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久遠の僕と永遠なる君 2話

 あの憧れのアルベリアが、僕の、僕だけの先生になった。僕はもう待ちきれなかった。「アルベリア先生!僕に魔法を教えてください!!あの、綺麗でキラキラしてるやつです!」僕は先生にお願いした。先生は「…光魔法のことですか?」と言った。

 僕は初めて先生の声を聴いた。低くて暖かい落ち着く声。そして、冷たい表情。こんなにも暖かい声なのに、表情がすごく冷たく見える。思い返してみれば、湖越しの先生は表情を少しだって変えることはなかった。やっぱり僕のことを気に入ってないのかもしれない。僕は魔法のことも知りたいけど、先生とも仲良くなってみたい。わからないことはそのままにしておくより、聞いてしまった方がいいだろう。

 「先生、魔法の前に少し気になることがあります」と僕は先生に尋ねた。先生は「なんですか?」と表情を変えずに返した。「先生は僕のこと嫌…ですか?あまり笑顔が見られないので…」僕は思い切って胸の内を打ち明けた。先生は「私にはその様な"感情"というものがよくわかりません」と言った。僕はそれがどういうことなのか、あまりわからなかった。僕は先生自身ではないんだし、先生の気持ち全部はわからない。先生のこの言葉がどういう意味なのかも。だから、僕は先生のことをもっと知りたいと思った。なんなら、わからないなら僕が教えてあげたいとも思った。が、僕と先生はほとんど初対面で僕が湖越しで一方的に知っているだけにすぎない。急に教えてあげます!だなんて失礼極まりない。今は変な詮索はしない様にして流すことにした。

 先生が魔法を僕に教えてくれるみたいだ。光魔法…というやつらしい。この魔法が僕の大好きなキラキラなのだろう。先生は魔力の使い方を教えてくれた。早速実践だ!僕は持ってきていた杖にできる限り力を込めた。「あ…ッ!!」その時、杖は発光し僕の手を振り払い、空へ消えた。失敗…してしまった。杖も失ってしまった。すると、しょんぼり下を向いていた僕の後ろから、突然先生が自らの杖を僕の手に差し込んだ。「私の杖、使ってください」先生の声が耳元で聞こえる。「今からお手本を見せます、魔力の流れを感じてくださいね」「次、この魔法を使う時には、この感覚を思い出して下さい」「もし、忘れてしまったらまた教えます、いつでも言って下さい」大好きな先生の声が耳元で響いて、僕が知りたいはずのことが頭に入っていかない。僕はただ、先生の言うことに「はい…はい…」と相槌を打つことしかできなかった。

 日が落ち始めたあたりで、今日の授業は終わりを迎えた。あの後、先生は僕のレベルに合わせてくれた。初歩的な魔法から教えてくれることになった。僕は「先生!今日はありがとうございました!!また明日お願いします!」と挨拶をし、去ろうとした…が、この場所に僕の家はない。当たり前だ、元の場所からはかなり遠くの所に来てしまったのだから。すると、何かを察したように先生は「私と一緒に暮らしますか?」と聞いてくれた。僕は自分を単純なやつだと思いながらも、先生のお言葉に甘えることにした。

 僕は先生の家に上がり込んだ。「先生はいつもこういうところで生活してるんだ…」僕は憧れの先生と同じ暮らしができることに正直ワクワクしていた。「この部屋、使って下さい」先生が僕の部屋を用意してくれた。使っていない部屋のはずなのに、妙に手入れされている様に見えた。僕は気になり尋ねる。「先生、このお部屋使ってないように見えるのに綺麗です、どうしてですか?」先生は「これも魔法です、物の状態を保存して維持する魔法です」と丁寧に説明してくれた。僕はただ感心することしかできなかった。僕は今日あったことを思い返しながら眠りについた。

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