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ハウスシリーズ

ミラーハウスとお守りの鏡

作者: 枯谷落葉



 おばあちゃんが、いなくなっちゃう前に私にくれた鏡があるの。


 その鏡は、私にとって大事なもの。


 女の子だから、身だしなみはきれいにしなくちゃねって、そう言って頭をなでてくれたおばあちゃん。


 あいたいな。


 でも、私はぐっと我慢。


 死んだ人には、どうやったって会えないんだもん。


 何か辛い事があって、死んじゃいたいって思うとき、いつも私は、お守りをぎゅっと握りしめながら、心を強く保とうとした。


 今もそう。





 修学旅行で訪れた遊園地で、班の女の子達に意地悪されておいていかれちゃった。


 ミラーハウスの中で、どんどん先に行っちゃったから、私は一人ぼっち。


 泣きたいけど、泣かない。


 私はぐっと我慢した。


 でも、やっぱり涙がちょっとはこぼれちゃう。


 だって一時間も同じところをぐるぐるまわってるんだもん。


 もういやだよ。


 ここから出たいよ。


 そう思っていたら、鏡におばあちゃんの姿がうつった。


 おばあちゃんは優しい顔で私に手招きをしてくる。


 私はおばあちゃんがいる鏡の方向へ行こうとするけれど、その瞬間お守りで持っていた鏡が光った。


 あまりにもまぶしく光るものだから、周りが見えない。


「ちよちゃん、こっちだよ」


 でも、おばあちゃんの声がする。

 私は目をつむりながら、おばあちゃんがいる方向へ歩いてった。


 そしたら、出口だった。


 いつの間に出ちゃったんだろう。





 ぼうっとしてたら、意地悪してた女の子達が泣きながら謝ってきた。


 もう二時間も出てこなくて、大変な事になっちゃったかと思ってたんだって。


 何人も大人がミラーハウスの中に入ってたけど、私が見つからないから、今噂になっている鏡の幽霊につれていかれちゃったんじゃないかって。そう思ってたみたい。


 もしかしてあの時、鏡にうつったおばあちゃんは偽物だったのかな。


 真相は分からないけど、でも光がまぶしくなった時に、聞こえた声はとてもあたたかかった。


 なぜだか私は自分が持っているお守りに助けられたような気がしたのだった。



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