新たなる力
フェークはソルーの居る病室に着いた。
正直かなり覚悟しているしかなりドキドキしている。
もしかすると冷めているのかもしれない、そういった恐怖がフェークを襲う。
それも覚悟の上でここに来た。
数回ノックし病室の少し重たいドアを開けた。
「・・・フェーク君」
少し寂しさと驚きの合わさった声は可愛さがある。
ずっとフェークが待っていたといったオーラが少し出ている。
見た目はあまり変わっては居ない、しかし服の中から見える包帯から血が痛そうに滲み出ているのが辛い。
フェークよりソルーの方が苦しいのはわかっている事だがやはり見ていられない。
ちょっと儚げな雰囲気すらも出てきている。
しかし今そんなことを思っている自分が本当に許せない。
(今日は謝りに来たんだ・・・謝らなくちゃ)
そう言った気持ちを胸に口を開けた。
「ごめん!俺のせいで・・・本当に、本当にごめんなさい!」
「・・・謝らなくていいですよ」
(終わったー!完全にキレてる!)
心の中で終わりを悟った。
悟ると以外に心は楽になるものだ。
しかし次ソルーから出た言葉は意外だった。
「フェーク君は私を守ってくれましたじゃないですか」
「・・・それでも」
「それでもではありません・・・私はあなたに助けてもらいました・・・借りは返さないと気が済まない人間なので」
「それでも怪我させたのは俺だ・・・本当に・・・」
「本当にあなたは自信がありませね・・・私は何も怒ってないですし何なら好きになってもいます」
「!?と、突然そんなこと言われると少しドキドキするじゃないか」
「ふふふ、私はそういうカウンターが強いのですよ」
フェークが思うほどソルーは怒ってもないし何なら好きになってくれていたということが本当にありがたきこと限りない。
ソルーはずっと終始笑顔で話してくれる。
本当に「鉄の女」と言われてたなんて嘘だと思うくらい笑顔だ。
「でも私はフェーク君やクリート君が元気でよかったです」
「俺は良くないよ・・・お前が怪我してしまったことにな、精神も肉体的にもクリートは……あいつはタフだ何度ここにお世話になってたか」
「フェーク君、別に私は気にしてませんよ、親の言うことなんて」
嘘である (どこかの漫画風)
本当は親に散々言われていた時目に涙を浮かべていたのは見ていた。
それが原因でどうしてもフェークはシギュンが許せなかったのだ。
何なら少し目に涙が浮かんできていることもお見通しだ。
「泣いていいんだぞ・・・前にも言ったが変に強がって自ら破滅に進む姿なんて見てられるか・・・精神が壊れる前に甘えたければ甘えてくれ、というか甘えろ」
「・・・強がってなんか・・・ない・・・です」
「あぁ、泣いてるな・・・大丈夫だほら布団にくるまれ、泣いてる姿なんて見たくないし見せたくもないだろ」
「ふぇ、フェーク君、良ければ」
「なんだ?できることなら・・・え」
ソルーは腕を広げフェークを涙を流している目でじっと見つめている。
それは要するにハグしろという無言の圧力があった。
しかし今のソルーの目に逆らえるはずなく仕方なく乗ることにした。
さっき自分が言ったことを少し後悔する。
「それってまさか・・・わかったよほら」
フェークは多少恥ずかしさを抑えつつ胸にソルーを迎えた。
ソルーの体はフェークから見ると小さく、しかしその小さな体に色々なことを詰め込んでいると考えると可哀想に感じるくらいだ。
それを抱いて気づいたフェークは力を強めた。
ソルーは震えた声で
「つ、強いです」
「す、すまない・・・ちょっと間違ったというか」
「・・・大胆です・・・バカ」
そう小声で呟かれた時は精神が狂いそうになる。
フェークは男子だ、しかしここで襲えば人としてクズに成り下がる。
そうなりたくないフェークは唇を噛む勢いで耐え抜いた。
そしてソルーは泣いているので尚更そのような邪な気持ちを消す勢いで耐え抜くことが出来た。
精神の消耗が激しい。
マッハで自制心が潰れかけてきているが何とか耐えれているのが現状だ。
ソルーは満足したのか2分くらいで離れた。
少し寂しいが理性との戦いはしんどいので少し安心だ。
「ありがとうございます、私抱え込みすぎていました」
「いつでも俺はお前の味方だ、少し頼りないが味方だ・・・それを忘れないで欲しい」
ソルーは顔を赤らめ少し照れた様子で、
「頼りなくないなんて・・・そんなことはありません」
「・・・言って貰えるだけ光栄だな」
「私、ずっとフェーク君のことを信じてますよ」
「そう言われるとなんというか照れるな」
「ふふふ、ささやかな仕返しです」
さっきまでの泣き顔が嘘みたいなイタズラが成功したような顔でフォークを見つめている。
「私の生きる理由が決まったことは本当に嬉しいことです」
「急になんだ・・・もしそれが本当なら嬉しい限りよ」
その顔は喜びに満ちている、ちょうど窓から来た光が良い感じに雰囲気を作り出している。
フェークは時計を見つめ帰る用意をしだした。
「すまん、ちょっとクリートの手伝いしに行くから帰るな、また明日、朝の初っ端から来るから待ってて」
「学校はどうするのですか?」
「あ・・・」
完全に持っていた意気込みをすぐ目の前で音を立てるように崩れ落ちた。
「学校は行ってくださいね・・・あとクリートさんと何かされはるのですか?」
「あぁ、あいつ変身できなくなったと言ってただろ?一応1箇所を完全に修復させて変身できるようにさせたもののもう1個予備でそして誰でも使えるようにしたいというのを言われそれを手伝いにいくんだ」
「・・・分かりました」
少し不貞腐れた声で言うと布団を被った。
フェーク自身本当は一緒に居たいがこれに関してはかなり重要なので外せない用事だ。
すぐに戦線復帰しないと戦況はどんどん悪化の一途を辿るためそういったことを減らすために。
フェークは布団を上げてソルーを剥き出しにさせると肩を持ちそっと抱きついた。
「ふぇ!フェーク君!」
「よし、とりあえず行ってくるよ」
「あ、あ、あ、ずるいです」
ソルーの目が捕食者の目をしている。
多分このまま居ると何かを奪われそうな気がするので足早と病室から出た。
そうさせた原因が1番タチ悪い対応を取っているのは少し申し訳ない。
病室からフェークが出るとソルーは布団に潜り込んだ。
心音が自分でもわかるくらい高くそして大きく高鳴っている。
フェークが男として強めの態度に出たのが驚きと少し恐怖だったが少しかっこいいものがある。
(こんなの、恥ずかしいよぉ〜)
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フェークはさっきああした反面本当は死にそうなくらい恥ずかしかった。
(あぁ!俺あんなこと普段しないのに!調子乗るんじゃなかった!)
そんな自責の念に押しつぶされているともうクリートの家に着いた。
普段は普通に入れるが今回は病院でのことがあったのでそれをバレないようにどうにかしていきたい。
そう心に近いインターホンを鳴らすとクリートが出てきた。
クリートはフェークの顔をじっと見ると何かあったかのように察した雰囲気を醸し出している。
「OK何かあったんだな病室内で」
「おいちょっと待て確かに色々話したがABCのCまで飛ばしてはないぞ」
「じゃあBまでやったのか」
「・・・帰るぞ俺?」
「ごめん調子に乗ったお願いします手伝ってください」
「了解よ」
変な誤解が生まれる前に何とか言いきれた。
ここで変な誤解が生まれると自動的にスクルドまでに話が行きそしてアフィーまで届き最終的に学校中に伝わるのがもう目に見えているための行動だ。
クリートに案内されたのはクリートの家にあるコテージだ。
木でできているためずっと作業部屋として使っていた雰囲気がある。
コテージに入るとクリートの父であるトランスも居たしフレドも居た。
「わぁみんな勢揃いだな」
フェークはその光景にその一言しか出なかった。
トランスはフェークに挨拶がわりの自己紹介をくれた。
「やぁ初めまして、クリートの父のトランスです」
「あ、あぁりがとうございます、僕の名前はフェークです」
「イイ名前だね、じゃあクリート!父さん買い物に行ってくるよ」
「OK父さん、行ってらっしゃい」
そう言うとトランスは財布を持ちコテージから出ていった。
クリートは出ていくのを確認するとあらかた完成に近いバックルを見た。
銃のホルスターみたいなところにこの少し歪で特殊な形をしているリモコンを差し込むと変身できる仕組みだ。
リモコンの持ち方は銃を持つように持つと安定する。
ホルスターは腰につけると自動的に巻かれるタイプだ。
「完成してるじゃん?どうして俺呼ばれたんだ?」
「一応変身確認のためにねみんな呼んだんだ」
だいぶ人体実験に近い形で行われそうだ。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




