未来からの迷子
ウルズは剣を振り払った。
その剣の斬撃は1発かと思う普通なら。
しかし実際は数発の斬撃を一気に放っていた。
ウルズの十八番のような技だ。
「ぐはっ!あぁ!」
斬撃1発1発に重みや鋭さを感じる。
1発1発が雑になってはないのが本当にすごい。
とても痛い。
ノルンの体から血がボトボトと流れている。
斬撃に少し波動などが混じってあるため怪我を深くしやすくなっているのが仕組みだ。
斬撃箇所の怪我はとても多く血の量もかなり多い。
ノルンはカバンから何かを取りだした。
「何?それは」
「クリートさんの腕時計型バックルです・・・ウルズさん、私は例えあなたたちを敵に回してでもクリートさんと幸せな生活を必ず離すわけにはいきません!」
「本当にそれだけを守りたいのね・・・でもこれも全て任務なんだ・・・悪く思わないでくれ」
ノルンは腕時計型バックルのボタンを押し変身体制に入った。
「クリートさんみたいにやれるか分からないけど・・・変身!」
ノルンは変身しようと思ったが体がとても痛い。
「う、うぐぅ!が!がぁぁぁぁ!」
「何をしているの自分で自分を殺したいの!」
「はぁはぁ!がっ!う、うぐぅ」
ノルンは痛みで転がりながら体をもがき苦しんでいる。
その姿は今は敵対しているウルズでも少し心が苦しいものがある。
しかしノルンの体にアーマーが着いてきた。
「はぁはぁ、これで、これで本当に終わりに・・・がはっ!」
血を吐きそれでも立ち上がる姿はまるでゾンビのようだ。
ウルズはノルンの体を立ち上がらせようとするがその瞬間大量の電流がウルズの体に入った。
「な、何!?この電流!」
「・・・ふー、変身!」
そういうとノルンはクリートのいつもの姿へと変身した。
スピードフォームだ。
しかし上手く体が動けない。
ウルズはノルンに斬りかかろうとするが剣を殴って防いだ。
「こ!この火力!」
「さすがクリートさん、でも毎回この苦痛を受けてると考えると・・・」
少しノルンはクリートに対して若干哀れみの気持ちを現す。
ノルンは変身する苦痛を味わった。
あの痛みが毎回襲うし負けたら大怪我。
普通に苦労するだろう。
ノルンはパンチでウルズの攻撃を加えた。
しかしスピードモードなので攻撃力はあまりない。
「その程度なら!」
「ふー!ふー!ふー!くぅー!」
「死ぬよ!本当に!」
「でも!でも!でもー!」
ノルンは怒りか痛みか分からないが体がボロボロになるくらいまでウルズを殴った。
しかしウルズは何一つ効いていない。
「もうやめた方が!」
「ぐはっ!」
ウルズはノルンを斬り飛ばした。
激しく火花が散りノルンは倒れてしまった。
「耐えなくちゃ!守るため!全てを!」
ノルンは腕時計型バックルのボタンをソードフォームに変身したが体がかなり痛い。
「がぁっ!」
「もうこれ以上は!」
ある時ノルンの何かが切れた。
プツンと音を立てて。
ノルンの体全体から血が抜けた感覚が近い。
ノルンが倒れた時ウルズは近づいた。
しかし目の前には人が居る。
「・・・お前は誰だ?」
「・・・まさかクリートがここにいるなんてな」
「そうか、ならここで倒すよ・・・」
目の前には目が虚ろになっているクリートが居た。
「どうやって倒すのだ?」
「忘れて家に帰ろうとしたらこんなことになるとはな・・・ちょっとノルン貸してもらうぞ」
「・・・戦うのか?そして無視するなよ!」
「当たり前だ!・・・変身!」
「また無視!?」
クリートの大きく何かを決意した声が良く響く。
クリートはスピードフォームに変身した。
「ノルンと一緒か、でもノルンと違って・・・」
「あいつこれに変身したのか・・・あいつが!」
「うん、そうだけど」
「あいつ!これは俺だけにしか変身できないのに!」
「うーんもう分からないから喰らえー!」
ウルズは剣を持ち走り出した。
斬撃は鋭く正確性がある。
戦闘の素人であるクリートでさえ分かるくらい正確だ。
「正確!だがそれゆえ予測しや・・・」
「喰らえ!」
クリートは腹に剣の斬撃を受けた。
正確だし鋭い攻撃なのでかなり効く。
「うぐっ!くっ!これにするしか」
クリートは近くにある鍵を使いブラスターフォームのガントレットに変身した。
片手銃剣で戦おうとしたがやはり直ぐに対応される。
クリートはウルズと競り合いをしてわかったが真正面から戦うと必ず負ける。
何度も競り合おうとしたが全くウルズに対応できない。
(俺とウルズ・・・何かが違う!何なんだ!)
何度も倒れて何度も立ち上がるがその度やられる。
「ぐっ!つ、強い」
「これでら・・・ラス・・・」
ウルズは攻撃を寸前で止めた。
雰囲気から何か決意が足りていないのだ。
クリートも驚きの方が強い。
「なぜ・・・倒さないんだ・・・俺は敵じゃ・・・」
「ノルン、あんたのことを信頼していた、ちゃんと襲撃から守ったということが本当だと思ったよ」
その時ウルズが完全な敵では無いと理解出来た。
クリートのことを敵として見ていない。
そのことを知りクリートは今まで敵として見ていたことに対しとても重い罪悪感に変わった。
「・・・ごめんな・・・敵だと・・・」
「大丈夫だよ、それよりノルンの体の方は」
「うーんこの感じだとまぁ深くはないかな傷は」
クリートはノルンの体を見て即体の状態を把握した。
少しその事がウルズにとっては驚きだ。
しかし割とすぐにノルンは起きた。
「・・・あれ、クリート・・・さん」
「良かった!本当に・・・」
「あれ?ウルズさん・・・」
「無理したね・・・まぁ私が悪いんだけど」
「あれ?クリートさんとウルズさん仲良くなってます?」
若干焦りと疑問が浮かび上がってきた。
いきなりこういう状態を見ると脳が疲れる。
ウルズはそんなノルンの気もしないようだ。
「あぁ、なんとなくだけどノルンがクリートに惚れた理由がわかったかもしれないよ、報告書どうりだった」
「なんか私信用されてません・・・?」
ノルンは少し不貞腐れた顔でこちらを見ている。
さっきまであんなに疑われ今こうやって言われると不貞腐れたくもなるとノルンは思った。
「クリートさん、毎回あんなに痛い変身よく耐えれますよね・・・本当にすごいと思います」
「あぁ、あれは少し俺にも分からないんだ・・・みんな痛い痛い言うけどなんか俺だけ普通なんだ」
「不思議ですね・・・でもクリートさんは無事でよかったです」
それを見たウルズは笑顔と溜息を吐き出し、
「あんたならテロリスト対応できそうだね・・・ごめんねノルン変なこと言って」
「私こそすみません・・・」
「じゃあお互い様ってことで・・・あれ、電話」
ウルズのズボンのポケットから着信音が鳴っている。
ウルズが電話を取るとウルズの顔がどんどん青く染ってきている。
「あ、はい、わ、分かりまし・・・た」
「何があったんだ?」
「帰れない・・・未来に」
「あ・・・ど、どんまい・・・どんまい」
クリートも何を言えば良いか全く分からない。
とりあえず励ますことしか今はできない。
ウルズは泣き顔でクリートに寄り添ってきた。
多分金も無ければ住む場所もない。
そんな様子がここから滲み出てきている。
「・・・あのすみません家貸してください金も無ければ住む場所も何一つないので本当に本当に貸してくださいお礼は何でもします!」
息継ぎなしの早口は本当にすごいと思ったが窒息しないか少し大丈夫だろうかと心配になる。
ノルンはクリートに少し小声で相談した後ノルンがウルズが向かって来た。
「分かりました、お金を貯めてくださいね」
「ありがとう!」
涙声でノルンに抱きついてきたウルズの姿は先輩後輩が逆転しているような姿だ。
クリートはああ言った反面マームに許してくれるか分からない恐怖がある。
もし無理なら・・・まぁうん。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




