表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の行きつく場所を幸せになった彼女は知らない。 【連載版】  作者: ぷり
■本編■

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/46

【15】魔力封印

 アネット先生は言葉を続けた。


「それと、何より喜ばしいことがありましたよ。ハミルトン家に魔力の血脈はないと聞いていたのですが、先ほど判定したところ、ミューラさんには魔力がありました。魔法のお勉強もされたほうが良いと思います」


「なんと。引き取った時に、孤児院の院長はないと言っていたのだが」



「あとから発現することもありますから……聞いたら1年以上は判定してなかったようですし。卿さえよろしければ魔法の授業も――」



 その時、たまたま同席していたエレナが、そこで泣き始めた。



「私、そんな風に先生に褒められたことがない……。ぐすっ……。やっぱり、私よりもミューラのほうが跡目にふさわしいんだわ……優秀だもの……。そ、それに魔力まであるなんて……。私にはないのに!!」



「おお、エレナ。そんな事はない。先生、エレナのほうがミューラより優秀でしょう?」



 アネット先生はしばらく間を置いた後、言った。


「いえ、どちらが優秀かというお話ではなく……。エレナさんも、ちゃんと授業を聞いて予習復習もすれば優秀となれるポテンシャルはありますよ」



「ほら、エレナ。エレナも優秀だと先生は仰ってるよ。大丈夫だよ」



 アネット先生は優秀だとは言っていないが、そう受けとってなだめる男爵。


「それって今はバカってことじゃない!! うああああん!! 私は、跡取り娘なのにミューラより下なんだわ!!」


 エレナがそれに納得するはずはなかった。



「(この教師……!! お父様とミューラの前で私を貶めるなんて!!)」


 エレナの手で隠した下の顔は、怒りの形相ぎょうそうだった。


 そして、アネット先生は言ってしまった。



「馬鹿だなんて言ってませんよ。……ただ、そうですね、この際だからお伝えしますが、エレナ様はもう少し……その、話を聞いてくだされば、と思います。彼女の欠点はそこですので。独自性が強いと申しますか。そこを改善して頂ければ――」


「わあああ!! やっぱりミューラのほうが優秀なんだ! 私のほうがずっと先生と勉強してるのに! 私が平民の血筋だったからそんな事言うのね!」


「先生、見損ないましたぞ! 貴女がまさかそのような差別指導をなさっているとは!」



「……まあ!! 私はそんな差別は致しません! 私は彼女たちがより良い令嬢になれるようにと指導をしております。そんなことを言われるなんて、心外ですわ……!!」



 先生が席を立った。



「(ああ……これは)」



 ミューラはもう先が見えるようだった。



「謝罪がないようでしたら、今日これ限りで辞めさせていただくわ。ここへの家庭教師も元々はぜひにと頼まれたから来ていたのですから。



「先生……」


 ミューラはその先生をすがるように見た。


 

「ごめんなさいね、ミューラさん。でもあなたなら、どんな先生に教えられてもきっと良い令嬢になれるわ」


 ……と、男爵とエレナによく聞こえるように言って退席した。



 それを聞いてさらに、泣きわめくエレナとなだめる男爵。



「一体、どんなおべっかを使って先生を懐柔したんだ、ミューラ」


「私はなにも……」


「違うわお父様、きっとミューラが本当の貴族の血筋だからよ……。そして私は……どこの馬の骨かわからない女性の子……私はこの男爵家にふさわしくないの……」



「エレナ! そんなことを言うんじゃない! 誰がなんと言おうと! お前は私の子どもだ!」


「お父様……。そんな事してはいけないわ。それより……私も魔力が欲しい……」



 後日、信じられないことに。



 ミューラは、魔力封印された。

 理由は、ミューラだけ魔力があるのはエレナが可哀想だから。



 ミューラの肩には魔力封印の小さな魔法陣が描かれた。


 呼ばれた封印師も、不思議な顔をしていた。


「……こんなの、おかしいよね。おかしいんだよね」


 ミューラは、これが当たり前だというハミルトン家の方針に心が飲まれないよう、自室でそう呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ