまでキュンキュンしている。


「うちのヒロイン、ツン比率70%、デレは年に1回。それでも読者が毎週待ってくれてんの!」


舞台裏にいた作家の女性は、ドヤ顔で語った。


「テンプレはダメだってよく言われるけど、テンプレで“心を動かす技術”を磨いたら、最強の武器になるんだから」


「……格好いいな」


僕は思わずそう呟いていた。

なんとなく“テンプレ=ダメ”って思っていた自分が、恥ずかしくなった。



---


Case 3:中学生男子の一点突破ラブ


最後に、ひときわ小さなブースに足を止める。

机の上には、たった一冊のノート。

中をめくると、“告白までの3日間”の心の葛藤が、びっしりと手書きで綴られていた。


登場人物は、男の子と女の子、たった二人だけ。

でもそこには、何ページにもわたって、心の中の“震え”が描かれていた。


> 『好きって、言えない。でも伝えたい。言えない。でも、言いたい。』



言葉にならない感情が、ページの中で何度も反復されていた。


「……伝えたいけど、伝えられない」


思わず声に出してしまったその感想が、自分の中に妙に刺さった。


「書き方も、テーマも、全然違う。

でも、どの作品にもちゃんと“恋”がある……」


“好き”って、ひとつじゃないんだ。

そう気づいたとき、少しだけ心が軽くなった気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ